阪神の本拠地・甲子園球場

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阪神・鳥谷敬内野手(38)の意味深発言が波紋を広げている。阪神は2019年8月25日、神宮でヤクルトと対戦し、1−5で敗退した。9回1死の場面で代打に起用された鳥谷はショートへの内安打を放ち存在感を示したが、神宮での最終戦を終えた試合後、「自分もこれが最後になるかもしれないので」と、自身の去就に触れる意味深発言。38歳のベテランが大きく揺れている。

「最後ぐらい自分で自分の力を見極めたい」

今シーズン、主に代打要員としての起用が続いた鳥谷は、ここまで55試合に出場して打率.211。本塁打はゼロで、放ったヒットはわずか16本。交流戦が開催された6月は5打数無安打に終わるなど、打率1割台の状態が続いた。今シーズン、苦しい状況に立たされながらも自身の去就に関しては一切明言してこなかっただけに、24試合を残した時点での意味深発言は虎党に衝撃を与えた。

5年契約の最終年となる今シーズンは、覚悟を持って臨んだ。開幕前は「勝負の年」と位置付け、闘志を燃やしていた。開幕前のスポーツ紙のインタビューでは、去就に関して「最後ぐらい自分で自分の力を見極めたい」とコメントしており、自身が納得する形で決断し、野球人生に幕を閉じる考えであることを明かしている。

ネット上では鳥谷の意味深発言に対して様々な意見が見られるが、現役続行を望む声も多く寄せられる。プロ野球関係者の中にも鳥谷の力を高く評価する者もおり、将来的な指導者を見越して鳥谷を欲する球団もあるだろう。鳥谷の移籍先として注目されるのがロッテだ。鳥谷が尊敬してやまない井口資仁監督(44)が指揮を執り、阪神OBの今岡真訪氏が2軍監督を務める。このような関係性にあることから、現役続行ならばロッテが移籍先候補のひとつに挙げられている。

阪神からロッテ移籍の今岡氏は年俸91%ダウン

ただ、鳥谷に関して一番のネックとなるのが4億円(金額は推定)の高額年俸だ。阪神に残留するにしても、他球団に移籍するとしても、この高額な年俸と向き合わなければならない。現役続行ならば、年俸の大幅減は否めない。2010年に入団テストに合格して阪神からロッテに移籍した今岡氏のケースでは、年俸1億8400万円から91%減の1500万円(金額はいずれも推定)に大幅ダウン。前年の10分の1以下の金額でサインした。

阪神から戦力外通告を受け、トライアウトを経てロッテに移籍した今岡氏は、2年間、プレイヤーとしてグランドに立ち、最後の1年間は選手兼任コーチとして試合に出場した。鳥谷が現役続行を望むならば、今岡と同じ道が用意されるのか。高額年俸の問題が解決されれば、将来的な指導者込みで、ロッテ以外にも興味を示す球団はありそうだ。

阪神のショートは、ルーキー木浪聖也内野手(25)、北條史也内野手(25)ら若手がレギュラー争いをしており、現状、鳥谷が食い込む余地はなさそうだ。阪神に残留したとしても今シーズン同様に代打での起用が想定され、シーズンを通しての出場または、スタメン出場は厳しいとみられる。今シーズン、鳥谷の口から初めてもれた意味深発言。引退か現役続行か。現役続行なら残留か移籍か。チームは24試合を残して激しいAクラス争いを展開するなか、38歳が下す決断は...。