PHOENIX, ARIZONA - JUNE 01: Jacob Degrom #48 of the New York Mets walks off the mound after being taken out of the game during the seventh inning against the Arizona Diamondbacks at Chase Field on June 01, 2019 in Phoenix, Arizona. (Photo by Norm Hall/Getty Images)

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GMの仕事領域はどこまで?

 6月1日にアリゾナで行われたニューヨーク・メッツ対アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦の試合中、自宅でテレビ観戦中だったメッツのブロディ・バンワゲネンGMが臀部にけいれんを起こしたジェイコブ・デグロムを降板させるよう、ミッキー・キャラウェイ監督に指示を出していたと、地元紙『ニューヨーク・ポスト』や『ESPN』など複数のメディアが報じた。
 
 その日のデグロムは6回2/3イニングで89球を投げ、1失点5被安打7奪三振の好投を続けていた。試合は4−1でメッツがリードしていた。デグロム自身によれば、けいれんはごく軽度であったとし、その場で続投を強くアピールした。それにもかかわらず、降板させられたことに、試合後も不満を明らかにしていた。メッツはその後のイニングで同点に追いつかれ、延長戦の末に敗れている。
 
 近年のメジャーリーグではGMの役割は重要さを増し、チームの勝敗を大きく左右する要因となっている。チームの総合力を分析し、予算と戦力のバランスを取りつつ、スカウトやトレードを統括し、長期的視野に基づいた選手の起用法を決定するのがGMの仕事だ。時には先発ラインアップにも指示を出すこともあるとされる。
 
 だが、試合中の作戦や選手交代はチーム監督の領域であるとするのが普通で、報道が事実ならバンワゲネンGMが取ったとされる言動は明らかな越権行為と言える。

GMと監督の経歴は?

 バンワゲネンGMは45歳。大手スポーツ代理人事務所のクリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシー(CAA)出身で、2018シーズン終了後にGMに就任したばかり。名門スタンフォード大学を卒業し、同大で外野手としてプレーしたが、プロレベルでの野球の経験は選手としても指導者としても皆無だ。
 
 一方のキャラウェイ監督はGM より1年年下の44歳。14年に渡った現役選手時代にメジャー3球団を渡り歩いただけではなく、韓国と台湾のプロ野球、米国内の独立リーグでもプレーした経験を持つ。指導者としてのキャリアは2010年からクリーブランド・インディアンス傘下1Aの投手コーチから始め、2013年からはインディアンスの投手コーチを5年務めた後、2017年のシーズンオフにメッツの監督に就任した。
 
 いわば、アマチュアでの野球経験しかないインテリGMが、選手としても指導者としてもプロでの経験が豊富な監督の現場采配に口を出したという構図で、メディアの論調はおおむねGMに批判的だ。

交代指示は否定

 『ESPN』からの取材に対して、バンワゲネンGMは投手交代の指示を出したことは否定したものの、試合中に選手が怪我をした状況でチームのスタッフと話し合うこと自体は通常のプロセスであると答えている。
 
 キャラウェイ監督はその日の交代はチームのエースピッチャーであるデグロムを守るために必要な措置であり、デグロム自身やトレーナーとの合意に基づいていたと答えている。さらに試合中にけがが発生した時は、フロントオフィスを含むチーム組織全体のコミュニケーションが大切との認識も明らかにしている。
 
 メッツは今シーズンここまで37勝44敗。6月23日(日本時間24日)にはキャラウェイ監督とジェイソン・バルガス投手がクラブハウス内で番記者と口論になり、2人に罰金が科せられるという出来事が起きたばかりだ。
 
 
角谷剛