普段なかなか知ることができない動物たちの意外な素顔をマンガで紹介(写真:Byrdyak/iStock)

子どもから大人まで幅広く人気の動物園。最近では趣向を凝らした展示方法やさまざまな体験ができる動物園が数多くあります。しかし、私たちが動物園で見ている動物の姿は、ほんの一部にしかすぎません。

動物オタクの漫画家・メセグリン著、上野動物園元園長・小宮輝之監修のマンガ『もしもキリンと恋に落ちたら デートでわかるどうぶつ図鑑』から、普段なかなか知ることができない動物たちの意外な素顔をご紹介します。

私が動物園に就職した頃、当時は宿直といって週に1〜2日は泊まり込みで園内の見回りをしていました。この宿直経験で感じたこと、それは動物たちも人間と同じで8時間勤務なのだということでした。


動物園が閉まってからの残りの16時間は、お客さんも職員もいない、動物たちの自由な時間だったからです。私にとってこの時間は、動物たちの本来の姿、自然な姿を観察できるすばらしいひと時でした。

今回監修を務めた『もしもキリンと恋に落ちたら デートでわかるどうぶつ図鑑』は、漫画家のメセグリンさんによって描かれた、「主人公のタカシくんがさまざまな動物の女の子とデートする中で、動物たちの意外な生態がわかる本」です。

私自身、昼間の飼育の仕事は自分の担当動物だけが相手ですが、宿直の日は、担当していないいろいろな動物たちと顔を合わせることができました。まさに、タカシ君が動物たちとデートをしていたような日々だったのです。

一生のほとんどを立って過ごすキリン

キリンは一生のほとんどを立って過ごすと言われています。天敵に見つかってもすぐに逃げられるようにするためです。

以前、運動量を少しでも多くするために、夏はキリンの群れを放飼場に出しっぱなしにしていたのですが、やはり夜間でも大人のキリンは立っていたり、座っていても首を伸ばしたりで、寝ている姿を見たことはありませんでした。

ところが、多摩生まれの幼いキリンはこのマンガのように、安心しきったように首を曲げ、頭を腰に乗せ、昼間は絶対に見ることのできない寝姿を見せてくれました。


キリンは飲みこんだものを、何度も口の中に戻す



なに?聞こえない!! もっと大きい声でしゃべって


ゾウの鼻は、実は手の役目も果たしています。以前、私がゾウにとっては見ることのできず、鼻も届かない、おしりの真後ろに立ったとき、尾の先の毛で顔をなでられたことがあります。

驚くほどの器用さをもつゾウの鼻

ゾウが目や鼻で確認できないものを知るために、尾まで使うのに驚き感心させられたものです。



ゾウとキスするときは…


また、陸以外にも面白い動物はたくさんいます。例えば、マナティー。とても大きな体をもちますが、性格はのんびりマイペース。海や川を優雅に泳ぎます。

マナティーの口はなぜ大きい?

ジュゴンと間違えられやすいですが、ジュゴンの尾びれが三日月形なのに対して、うちわのように丸みを帯びています。




水中で豪快なくしゃみ



くちびるこそが最大の感覚器


キリンの首、ゾウの鼻や尾、マナティーの唇、トラのしましま、ヒョウ柄なども、ヒトから見ると不思議に違いありません。でも、ヒトよりはるか昔から彼らを支えてきた、動物たちには当たり前で、生きるのになくてはならない姿なのです。