イニエスタが不在の神戸。「バルサ化」の面影は見られず、どこへ行く
Jリーグ第14節。前節、横浜F・マリノスに0−4と大敗したジュビロ磐田が、湘南ベルマーレ戦で公式戦10試合ぶりの勝利を飾ったヴィッセル神戸をホームに迎えた。
磐田は前節の反省から、今シーズン初先発の山本康裕をアンカーに置き、その前に田口泰士、山田大記を並べた3−5−2システム。守備の時は3ボランチになるような形を取り入れ、前線のロドリゲス、アダイウトンのスピードを活かそうとした。
試合は開始3分にいきなり動いた。神戸の三田啓貴がウェリントンに出したパスが相手に当たってペナルティエリア内にこぼれると、そのボールを三田があきらめずに追い、GKカミンスキーに倒されPKをゲット。これをダビド・ビジャが冷静にゴール右隅に決め、神戸が先制する。
立ち上がりこそ神戸はいいリズムで攻めていたが、徐々に磐田が主導権を握り、チャンスを作れるようになる。押し込まれる時間帯が増えた神戸だが、何とか前半を1点リードで折り返した。
後半に入っても磐田が優位に試合を進めた。そんななかで神戸は57分、右サイドで西大伍のパスに抜け出した三田が中央へ折り返し、ファーサイドでフリーのビジャへ。しかし、ビジャのシュートは枠をとらえられなかった。一方の磐田も68分、ロドリゲスがペナルティエリアの外からシュートを狙うが、クロスバーに阻まれる。その直後、磐田はアダイウトンに代えて大久保嘉人を投入した。
神戸は70分、疲れが見えたセルジ・サンペールに代えて藤谷壮を入れ、三田をボランチに下げて西をシャドーに置いた。同点に追いつきたい磐田は78分、山田に代え荒木大吾、84分には松本昌也に代え中山仁斗と、攻撃的な選手を投入して勝負に出る。
防戦一方となった神戸は、84分にビジャに代え中坂勇哉を入れて逃げ切りを図る。しかし、ドラマは最後の最後に待っていた。
終盤、ジュビロ磐田に同点に追いつかれたヴィッセル神戸のイレブン
アディショナルタイムに入った後半48分、磐田の攻撃。右サイドで田口からのパスを受けた荒木が、1度はクリアされたボールを再び折り返すと、GKに当たってゴールに吸い込まれそうになるボールをダンクレーが右手でかき出してPKに。これをロドリゲスが決めて同点とし、試合はそのまま終了した。
前節、湘南相手に4−1と快勝した神戸だが、この日は前半からロングボールを多用し、中央から崩すというシーンは皆無だった。シュート数でも磐田に劣った。残り15分は、自由に動き回るロドリゲスを捕まえきれず、一方的に攻められる時間が続いた。
必死で1点を守り切ろうとする姿には、目標とするバルセロナの面影すら感じられなかった。そこには約1カ月前までの、勝つにせよ負けるにせよ、派手で見ていて面白いサッカーはなかった。
国際Aマッチデーがあるため、次節まで2週間が空くJ1リーグ。次節の神戸はダンクレーが退場で出場停止、サンペールも累積警告で出場停止。イニエスタの復帰も未定だ。はたして今度はどんなサッカーになるのか、想像するのは難しい。
一部の報道では、大物外国人獲得とか、アーセン・ベンゲル前アーセナル監督の招聘とか、あいかわらずピッチ外で話題を振りまいている神戸だが、肝心のサッカーはどこに向かっているのか、わからない。次期監督が決まるまで、何とか勝ち点を拾っていくしかないということなのだろうか。
ひとつだけ言えることがある。もう「バルサ化」という言葉は使わないことだ。