WBSSバンタム級決勝進出を決めた井上尚弥【写真:Getty Images】

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トップランク社に続き英最大プロモーターも…ハーン氏「ただただ素晴らしい」

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級準決勝でWBA王者・井上尚弥(大橋)はIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を2回TKOで下した。海外で一気に名声を高めた日本のスターに対し、トップランク社のボブ・アラム氏がすでに契約を熱望する中、英最大のプロモーターも「イノウエと契約したい」と明言。英米でモンスター争奪戦が勃発しそうだ。

ボクシングの聖書」と呼ばれる米専門誌「リング」選定のパウンド・フォー・パウンド(PFP)で4位に選出され、国際的な名声を一気に高めた井上。ヘビー級3団体統一世界王者アンソニー・ジョシュア(英国)、クルーザー級統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)らトップ選手を顧客に抱えるマッチルーム社のエディ・ハーン氏も共同プロモーター契約に名乗り上げている。

 米ボクシング専門メディア「ダ・ボクシング・ボイス」に登場した英ボクシング界最大のプロモーターはWBSSで勝ち残っている井上、IBFスーパーライト級世界王者ジョシュ・テイラーらについて質問されると「興味あるか? 能力が高く、ワールドクラスで観戦を楽しめるすべての選手は契約したいと思わせてくれる」と語った。

 そして、グラスゴーのSSEハイドロで目の当たりにした259秒の衝撃を回顧。「イノウエに関してはリングサイドで観戦する初めての試合だったかもしれない。何なんだ、これは! という感じだった。わかるだろ。あそこにいたファンにとってもアメージング。テレビで観戦した人間もそうだろう」。興奮気味に語ったハーン氏は「イノウエはただただ素晴らしい」と絶賛していた。

トップランク社の動向に注意しながら「私はイノウエと契約したい」と明言

 一方で、先んじて井上の獲得に興味を示してきたとされるのが、アラム氏だ。元WBO世界スーパーフェザー級世界王者・伊藤雅雪(横浜光)、元WBA世界ミドル級世界王者・村田諒太(帝拳)という日本人選手の海外での活躍をサポートしてきた名物プロモーターも米メディアに対して、WBSS決勝後に井上陣営と交渉を持ちたいという希望を明らかにし、その動向が注目されている。

「トップランクはイノウエに関与しているのか? 自分は定かではないがね」とライバルの動向に注意しながら、ハーン氏は「私はイノウエと契約したい」と明言。同氏が総帥を務めるマッチルーム社は米国でスポーツチャンネル「DAZN」と8年10億ドル(約1090億円)の配信契約を結んだばかり。次々にメガマッチを供出し、井上―ロドリゲス戦はDAZN USAで生中継された経緯もある。

 一気に国際的な価値を高めた井上。日英によるモンスター争奪戦は過熱の一途を辿りそうだ。(THE ANSWER編集部)