Galaxy Foldが内側にたためるのは「ケータイだから当たり前」サムスンCEO DJ Koh氏インタビュー
3月12日、サムスンのCEO、DJ Koh氏がGalaxy Harajukuのグランドオープンに合わせて来日。オープニングセレモニーでは質疑応答の場が設けられました。

DJ Koh氏は「東京オリンピックまであと500日、今日そのタイミングで東京・原宿の「Galaxy Harajuku」をオープンさせました。これは今年で10周年となるGalaxyが今後さらに発展していくための準備とも言えます。世界で最も重要な市場である日本において、このようなイベントができて嬉しい。」と述べ、プレス陣の質問に回答しています。本稿ではその模様をお届けしましょう。

── Galaxy Harajukuオーブン後の日本での展開はどうなりますか?

DJ Koh氏 これまでも我々はGalaxyが体験できる場所を日本各地でいくつも展開してきました。それらは期間限定という形でしたが、それでも十分な手応えが感じられていたわけです。そしてこのたび、2年前から準備して、Galaxy Harajukuをオープンさせました。

現時点で次は決まってはいません。まずは10年やってみてと考えていて、反応がよければ拡大していきたいと思っています。

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(Galaxy HarajukuにはGalaxy Foldの展示もあります)

── サンフランシスコの発表会でGalaxy Foldを出した狙いを改めて聞かせてください。

DJ Koh氏 Galaxy Foldは8年前からはじまったプロジェクトです。前もって4対3のアスペクト比かつ、無理のないものにするよう、開発者には指示していました。1年前からはGoogleとも協力し、3画面アプリが動くよう開発を進め、昨年10月にフォームファクターをパートナー向けに公開、サンフランシスコでコンシューマー向けに発表した格好になります。

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──二つ折りのスマートフォンは主流になるとお考えですか?

DJ Koh氏 Galaxy Noteを思い出してみてください。Galaxy Noteは、一般的なスマートフォンよりもっと大きな画面とペンを追加して、新しいカテゴリーを切り開いた端末です。スマホ市場は、Galaxy Noteが大画面のきっかけになったと考えています。ほとんどのメーカーがそれに続いたわけです。

ただ、人が手に持って使えるマックスサイズは6インチか7インチだと思います。いろいろと悩みましたが、より画面を大きくするにはやはり折りたたむしかないというところに行き着いたのです。

そして、折りたたみを実現するには、実に多くの問題をクリアする必要がありました。バッテリー関連、ヒンジのメカニズム、何万回開いても壊れない強度を実現する必要があるわけです。アウトフォールドも検討しましたが、インフォールドのほうが実用的と考えました。元々、携帯電話は内側に閉じていた。これがなぜなのかを考えてほしいです。

ただ、二つ折りのスマートフォンが主流になるにはもうすこし技術が必要でしょう。そういう意味でGalaxy Noteは、メインストリームと言うよりは、テック好きに向けた製品と言えるかもしれません。

ちなみに初期のGalaxy Noteでは、大半の人が大画面のスマホが欲しいという理由で購入していました。ペンが浸透したのはGalaxy Note8くらいからです。これは調査で明らかになっています。

── 今後、日本では分離プランによって端末が割高になりますが、SIMフリー端末の投入はは考えていますか?

DJ Koh氏 分離制度は韓国でも懸念しています。日本においては、パートナーキャリアも悩んでいるという認識でいます。分離プランが導入されればある程度の影響は出るかもしれませんけれど、いい製品を作り続けていれば受け入れていただけるのではないでしょうか。

韓国でGalaxy S10のSIMフリー版を出したところ、反応が良かったので、SIMフリー端末自体は悪くないと思っています。



── Galaxy S10シリーズで、S10"e"を追加した理由はなにかありますか?

DJ Koh氏 新たに"e"を追加したのは、8から導入したエッジスクリーンに対してフラットなスクリーンのモデルはやらないかという問い合わせが結構あったのと、もう少し小さいフォームファクターを求める声が特に欧州で多数上がったためです。

フラッグシップのすべての要素を備えながら、適正な価格で提供できる製品がほしいという声に応えたわけです。

── S10eもあり、Foldもあり、Noteもまた新モデルが出るとすると、Galaxyのラインアップがかなり増えることになりますね?

DJ Koh氏 消費者の要求は多様化しており、我々はそれに応えたい。それぞれの製品の誕生の背景をぜひ見てほしいです。常に新しいフォームファクターが求められています。

さまざまな要求すべてに対応するのは大変です。究極的には市場とお客さまの声に応えるのが義務だと思っています。今の時点ではGalaxy Foldにペンを統合するというアイデアもありましたが、課題が残るためできません。



── 修理などはローカルのみの対応となりますか?

DJ Koh氏 Galaxy Harajukuでは6月からグローバル版端末の修理も受け付けます。旅行者でも修理が受けられるということですね。Galaxyが愛されるということが経営哲学の一番ですので、購入した人はいつでも楽に使い続けられるようにしたいのです。

── 現在、世界ナンバーワンシェアですが、これをどう守っていくのでしょう?

DJ Koh氏 さきほどお話した通り多様化する要求に対応することだと考えています。たとえばインドは、フラッグシップが全体の15%にも満たない市場。残り85%に対応するようにGalaxy Aシリーズを投入しているわけです。また、Aシリーズではフラッグシップに適用していなかったトリプルカメラなど技術を取り入れて、先に中国市場での展開も行っています。

なお、インドではオンライン市場も活性化しており、オンライン専売のGalaxy Mシリーズを投入しています。Galaxy M10は、若者が導入しやすい価格としたこともあって、30秒で2万台が売り切れる人気ぶりでした。

こうした成功事例はほかのマーケットにも広がっています。ナンバーワンでありつづけることは非常に難しいことですが、現在、スマホの技術は一般化しており、多彩なメーカーが参入しています。トップであり続けるには、お客さまが考えることに対していかに迅速に動けるかだと考えています。

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── 日本において、ミッドレンジの需要が増しています。これについてはどうでしょう?

DJ Koh氏 実は、日本こそフラッグシップで勝負を続けたいと思っています。ただ、お客さまやパートナーの声には耳を傾けていきたいです。

また、日本にはガラケーを使っている人が未だ多いと聞きます。そういったフィーチャーフォンユーザーがスマートフォンへスムーズに移行するにはどうすべきか、まずはこれを議論していきたいと考えています。



── 日本では、iPhoneに人気があります。これについてはどうお考えですか?

DJ Koh氏 さきほどの話の中にもありましたが、結局はお客さまに愛される製品を作り続けることしかないと思います。2019年は特に重要だと考えています。これからの2〜3年は、過去の10年を超えるほど厳しい。なぜなら、5GとAIで革新的に変わるからです。

5Gは低遅延なだけではなく、4Gではできなかった様々なことが日常でできるようになります。LTEの時はスマホだけでしたが、5GではAIが加わり、IoT、AR、VRへと拡大。これからは個人の枠を超え、オフィスや施設など様々な分野に浸透していくことになるでしょう。サムスンの今後のビジョンは、新しいモバイルビジョンの革新であります。

日本市場においてサムスンはまだ小さい存在かもしれませんが、このような取り組みを続けることで、いつかは受け入れられると考えています

── 日本でのGalaxy Foldの展開は?

DJ Koh氏 まだキャリアとの調整中です。全キャリアに提供できるかはわかりませんが、年内の販売を希望しています。

── Galaxy Foldの使い方を教えてください

Galaxy Foldなら画面を切り替えずに、動画を観て、チャットをしながら、買い物ができます。アーリーアダプターはこれまでPCでやっていたようなことを、モバイルに求めています。

いま、皆さんはPCでメモを取っていますけれど、Galaxy Foldでも同じことができるはずです。タブレットと使い分けたほうが楽では? という意見もあるかもしれませんが、出張などでGalaxy Foldだけを持ち歩けばいいのは便利だと思いませんか? すべてのハイクオリティーを総合したのがGalaxy Foldなのです。