10日放送、MBS「せやねん!」に、元近鉄バファローズで野球解説者の金村義明氏が出演。フリーエージェント(FA)で失敗した舞台裏を語った。

近鉄で初めてFA選手として中日ドラゴンズに移籍した金村氏。通常、FA権を行使して新球団に移れば、高年俸など華々しい生活が待っていると考えるだろう。だが、金村氏の場合は違った。

事前の接触は禁止されているが、金村氏によると当時は「あやふや」な状態。中日から年俸1億円の3年契約を提示されていたという。だが、故・星野仙一監督の就任が消滅し、高木守道氏の続投が決まると、星野氏就任ありきだった金村氏のFAは様相が変わる。

前述の「1億円×3年」の条件はなくなり、中日の姿勢は「来てくれ」から「獲ってやる」に。社長からは「星野が何を言ったか分からないが、ウチはそんなお金はない」と言われ、金村氏の条件は、支度金1000万円のほか、近鉄時代から年俸据え置きの7000万円となった。

金村氏は「手を挙げて、もう1回頭をかいて戻るわけにはいきません」と、近鉄残留の選択肢はなかったとコメント。中村紀洋の台頭もあり、当時の球団社長からも「出たほうがいい」と言われ、当初の口約束とは異なる条件で中日に行くことになった。

結果、1年目は高木氏が早々に退任するなど、チームは最下位に終わる。高木氏と「二言しか言葉をかわさなかった」という金村氏も活躍できず、1年遅れで就任した星野氏に「何をしていたんだ」と、“不要”の烙印を押されてしまう。

年俸半減という条件をのんで残った金村氏だが、2年目も「代打の切り札にもなれず」に苦戦。「星野さんがつぶした扇風機を直したり、アメをぶつけたやつを拾ったり」することが仕事だったと振り返り、スタジオの笑いを誘った。

読売巨人軍との優勝争いの中、最終戦だけ先発出場してヒットを打った金村氏は、秋季キャンプに呼ばれて3年目も残留。ただ、年俸は2500万円に下がった。当初の口約束だった1億円から25%に減ったかたちだ。

だが、金村氏によると、その年俸の安さのおかげで、トレードでの西武ライオンズ移籍が実現。西武で再び優勝し、年俸はまた上がっていったと明かした。