「adressとaddressどちらが正しいスペルでしょうか?」――ヤフー知恵袋に2010年に寄せられた質問に対する解説が、8年を経てネットで話題になっている。

答えは「address」。しかし、回答に寄せられた解説が分かりやすく、読み応えのある回答だとネットで大絶賛されている。解説の最後には、「旺文社『必修 英文法問題精講』著者の小池浩でした」と記されており、

「知恵袋すげーな!って読んでたらオチがさらにすごかった」
「めちゃんこ(参考書に)お世話になった人やないかい」

とさらに盛り上がりを見せている。8年前の記事が今になって注目される小池さんにキャリコネニュースは話を聞いた。

「英語の先生がこんなにウンチクにあふれてたら授業が毎回楽しみだろうなあ」

件の回答は、そもそもなぜ質問者はこの疑問を抱いたのか、という推測から始まる。小池氏は、英語が堪能な人間が「adress」と書いていたため、「場合によればこういうスペリングもあるのかもしれない、という状況だと想定してお答えしましょう」と、前提条件を整理する。

そして「address」のルーツやスペリング、発音(音声)面から、なぜ「address」と、dが2回繰り返されるのかを説明する。英語・フランス語を勉強していると混同しやすい単語の1つでもあると指摘した。

語学が堪能な人は単語を「イメージ」で覚える傾向があるため、理屈が通らず暗記が必要なものは「いつまでも覚えられない」という。質問者が疑問を抱いたのも、そういった背景があるからではないかと推測する。正しいスペルはもちろん「address」だが、辞書ではわからない情報が豊富に載った回答だった。

この質問と回答は11月7日頃からネットで話題になった。11月8日19時20分時点で、はてなブックマークでは1500件以上のコメントが寄せられている。コメント欄には「これぞ人力検索。ググレカスと言えなかった」「面白いし、やはりプロなんだなーって思う。英語の先生がこんなにウンチクにあふれてたら授業が毎回楽しみだろうなあ」など称賛の声が相次いだ。また

「知恵袋すげーな!って読んでたらオチがさらにすごかった」
「めちゃんこ(参考書に)お世話になった人やないかい」

など、回答者の正体に驚く声や、「ひさびさにこれがインターネッツだなぁというものを観させていただいた。ありがとう」といったしみじみとする声も寄せられた。

8年後越しの反応に小池さん「反応いただけて嬉しいです」

キャリコネニュースが小池さんに事実確認を取ると、この回答は間違いなく本人のものと判明。現在も都内の中高一貫校で英語を教えているという。

小池さんは2008年6月から2011年2月までの約2年間に渡って、ヤフー知恵袋に計345件回答している。英語の文法に関するものから、「なぜ東京にいる外人は六本木に集まるのか」、「買ったままお蔵入りになった英語の本をみて凹みませんか?」などさまざまだが、いずれも丁寧な回答だ。

小池さんは回答活動について「『必修 英文法問題精講』という本を出したので、多くの人に知ってもらうために行っていた」と話す。ヤフー知恵袋では宣伝活動が禁止されているため、著書紹介サイトURLを回答の最後に掲載することでルールを守っていたという。しかし2011年2月以降は、誰かに「宣伝ではないか」と通報されてアカウントが停止されてしまったため、答えられなくなったそうだ。

8年前の回答がネットで話題になっていることについては、

「嬉しいです。面白いなって思ってくださったってことですよね。文法だけでなく音声学などからもアプローチしているので、一般的な参考書とは少し違うように思われるかもしれませんが、反応をいただけて嬉しいです」

とコメント。現在『必修 英文法問題精講』は『入門 英文法問題精講』として販売されているが、「でももうこれもなくなっちゃうかも。売れないので廃版になるかもしれません」と話していた。