「マスト細胞活性化症候群(MCAS)」を患うリリーちゃんとジェンソン君(画像は『Daily Record 2018年10月28日付「Little girl has so many allergies she can only eat NINE foods」(Image: Joy Mason/Nottinghamshire Live)』のスクリーンショット)

写真拡大

深刻なアレルギーを引き起こす病を抱えながら日々生活している人の大変さは、本人や周りの家族以外の人には容易に理解できないことだろう。このほどイギリスで、非常に稀な病により深刻なアレルギー症状を持つ9歳少女のニュースが『Nottinghamshire Live』『Daily Record』などで伝えられた。

ノッティンガムシャー州のキーワースに母ジョーイさん、父フィリップさん、弟ハリー君と暮らすリリー・メイソンちゃん(9歳)は、身体の免疫を担うマスト細胞(肥満細胞)が花粉やたんぱく質などアレルギーの原因物質(アレルゲン)と反応することでヒスタミンなどを放出し、痛みや痒みなどのアレルギー症状を起こす「マスト細胞活性化症候群(以下、MCAS)」を患っている。2007年に正式に認められたばかりのこの病については現在も研究が続けられているが、稀ゆえに周りの人の理解度はまだまだ少ない。

リリーちゃんは生まれつきこの病を持っていたが、診断されたのは昨年3月のことだったという。過去数年間に多くの検査を受けてきたリリーちゃんは、深刻なアレルギー症状を引き起こさないために乳製品を一切口にすることを止めた。しかし治療薬としてクロモグリク酸ナトリウムを噴霧吸入してからは症状の改善が見られ、昨年は食事の幅が広がった。しかし現時点でもリリーちゃんが安全に口にできる食べ物は、新鮮な鶏肉、皮なしのマリス・パイパー(じゃがいも)、根菜のスウィード、グルテンフリーの米、サンフラワーオイル、メープルシロップ、オーツ麦、ホワイトチョコレート、砂糖というわずか9品しかないそうだ。

免疫システムが影響を受けるとアレルギー反応が過敏になるため、リリーちゃんの場合は食べ物だけでなく、学校の制服など着る服や生活環境までもがアレルギー反応の引き金となる。当然、洗剤や石鹸などの化学薬品にも過敏に反応し、突然の気温の変化や怒り・不安などの感情の起伏にもアレルギー症状が現れる。体に多くのプレッシャーがかかると、痛みを伴う蕁麻疹が生じ長時間座り続けることが不可能になるほか、腹痛や頭痛、水膨れや皮膚の痒み、喉の腫れ、耳鳴りや膀胱炎、嘔吐や極度の疲労といった様々な症状がアレルギー反応となってリリーちゃんを襲う。

日常的にこのような病を抱えているリリーちゃんにとって、ホリデーや混雑した場所に出向くことは自らの命を危険に晒すことになる。しかし最近は、少しずつではあるがMCASについて理解をしてくれる人が周りに増えているようで、リリーちゃんは「この病気と付き合っていくのは簡単ではないけど、理解してくれる人が増えれば増えるほど、その困難は軽くなる」と語る。毎日多くの薬を飲まなければならないリリーちゃんのために、教師がタブレットにアラームを設定して薬の時間を教えるなど、学校でもサポートを受けているようだ。母親のジョーイさん(33歳)はこのように話している。

「この病と生きていくことは決して容易ではありません。いつも何かの障害を引き起こしてしまうのではないかという心配を抱えながら生活しなければならないのですから。たとえば、出先で強い香水をつけている人がいるだけで、娘にアレルギー反応が出て大きな痛みを引き起こしてしまうのです。そんな時は、息を止めてその人のそばを通り過ぎなければいけません。多くの大人たちが理解する以上に娘はこの病に苦しんでいます。でも、日常的に周りから理解されにくい病を抱えているからこそ、娘は他人の痛みや苦しみをとてもよく理解することができます。娘はとても強い子で、困難を跳ね返す力と勇気を持っています。」

MCASの患者とその家族をサポートし、世間にこの病について注意喚起している慈善団体「Mast Cell Action(マスト・セル・アクション)」が主催する年に一度のチャリティー・ウォークに、リリーちゃん一家は昨年から参加している。今年開催された10月27日には、同じ病と2年前に診断されたジェンセン・ブラッドリー君(5歳)を含む50人ほどの参加者と一緒に、リリーちゃんはウォーキングを楽しんだ。画像は『Daily Record 2018年10月28日付「Little girl has so many allergies she can only eat NINE foods」(Image: Joy Mason/Nottinghamshire Live)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)