昔は意味があったが今となっては不要な行為も

 サーキットのパドック、あるいは峠の駐車場や高速道路のSA・PAなどで、いかにもクルマが好きそうなドライバーが、他人とは違うアクションを見せることがある。これらのクセ(偏った習慣?)にはどのような意味があるのか検証してみよう。

1)走行後ボンネット開ける

 これはエンジンルームの温度を下げたいというのが大きな理由。サーキットなど、高回転高負荷で走れば、当然エンジンの熱量もマックスになるので、エンジンルーム内のこもった熱を早く逃がすのにボンネットを開けるのは有効(停車中は、走行中と違ってラジエターに風が当たらなくなる)。

 冷却水がリザーバータンクでボコボコいっていたり、パワステフルードが漏れていたりしないかを点検したり、水温、油温が早く下がるようにしたり、ブレーキフルード、クラッチフルードが熱でダメージを受けないようにするのがおもな狙い。

 サーキット以外ではさすがに不要だと思うが、高速道路などを走ったあとにボンネットを開けているのは、よく働いてくれたエンジンをひと目見て、労ってやりたいという気持ちの表れなのかもしれない……。単純に、エンジンが不調で心配し覗き込んでいる場合や、新しく取り付けたパーツの点検なども考えられるが……。

2)走行後にタイヤを触る

 レーシングタイヤの場合、有効な作動温度領域が狭い範囲で決まっていて、タイヤの表面温度がその温度より高くても低くても十分な性能=グリップ力を引き出せないので、温度管理は非常に重要。そのため、タイヤエンジニアはピットに入ってきたレーシングカーのタイヤをすぐに専用の温度計で測定しデータを取る。

 しかし、公道用のラジアルタイヤではそこまでシビアではないし、テンプテスターでなく、手で触ったところで正確な温度などわかりっこない……。ただ、グレイニング(タイヤのゴムの削りカスで表面があれた状態)が起きていないか、きれいに摩耗しているかどうかなどは、気になるところ。

 タイヤをきれいに使えているかどうか、異物などが挟まっていないかをチェックするとき、タイヤを触って確認することは理に適っているといえるだろう。(夏場など、路面温度が高いときは要注意)

3)アクセルふかして止める

 クルマを止めるとき、アクセルをひと吹かししてからエンジンを切る……。インジェクションが普及する前、キャブレター時代のスポーツカーはプラグの熱価が高いと低回転でカブりやすいので、プラグのカブり防止のためエンジンを切る前、ブンっと一発空ぶかしをして止める人がいた。しかし、現代のインジェクション車には不要。

 年配の人で、キャブ車時代の習慣がクセになっている人がいるのかもしれないが、一歩間違えるとただの近所迷惑なのでやめたほうがいいのでは。(カッコいいかどうかは、各自の主観になるのでノーコメント)

4)ボディを押してサスペンション動かしている人

 中古車展示場などで、ボディを上下に揺すってみる人がいる……。サスペンション(ダンパー)が抜けていないかどうかのチェックなのだろうか? それともサスの固さのチェック? いまのクルマは高剛性ボディとはいえ軽量化も大きなテーマなので、負荷のかからない部分、入力が入らない部分などは、意外に薄っぺらくできている。しかしサスペンションもヘニャヘニャなクルマというのは少ないので、ヘンなところを押すと、外装が凹んだりする可能性もあるのでオススメできない。

 サスペンションのチェックは、試乗して確認しないと意味がないので、他人のクルマのボディを手で揺すったりするのはご法度だ。

5)ボディをやたらと触る

 ピカピカボディにこだわる人は、ワックスやコーティングの効き具合が気になり、ボディ表面のツルツル度を確認したくなって、ついつい触ってしまうのでは? 洗車はメンテナンスの基本であり、いつもきれいな愛車でいるのは大事なこと。新車のころや、コーティングやワックスをかけた直後などは、触ってみたくなる気持ちもわからなくもない。