みなさん、自分の強みってなんだと思いますか? ちなみにわたしの強みは「ポジティブ」だと思い込んでいましたが、社会に出てから「いや、実は隠キャラかもしれない」と思うことが増えました(切ない)。

最近では、そんな自分の強みがわかるストレングスファインダーという自己理解ツールが人気で、R25世代もこぞって受けているそう。

でも、受けてみたは良いものの、その結果をどう活かしていけば良いのかわからない!という方も多いのでは?

そこで今回お話を聞くのは、自身のやりたいことを探すため、自己理解に200万円以上を投資し、現在ストレングスファインダーを用いた人の才能を引き出すコーチングやセミナーを行っているやぎぺーさん(@yagijimpei)。


【八木仁平(やぎ・じんぺい)】株式会社Meee代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、プロブロガーとして独立。働く中で自己理解に興味を抱き、200万円以上を投資。現在ストレングスファインダーを用いた人の才能を引き出すコーチングやセミナーを行っている25歳

そんな若き才能研究家に、ストレングスファインダーの「活かし方」を聞いてきました!

〈聞き手=いしかわゆき(新R25編集部)〉

ストレングスファインダーでわかるのは「自分に向いているやり方」

いしかわ:
やぎペーさん、実はわたしもストレングスファインダーをやってみて、こんな結果が出たんです。


字面が既に強そうな才能ズである

いしかわ:
でも、ぶっちゃけこの後どうすればいいのかわからなくて困っています。

「未来志向」とか言われても…って感じで(笑)。

やぎペーさん:
そうですよね(笑)。

まず、ストレングスファインダーを理解するうえですごく重要なのが、これは自分ができることを知るツールではなくて、“自分がどうやって目標を達成していけばいいか”を知るためのツールだということ。

「自分に向いているやり方」を探すツールなんですよね。

いしかわ:
はっ! これでわかるのは「できること」ではなく「向いているやり方」…!?

超絶勘違いしてました…!!

やぎペーさん:
だから、これで自分の才能を知って、何をすればそれが発揮されるのか、逆に何をすると阻害されてしまうのか、そういう風に考えていけばいいと思います。

いしかわ:
「何だか最近うまくいってない感じがするけど、何が問題なのかわかんない!」って時に自分の才能が分かっていれば解決できるということですかね?

やぎペーさん:
そう、「この才能がうまく発揮できてないから、自分は悶々としてるんだ」ってことがわかるんです。

例えば、日本人に最も多い完璧主義と言われる「最上志向」だったら、本来は企画を素晴らしいレベルにまで上げるのが得意な人なのに、会社から「量が大事だ!」と言われて中途半端なものを出さなきゃいけなくなって苦しくなっちゃったりとか。

いしかわ:
それ、めっちゃわかります…! でも、自分では何が苦しいのかわからないと悩んじゃうのか。

自分のタイプが客観的にわかる
ってすごく生きやすくなりそう!

実際に結果をどう仕事に活かせばいい?



いしかわ:
でも、やぎぺーさんみたいにコーチングの資格も持っていないわたしのような一般ピーポーは、具体的にこれをどう活かしていけばいいんですかね?

やぎペーさん:
まずはこの結果を見て、自分の才能が活かされているか、活かされていないのかを自己評価してみるとよいと思います。

いしかわさんは、何か仕事での成功体験はありますか?

いしかわ:
成功体験でいうと、私はもともと広告バナーの制作ディレクションをしていたんですけど、敬遠されがちな広告バナーの概念を変えたかったんです。

だから、クリックされるだけじゃなくて、見た目のデザイン性にもこだわったバナーを作っていて。効果も良いしアートのようなバナーだと社内でも好評で、ユーザーからもよく話題にされたりしていました。

やぎペーさん:
おお、まさにいしかわさんのトップ才能の「未来志向」が出ていますね。「未来志向」が強い人は、現状に向き合うというよりも、「こうあるべき」という理想像を追い求めて走っていく傾向があるんですよ。

次に、そうやって成功体験と才能を結びつけたら、今の仕事にもそのやり方を取り入れられないかを考えるのが大事です。ちなみに、今の仕事で行き詰まっていることはありますか?

いしかわ:
うーん。今の悩みだと、おっそろしいくらい企画出しが下手で。1ネタ考えるのに1日くらいかかってしまうんです。ニュースを見たり、ネットサーフィンをしたりして何とかネタを探すんですけど…

自分の上位の才能に「着想」が入ってないから出せないのかなぁって。

やぎペーさん:
なるほど。先ほども出たように、「未来志向」の人は未来のことでこうなったらいいな、と妄想するのが好きな人。

だから、たとえば若者の未来を取り扱うネタとかはいいかもしれないですね。未来予測に強い専門家に、若者の将来への不安をぶつける企画とか。


「あっ、僕が“着想”しちゃった…」日常会話に才能ワードがパッと出ちゃうやぎぺーさん

いしかわ:
ははぁ…バナー制作と同じように、未来や理想をベースに考えていくのか!

あ、そういえばちょっと前に公開して好評だったこの記事は「ずっと17歳でいたい」っていう未来への願望から出てきた企画だったんですよ…!

やぎペーさん:
いいですね! あとは「共感性」も活かせるかも。共感性が強い人は感情で判断しちゃって、合理性で判断しないんですよ。

だから、「こういう理屈でヒットするはずだ」とネタを考えようとしても全然ダメ。

その代わり、「記事を読んだ読者に喜んでほしい」という気持ちから自然とネタが出てくるはずなので、実際に読者にインタビューして悩みを聞いて、それを解決してあげたい!という欲求からネタを出したりとか。

いしかわ:
そういえば、私ディレクター時代に、「ユーザーはどんなものを求めているんだろう」とエゴサして、そこからヒントを得て作ったバナーは効果が良かったんです。このエゴサは共感性に起因していたんだ…

だとすると、現状だと根本的にネタ出しのやり方が自分に合っていなかったのか。これは衝撃…!

自分と相手の才能の違いを知ると、衝突しなくなる



いしかわ:
ところで、ストレングスファインダーを編集部みんなでやってみたんですけど、自分と違う才能を持った人にはどうやって関わっていけばいいんですかね…!?

やぎペーさん:
当然ですが、やはり同じ才能を持っている人同士は言葉が通じやすく、違う才能だとぶつかりやすいです。だから、「才能が違う人は思考が全く違う」というのを知っておくのが大事。

その人が何を重視してるのかを知ることで良い役割分担が出来たり、衝突を防ぐことができますから。

いしかわ:
なるほど。それを理解していれば自分のやり方と違うからって相手を責めることがなくなるのか〜!

やぎペーさん:
そうですね。あとはたとえば、「最上志向」の人は良いところを伸ばすべきだと考えているから、自分のダメなところを指摘されると、「どうして自分の弱いところばかり見て、強みを褒めてくれないんだろう?」と思ってしまう傾向があります。

一方でそれとは逆の「回復志向」の人は、自分のダメなところを改善していくことで成長していくと考えているから、よかれと思って他人にもつい指摘してしまう。

「最上志向」の人はちょっと指摘されただけでも気にしちゃいますが、それは自分がそこに目を向けるのが嫌すぎて異常に記憶に残っているだけで、「回復志向」の人はそこまでキツいことを言っているつもりはない、みたいなことはよくあります。

いしかわ:
たしかに、過度に気にしているのは自分だけだったりしますよね。ディスコミュニケーション…

やぎペーさん:
基本的にみんな自分の世界に対する解釈を汎用しているだけなので、「才能が違う」という前提に立つと指摘の受け取り方も変わっていくはずです。

才能を知ることは、一人ひとりのやり方を認めることにもなるということ。相手と自分の解釈が違うということを知ると、衝突が防げますよ。

ストレングスファインダーは、「他人に憧れないためのツール」

いしかわ:
ところでやぎぺーさん、ここまでお話を聞いてきて、「自分の才能を利用すれば仕事がうまくまわるようになる」ということはわかったんですけど、ずーっと気になっていることがあるんです…

実は、わたしの才能の中には上位5位に「ポジティブ」が入っていなくて。これは、わたしが一生根暗なままということ? 欲しい才能は手に入れられないのでしょうか

やぎペーさん:
えー、結論から言うと、いしかわさんが「ポジティブ」を手に入れるのはほぼ無理ですね。


(ガーン…!)

やぎペーさん:
才能って自分で身につけようと思って身につくものじゃないし、数回受けて大きく結果が変動するというものでもないんです。

僕も、ストレングスファインダー上では「新しい人とすぐに仲良くなる能力」が皆無という結果が出てるんですが、「社交性」が欲しすぎて学生時代はすごく悩みました。すぐにグループに馴染めるようなコミュニティモンスターを見ると羨ましくて。

それで、100人に会えば何かが変わるかも!とヒッチハイクをしたんですけど、何も変わらなくて。むしろめちゃくちゃ辛くなっちゃったんです。

いしかわ:
そこまで頑張ったのに…

やぎペーさん:
僕はもともと起業がしたかったんですけど、社交性が欲しかった理由は、世の中にいる典型的な社長像に引っ張られて、周りを巻き込めなければリーダーにはなれないと思い込んでいたから。

でも、実際に自分の強みを活かしたやり方を見つけて、家で一人引きこもってみると、「あれ? 社交性がなくてもお金を稼げるし仕事もうまく回っている。自分なりの理想に向かう道を見つけた!」と吹っ切れることができたんです。

いしかわ:
自分なりの山の登り方があった、っていう。

やぎペーさん:
そう。だから、いしかわさんに「ポジティブ」の才能がないということは、いしかわさんは仕事をする時に「ポジティブ」をベースに物事を考えるのが苦手だし、むしろそれは自分が辛くなるやり方だってことだと思うんです。

それよりも、別の才能を使って違うやり方で物事を考えていく方が自分にも合っているし、それが一番成果を出せるはず。

だから、今自分が持っていないものを手に入れる必要なんて全くないんですよ!

やぎぺーさん:
それでいうと、僕がよく使う例え話にポケモンの話があるんですけど。


ポケモンの話…?

やぎペーさん:
まず、電気タイプのピカチュウと草タイプのフシギダネがパーティーを組んでいたとして、最初の敵に地面タイプのイワークが出てきたとします。

イワークにはピカチュウの電気ショックが全然効かないけど、フシギダネのはっぱカッターは効果てきめんで、一発で倒せる。

それを見たピカチュウは焦って、「俺ははっぱカッターを覚えないと活躍が出来ないんだ…」とはっぱカッターを必死に練習しようとする。でも、ピカチュウははっぱカッターを習得できないじゃないですか。

いしかわ:
できないですね…

やぎペーさん:
でも水タイプのポケモンが出てきた時に、電気タイプのピカチュウは活躍できる。つまり、自分の活躍できる場所は絶対にあるし、そのために電気ショック、つまり自分の得意なことを磨いておくのはとても大事

だから結局のところ、ストレングスファインダーを使った自己理解で最も大きな産物は、「周りの人に憧れなくなること」なんです。

いしかわ:
なるほど! みんな他の人の才能を羨んでしまいがちだけど、「憧れなくなる」ってすごくいい…!!

やぎペーさん:
僕は、自分のことが好きになれない理由は、才能を活かせていないことで、何かしらの問題が発生しているからだと思うんです。

そんな時は、自分の才能を見つめ直して、別のアプローチで攻められないかを考えてみる。そうすると、自然と周りの人に憧れなくなるはずです。

いしかわ:
やり方は違くとも、理想の自分にはなれるから、憧れる必要はないんだよって。

やぎペーさん:
できないことにフォーカスするのでなくて、「やりたいことを自分のやり方でやる」という考え方がもっと広まってほしいですね。

自分が生きやすくなるためのツールとして、多くの人にストレングスファインダーを活かしてもらえたらと思います。



『自己理解』なんて、就活生か意識高い系の人しかやらないものだと思っていました。

でも、実際に才能と仕事のやり方を照らし合わせてみると、確かに自分が苦手意識を抱いている仕事のやり方は、明らかに自分の才能とは真逆の行為でした。

ものすごく時間がかかっていたり、しんどいと感じている原因は、決して自分の能力が足りないからではなく、やり方が間違っているから。そう考えられるとちょっぴり自分を好きになれるな、と思いました(やはり根は陰キャラだった)。

他人に憧れ、自分と比べて自信をなくしてしまった人、自分には何の取り柄もないと思っている人、『他人に憧れない生き方』『自分だけの生き方』をストレングスファインダーで模索してみませんか? 

自分を認めてあげられれば、思ったよりもずっと、毎日が生きやすくなるはず。

才能研究家やぎぺー(@yagijimpei)さん | Twitter
https://twitter.com/yagijimpei

自分コンパス | あなたの才能を解放するメディア
https://jibun-compass.com/
やぎぺーさんが代表を務める株式会社Meeeが運営する「自分の生き方の指針が見つかるメディア」

ストレングスファインダー | CliftonStrengths
https://www.gallupstrengthscenter.com/
気になる方は「ストレングスファインダー」をぜひ受けてみてください

〈取材・文・撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉