1863年に世界で初めて開業した歴史あるロンドン地下鉄。駅も車両も丸みを帯びた管(チューブ)のような形状から、一般的に「チューブ(Tube)」の愛称で呼ばれています。

文明史にその名を刻み、150年以上の歴史を誇りながら日々進化・拡張を続けるロンドン地下鉄には、開業当時の面影をそのままに残す駅から、超近未来的なデザインの駅まで、鉄道ファンならずとも思わず足を止めたくなる魅力的な駅が数多く存在します。

今回は『こんな駅で待ち合わせしてみたい…』と思わせられる、ロマンティックな地下鉄駅をご紹介しましょう。

・ノッティング・ヒル・ゲート(Notting Hill Gate)

ノッティング・ヒル・ゲートは「サークル・ライン(Circle Line)」「ディストリクト・ライン(District Line)」「セントラル・ライン(Central Line)」が乗り入れるロンドン中西部の駅。サークル・ラインとディストリクト・ラインは線路を共有しており、ガラス張りのアーチ天井で覆われた同じホームに発着します。

ノッティング・ヒルの名をロマンティックな響きとともに世界に広めたのは何といっても1999年公開の映画「ノッティングヒルの恋人(原題: Notting Hill)」でしょう。

この街を舞台に、ヒュー・グラント演じる地味な書店主ウィリアムと、ジュリア・ロバーツ演じる美しいハリウッド女優アナという住む世界の違う2人の恋模様を描き、大ヒットとなりました。

天井のアーチからはちみつ色のレンガに降り注ぐ優しい自然光。アルコーブに設置されたベンチに座り、トンネルから出てきてまたトンネルへと入っていく車両、電車に乗り降りする人々を眺めていると、時間が経つのを忘れてしまいます。

駅の北側には「ノッティングヒルの恋人」の主要ロケ地であり、アンティーク・ショップやフード・ストールが立ち並ぶ「ポートベロー・マーケット(Portobello Market)」、南側にはウィリアム王子とキャサリン妃が子供たちと共に暮らす「ケンジントン宮殿(Kensington Palace)」などがあり、見所満載のエリアです。

・グロスター・ロード(Gloucester road)

サークル・ライン(Circle Line)、ディストリクト・ライン(District Line)、「ピカデリー・ライン(Piccadilly Line)」が乗り入れるこの駅は、駅舎が特徴的です。

趣のあるレンガの駅舎の隣に、オックスブラッド・レッド(oxblood red)と呼ばれる深い赤色のタイルが貼られたピカデリー・ラインの旧駅舎が隣接しています。駅舎の中はえんじとダーク・グリーンをポイント・カラーにしたクラシカルな印象。

ディストリクト・ラインへと下りる階段とプラット・ホームのライティングは情緒満点。


駅の周辺には大きなホテルも多く、徒歩圏に「ロンドン自然史博物館(Natural History Museum)」「ヴィクトリア&アルバート博物館(Victoria and Albert Museum)」「科学博物館(Science Museum)」があり、ロンドン観光の拠点としても便利な立地です。

・ハマースミス(Hammersmith)

ロンドン西部に位置するハマースミスは、商業ビルの下にありピカデリー・ラインとディストリクト・ラインが乗り入れるハマースミス駅と、サークル・ラインと「ハマースミス&シティ・ライン(Hammersmith & City)」の始発駅であるハマースミス駅は、道路をはさんで別の場所にあります。

駅舎もプラット・ホームも歴史情緒溢れる佇まいなのは、ハマースミス&シティ・ライン及びサークル・ラインのハマースミス駅。ハマースミス&シティ・ラインは1863年に開業した世界で最も古い地下鉄路線のひとつであり、19世紀当時の面影をそこかしこに見ることができます。

始発駅や終着駅に、普通の駅よりもロマンを感じませんか?

駅周辺は非常に賑やかですが、徒歩10分のところにはテムズ河にかかるエメラルド・グリーンのエレガントで美しい吊り橋「ハマースミス・ブリッジ(Hammersmith Bridge)」や外席が開放的な河沿いのパブがあり、ロンドン中心部よりも静かなテムズ河散策が楽しめます。

・Cockfosters(コックフォスターズ)

ピカデリー・ラインの終着駅であり、地上にあるこの駅は、1920年代から30年代にロンドンの多くの地下鉄駅をデザインした建築士で、アールデコ調のデザインを得意としたチャールズ・ホールデンによるもの。

ホールデンがモダン・ヨーロピアン・スタイルにデザインしたこの駅の特徴はなんといっても角ばった屋根。

オレンジ色のライティングがコンクリートに温か味を与えます。

レトロなムード満点の駅構内には、使われなくなった公衆電話コーナーもそのまま残されています。

タイルの色使いはソフトな印象。

コックフォスターズ駅徒歩3分のところには、美しい丘陵地帯と森が広がる自然公園「トレント・パーク(Trent Park)」があります。ロンドン中心部から地下鉄で1時間以内でありながら、イングランドののどかで美しいカントリー・サイドの景色が満喫できるオススメの公園です。

映画のワンシーンにでてきそうなこんな駅で待ち合わせをしたら、いつもよりロマンティックな気分になりそうですね。

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