ここは本当にロンドンなのか…白亜に輝くヨーロッパ初の伝統的ヒンズー寺院「スワミナラヤン・マンディール」
かつてイギリスの植民地であったインドから多くの人々がイギリスへ移住したことから、ロンドンをはじめイギリス全土には今でも多くのインド系移民が暮らしています。
大抵どの街にもインド料理のレストランや持ち帰り専門店が存在し、本格的インド料理を堪能することができます。
本国インドでは人口の約80パーセントが信仰しているとされているヒンズー教。当然イギリスにも小さなコミュニティー・センター様のヒンズー教の宗教施設から、本格的ヒンズー寺院まで多くの関連施設が存在し、ヒンズー教徒たちの信仰の支えとなっています。
今回ご紹介するのは北ロンドンに位置する、伝統的ヒンズー建築によって建てられたヨーロッパ初のヒンズー寺院「スワミナラヤン・マンディール(BAPS Shri Swaminarayan Mandir)」。
「Shri Swaminarayan」は「聖スワミナラヤン」、「Mandir」は「寺院」を意味し、ヒンズー教の聖人であるバグワン・スワミナラヤン派の寺院です。
1995年8月に開院したこちらの寺院。公式ウェブサイトによると、かつては伝統的技法により建てられたインド国外最大のヒンズー寺院として、ギネスブックにも認定されていたのだとか。
地名にちなんで通称「ニーズデン・テンプル(Neasden Temple)」と呼ばれ、ヒンズー教徒以外の観光客にも門戸を開く開放的な雰囲気です。
最寄り駅の「ニーズデン(Neasden)」からは徒歩20分。近くにはIKEAがあります。ニーズデン駅の隣駅で、サッカーの大きな試合が開催される「ウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)」の最寄り駅である「ウェンブリー・パーク(Wembley Park)」からは寺院までバスが通っています。
寺院にはインド系私立学校と大きなベジタリアン・インド料理レストラン「シャヨナ・レストラン(Shayona Restaurant)」が隣接していますが、それ以外はインド人街が広がっているという印象はなく、周辺は落ち着いた雰囲気の普通の住宅街となっています。
ヒンズー教徒以外の一般客も受け入れているためセキュリティも万全。入り口で持ち物をX線検査機にかけ、金属探知機のゲートをくぐります。
建物への入り口は白亜の宮殿のような本堂ではなく、本堂とつながっている「ハヴェリ(Haveli)」と呼ばれるカルチャー・センターと講堂の入った大きな建物。
見事な木の彫刻で縁取られたハヴェリに入ったら、まず玄関で靴を脱ぎます。寺院訪問の主なルールは、
・土足厳禁
・肩、胸、ヘソ、上腕部を含む上半身が隠れており、下半身は膝下まで隠れている服装であること
・大きな荷物の持ち込み禁止(手荷物預け所有り)
・内部撮影禁止
ハヴェリ内部及び、息をのむほど美しい寺院の内部は残念ながら撮影禁止。拝観は無料。ハヴェリの中に入るとボランティアの青年が素早く近づいてきて、
「当寺院はヒンズーの伝統的な建築方法で建てられています。材料となる石はすべてインドで手彫りされて、ブロックごとにイギリスに運ばれたのですよ。そしてまるでおもちゃのレゴ・ブロックのように組み立てられたんです。こちらの木の彫刻もインドで彫られ運ばれています。象や孔雀などの動物の彫刻にも注目してみてくださいね」
と説明してくれました。
まずは大きな絨毯が敷かれたレスト・エリアを囲む動植物の精巧な木の彫刻に感嘆の声をあげてから、渡り廊下でつながった白亜の寺院へ向かいます。
隅々まで清潔に保たれた大理石の上を素足で歩くのは心地よく、足から伝わる冷たさに背筋が伸びる思いにさせられながら、内部の階段を上がり、大ドームの下に位置する本堂に足を踏み入れます。
寺院の階段の手すり、窓枠、通気口の蓋にいたるまで、見事な木の彫刻が施されていますが、それ以外は白い世界。大理石に動植物の精巧な彫刻が施され、透かし彫りで飾られた柱が立ち並び、まるで息を呑むような異空間が広がっています。
全身を投げ出して行う最も丁寧な礼拝法「五体投地(ごたいとうち)」をする信心深いヒンズー教徒によって敬虔な雰囲気が漂う中、ヒンズー教の神々の像に囲まれて、中央の祭壇には聖スワミナラヤンが祭られています。
特に感動したのは見上げた大ドームの円形天井。中央に幾重にも広がる花模様を、16体の天界人が囲み、我々を見下ろし、祝福を降り注いでいます。この天井を見上げた時、まるで天国にいるような、はたまた白昼夢か幻覚を見ているような錯覚に陥りました。
中の様子は360度見渡せるこちらのリンク「http://www.dermandar.com/p/dgfsxC」からどうぞ。
高さ21メートル、幅22.5メートル、全長60メートル。7つの尖塔と6つのドームを持ち、500の異なるデザインで飾られ、寺院の中はイタリア製の大理石、外側はブルガリア産の石灰石と大階段は大理石で作られています。伝統建築でありながらエレベーター付きで床暖房も完備しているそうです。
ハヴェリ内にはショップもあり、インド食品、石鹸やお香などの生活用品、置物や絵葉書などの土産物が安値で販売されています。
しばしロンドンにいることを忘れさせられるニーズデン・テンプル。ロンドン旅行のついでにインド旅行気分にも浸ってみては?
BAPS Shri Swaminarayan Mandir(Neasden Temple)
住所:105-119 Brentfield Rd,London,NW10 8LD
Post: GoTrip! http://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア