磐田では時に黒子役に徹することもあるが、そうしたプレーも名波監督から評価してもらっているようで、「ストレスを感じることはない」という。写真:徳原隆元

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 ともに左利きで、日本代表でも10番を背負い一時代を築いたふたりは今、同じチームで監督と選手という立場で戦っている。
 
 名波浩と中村俊輔。日本が生んだファンタジスタ同士、共感する部分は多いのではないだろうか。
 
 名波監督の下、俊輔は磐田でトップ下や2列目の右サイド、シャドーと複数のポジションをこなす。時に、チームメイトの良さを引き出すために黒子役に徹し、フィニッシュに直接絡めない時もあるが、「そこまでストレスを感じることはない」のは、「名波さんも分かってくれていると思うから」だろう。
 
 たとえアシストができなくても「ゴールにつながる前の前の前ぐらいのパスが効いていた、というのが分かってもらえるだけでも嬉しい」と俊輔は語る。指揮官のシーズン中の手綱捌きについては「課題を見つけて、修正して。毎週、毎週、その繰り返しだけど、名波さんはそのへんのマネジメントだったり、次に向かわせるための方向付けが上手いし、スムーズ」と全幅の信頼を寄せる。
 俊輔はトップ下に強いこだわりを持つが、磐田では率先して右サイドでもプレーする。
 
「そこは名波さんとも相談しているから。チームが成長できるなら、それでいい。そこに喜びも感じているのは間違いない。チームメイトが伸び伸びとやって、サッカーの楽しさを存分に味わう。そこで俺に何ができるか」
 
 ふたりの関係性は良好そのもの。「お互いをリスペクトし合っていて、人と人とのつながりが太い」磐田というクラブで、俊輔は思い切りサッカーに打ち込めている。チームの勝利のために、全力を注ぐ覚悟でいる。
 
「だから、上から目線な言い方かもしれないけど、なおさら勝たせたいと思う。中村俊輔を獲得したことが、間違いではなかったと証明したい」
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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