CBS MarketWatchによると、米地域電話最大手のベライゾン・コミュニケーションズは21日、テキサス州ダラス・フォートワース郊外の町ケラーで、光ファイバーを利用した映画配信のCATV（ケーブルテレビ）事業を開始する。ケラーの人口は約3万人で、すでに、他社の大規模ケーブルテレビ事業者チャーター・コミュニケーションズと小規模事業者ワンソース・コミュニケーションズの2社が事業を展開している。

　　ベライゾンは、電話サービス会社として初のCATV市場参入企業となり、今後の業界地図が塗り替えられる可能性がある。一方、米国では、CATV事業者が電話サービスを提供する流れが出て来ており、ベライゾンの動きは、電話会社の生き残りをかけた争いともいえる。ベライゾンは、全米最速のブロードバンド接続とケーブルテレビ会社を作るため、数十億ドルを投じて、光ファイバー網を構築する計画だ。

　　しかし、ベライゾンと米地域電話2位のSBCコミュニケーションズは州と連邦政府の規制の壁に直面している。両社はすでに数千の市町村で電話サービスを提供しているが、同じ地域でCATV事業を始めるには、新たに事業免許の取得が必要になるからだ。ベライゾンなどの電話会社は、全米での事業免許を電話会社に早く与えるよう連邦議会に法改正を陳情しているが、法案は今年中には議会を通過しないと見られている。ただ、テキサス州では、ベライゾンとSBCは、かろうじて州内全ての市町村で、ビデオ配信サービスを行う権利を得たが、連邦議会での法案が通らない限り、すでに電話設備のある地域で、同じ設備を使ってCATVサービスを始めるためには、逐次、それぞれの市町村や州で事業免許を申請しなければならない。同社はすでにニュージャージー州などで交渉を行っている。

　　ベライゾンは、CATV事業免許の取得と同時並行して、同事業を予定している東部15州で、光ファイバーの敷設工事を進めており、2005年末にはベライゾン利用者のうち、300万人にCATVサービスの提供が可能になるとしている。【了】