『不愛荘(ぶあいそう)』という店名ながら、大将は気さくで会話も楽しい!

遊び慣れた大人ならば、1、2軒は押さえておきたいのが外にほぼ目印のない隠れ家的名店。

今回紹介する『不愛荘』もそんな名店のひとつ。階段下に灯るひょうたん型ランプだけが、店の場所を示してくれる。



目印のひょうたん型のランプ。ポストにも『不愛荘』三〇一号と書かれているので、勇気を出して階段をのぼっていこう
足元に灯るランプの明かりを頼りにマンションの3階へと進む

恵比寿駅から徒歩3分ほどで辿り付く恵比寿南1丁目。近年食通たちが注目する名店がこぞってオープンするエリアの一角に『不愛荘』はある。

店先に掲げられる看板はなく「てっぱん」と書かれたひょうたん型のランプのみが同店の目印だ。普通のマンションのような佇まいに、「本当にここ?」と思わずには居られない。

「鉄板焼きを食べに行こう」と誘われて、行ってみたら普通のマンション……というドキドキ感は、デートにおいても最高のスパイスになってくれるだろう。



階段の途中にある看板から「間違ってないぞ」と確信を持てる

階段をのぼっていくと、途中にやっと「てっぱん料理 不愛荘」という看板があり、少し安堵したのもつかの間、出迎えるのはごく普通のマンションの扉。



この扉を躊躇なく開けることが出来るようになれば大人の称号を得たも同然

「え、これ人の家では?」と躊躇すること必至である。



鉄板を囲むように座れるテーブル席も備えるが、おすすめはやはりライブ感のあるカウンター席だ
扉を開ければ名店の風格を即感じる

扉を開けて中に入っていくと鉄板の前で腕を振るう大将が「いらっしゃい」と出迎えてくれる。予約の名前を告げ、席に。



接客中のほがらかな笑顔とは打って変わって、鉄板に向かう時の表情は真剣そのもの

おまかせコースは4,000円〜選べるが、この日は人気の6,000円コースをオーダー。予約の時に好みのコースをオーダーしておけば、後は好きなお酒を選ぶだけ。

料理は目の前で繰り広げられる大将のヘラさばきを眺めつつ、身を委ねればいい。



「海鮮盛り合わせ」。この日は白ハマグリ、本マグロのたたき トマトわさびソース、牡蠣、本ししゃも、タコの柔らか煮

コース最初に登場するのは「季節の海鮮盛り合わせ」。

昔から付き合いのある仲買人さんから仕入れる新鮮な旬の魚貝を使用しており、日によって少しずつ内容が変わっていく。



「焼きうに、おこげイクラのせ」。「ジャパニーズピッツァ」のような感覚で熱いうちに召し上がれ

コースのなかでも人気が高いのが「焼きうに、おこげイクラのせ」。

香ばしいおこげと、炙ったうに、そしていくらの旨みが、一体となって口いっぱいに広がるのだから美味しくないはずがない。


ガッツリ系の鉄板料理も、大満足の美味しさです♡



まずは鉄板で表面を焼き上げ、一度火から下ろしてホイルで包み数分寝かせる。この工程が肉の旨みをアップさせる
6,000円コースを選ぶべき最大の理由はここにある!

同店で6,000円コースを特におすすすめするのは、A5ランクの黒毛和牛のランプとイチボという2種の部位が楽しめることにある。



絶妙な焼き加減で柔らかくジューシーに仕上がった和牛。肉の厚みや状態を見極めて寝かす時間を微妙に調整していくところに熟練の技を感じる

このお肉が大将の腕にかかると、悶絶級の旨みを含んだ絶品肉へと変貌するのだ。



生地と生地の間に牛スジをたっぷりと入れ、焼き上げていく

コースの〆はお好み焼き、そばめし、葱焼きなどから選べる。この日は九条のスジ豚葱焼きをセレクト。



この後、マヨネーズや土佐正油で味付けされ、一口サイズに切り分け完成

2時間半ほど下煮した後で甘辛く煮込んだ牛スジをたっぷりと生地の間に潜ませたネギ焼きは、〆ではあるが堪らずもう一杯をオーダーしてしまうこと必至の一品。



デザートには「大葉のシャーベット」。自家製で作られる大葉の香りが爽やかな一品。世界的に有名なショコラティエも愛した味だそう!
海鮮から肉、〆まで揃い、とにかくコスパ抜群!

隠れ家感と最高コスパを兼ね備えた『不愛荘』。もちろん今回紹介したコース内容は、ごく一部である。この他にも、焼き物や小鉢物など、メイン級の料理の合間にも数品が提供され、満腹になれることは間違いない。



恵比寿駅西口を出て、線路沿いを歩き坂道をのぼっていくと飲食店が建ち並ぶエリアがある

恵比寿南一丁目エリアにある『不愛荘』。このエリアの隠れ家を押さえておいてこそ、真の「遊び慣れた大人」と言えるだろう。