さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介するTOKYO FMの番組「ピートのふしぎなガレージ」。10月14日(土)放送のテーマは「流れ星」。子どもの頃、「流れ星に願いを3回唱えると願いが叶う」などと聞いたことはありませんか? 現代は数千もの人工衛星が宇宙を飛び交い、Googleが火星への移住計画に投資する時代。ですが、それでもなお、夜空に流れる星には神秘的な美しさとロマンを感じます。今回は「流れ星」を見つけるコツについて、TOKYO FMの番組の中で詳しい方々に教えていただきました。
(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」2017年10月14日(土)放送より)


都会でも見られる!「流れ星」を見つけるコツ、教えます



◆「流れ星は意外なくらい見ることができます」
国立天文台 副台長 渡部潤一さん


── 「流れ星」ってどんな星なんですか?

流れ星は星座を作っている星とは違い、地球の大気中で起こっている現象です。だいたい地上から100kmくらいのところで、宇宙から降り注いだ小さな砂粒が摩擦で燃えているのが流れ星の正体。あれだけ明るく光っていても1mmとか1cmとかの非常に小さな粒に過ぎません。でもそれが秒速数十kmという猛スピードで落ちてくるので、ものすごく明るく光るんです。

そんな砂粒を生み出しているのは小惑星と彗星です。火星と木星の間には数十万個の小惑星があるのですが、小惑星同士がぶつかることで小さな砂粒がたくさん生まれ、それが太陽系の中に散らばっています。また、彗星は主に氷と砂粒でできた泥玉みたいなもので、太陽に近づくと氷が溶けて宇宙に砂粒をたくさん放出するんです。それが尾のように見えるので「ほうき星」とも呼ばれます。

── 流れ星ってどれくらいの頻度で見られるものなんでしょうか?

最近は満天の星空を見る機会もなかなかありませんが、満天の星空なら流れ星はいつでも見ることができます。1時間も夜空を見上げていれば10〜20個くらいはラクに見えるでしょう。さらに特定の時期になると1時間に100個なんてこともあります。それを「流星群」と呼びます。

流星群は宇宙の砂粒が多い場所を地球が通過するときに起こります。この砂粒が多い場所は川のように帯状に分布しているのですが、よくよく調べてみるとそこは彗星が通った跡なんです。そこに地球が突っ込むと特定の方向から砂粒がいっぱい降ってきて、流れ星がたくさん見えるという仕組みです。

── 渡部さんも流れ星を見にいったりするんですか?

たまにクルマで見に行ってますよ。中央道で八王子と甲府の間あたりのちょっと暗めのところまで行って、山のほうへ入って見るんです。星がキレイに見えるところであればあるほど流れ星も暗いものまで見えるので、圧倒的に数が増えますから。

ただ、流れ星にお願いごとをするのはけっこう難しいと思います。なにせ光っているのはあっという間で、普通は1秒も続きません。ごくまれに隕石になるような非常に大きな流れ星もあって、それなら5〜10秒は続きます。でも月よりも明るくなるので、ビックリして願い事どころではないでしょう。20世紀の終わり頃には筑波に隕石が落ちたのですが、青空の中で見えたほど明るい流れ星でした。

◆「新しい彗星を見つける方法」
コメットハンター 村上茂樹さん


── コメットハンターって何をするんですか?

コメット(彗星)のハンター(捕まえる人)ですから、新しい彗星を探し出そうと夜空を調べています。ただ、ハンターと呼ばれていてもめったに獲物は捕まりません(笑)。私はコメットハンターを20年くらいやっていますが、見つけたのは2個。それでもかなり運の良いほうだと思います。

彗星の名前は国際天文学連合が発見者の名前で自動的につけるのですが、2002年に私が発見した彗星は「スナイダー・村上彗星」と名付けられました。アメリカ人のスナイダーさんのほうが私よりも7時間くらい先に見つけたのですが、同じ日、アメリカの次に夜が来た日本でも私が見つけたので2人の連名になっています。2010年に発見した彗星は日本人2人の連名で「池谷・村上彗星」です。

── 彗星を探すってどうやるんですか?

私がやっているのは昔ながらの方法で、望遠鏡を覗いて、怪しい天体を見つけたらひとつひとつチェックしていくというやり方です。望遠鏡は鏡の直径が46cm、高さ2mくらいある、けっこう大きなものを使っています。クルマに積んで運んで、1回ごとに組み立てています。

彗星を探す手がかりはほとんどありません。ただ、彗星は太陽に近づくと徐々にガスを出して明るくなります。そこで太陽の近くを探すのが鉄則です。もちろん昼は星が見えないので、日が沈んだ西の空と、日が昇る前の東の空を探すのですが、夜明け前のほうがよく見つかります。太陽の裏側にある彗星がポコッと見えやすいのが夜明け前なんです。

── 怪しい天体って何が違うんですか?

彗星はガスが出ているので望遠鏡で見ると輪郭がボンヤリしています。普通の星だと世界で一番大きな望遠鏡でも点にしか見えないので、まずそこが違うんです。ただし星雲もボンヤリと見えるので、星図を見て確認します。さらにすでに発見されている彗星の可能性もあるのでネットで確認して、全部違えば新しい彗星です。

最近は自動で新しい彗星を探すシステムも登場しています。1980年にシューメーカー・レヴィ第9彗星が木星に衝突して話題になったのですが、調べてみたらけっこう頻繁に起きる現象であることがわかったんです。確率的には飛行機事故と変わらない危険度だと言われたので、彗星を徹底的に探すシステムが開発され、今では毎年50個くらいの彗星を見つけています。「パンスターズ」と名付けられている彗星がその機械で発見された彗星なんですが、ちょっと寂しいですね。

◆「10月21日は都市部でも流星を見るチャンス!」
タレント 黒田有彩さん


── 黒田さんは流星を見に行ったりするんですか?

私は雑誌『天文ガイド』で連載をさせていただいているのですが、編集長やカメラマンの皆さんと出張して、流星群が流れる様子をニコニコ生放送でネット中継したりしています。

去年の夏はペルセウス座流星群を見に福島県の天文台まで行ったら、大きめの流れ星「火球」を見ることができました。普通の流れ星は「シュッ!」と流れますが、火球は「ビリビリビリ!」という感じで、流れた場所にしばらく流星痕と呼ばれる白い雲のような痕跡も残っていました。一瞬、空が明るくなるくらい眩しい流れ星でした。

── それはスゴイ。ぜひ一度、見てみたいものです!

火球はめったに見られませんが、夜に外で寝転がったり座ったりして空を見上げるだけですごく特別な気持ちになれますよ。私のおすすめは寝そべって見ること。だから寝袋やアウトドア向けのベッドみたいなものがあると最高だと思います。さらに温かい飲み物やちょっとしたおやつなんかもあると良いですね。寒かったらクルマの中からでも十分に見えるので、無理のない範囲で楽しんでください。

流星を見るとき、一番邪魔なのは雲です。雲に邪魔されると本当に残念なことになるので、流星を見に行く前に雲の動きを把握しましょう。そのときに便利なのが「GPV 気象予報」というWebサイト。これはプロからアマチュアまで天文好きにはおなじみのサイトで、1日半くらい先までの雲の流れをチェックできます。このサイトで「このへんが晴れそう」という場所を見つけて行くのがおすすめです。

── これからの流星群といえばいつ頃でしょう?

10月21日の夜8時くらいからおそらく夜明け前まで、オリオン座流星群が見られます。今年はちょうど新月の翌日で月明かりに邪魔されることなく流星を楽しめるので、見るための条件がとても良い流星群です。

流星群のときは明るい都会でも、ビルの屋上や建物に視界を遮られない場所に行けばチラホラと流星が見えると思います。そういう場所だと1時間に3〜4個くらいでしょうか。それでも普段と違って都会で確実に流星が見られるので、遠出できない方もぜひ夜空を見上げてみてください。

TOKYO FMの「ピートのふしぎなガレージ」は、《サーフィン》《俳句》《ラジコン》《釣り》《バーベキュー》などなど、さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介している番組。案内役は、街のはずれの洋館に住む宇宙人(!)のエヌ博士。彼のガレージをたまたま訪れた今どきの若者・新一クンと、その飼い猫のピートを時空を超える「便利カー」に乗せて、専門家による最新情報や、歴史に残るシーンを紹介します。

あなたの知的好奇心をくすぐる「ピートのふしぎなガレージ」。10月21日(土)の放送のテーマは「水中写真」。お聴き逃しなく!


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聴取期限 2017年10月22日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:「ピートのふしぎなガレージ」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週土曜17:00〜17:50(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/garage