アメリカ海軍が誇る特殊部隊<ネイビーシールズ>の一員になるためには、26週間にもおよぶ過酷なブートキャンプを経なければならない。しかも最終的には75%が脱落するという、とにかく狭き門なのである。それでも毎年志願者が絶えない理由は、それだけ若い兵士にとって憧れの存在ということだろう。

SEALs候補になるためには必要最低限の身体能力が必要であり、誰もが入り口に立てるわけではない。それを測る試験を「PST(Physical Screening Test)」というのだが、クリアしなければいけない条件というのが案の定、すさまじい厳しさだった。 

https://www.youtube.com/watch?v=We-Bh1z4JgE

出典: www.youtube.com

内容はいたってシンプルで、長距離走と水泳は規定の距離を時間で測り、腕立て、腹筋、懸垂は2分間に何回できるかをカウント。ただし、最低限クリアしなければならない条件として規定されているのが以下だ。

■500ヤード(約457メートル)水泳:12分30秒

■腕立て伏せ50回:2分

■腹筋50回:2分

■懸垂10回:2分

■1.5マイル(2.414キロメートル)走:10分30秒

……念のために言っておくが、これは最低条件である。これをクリアできない者は即アウトだ。

もちろん無事クリアしたとしても成績上位の者が多ければ、定員からはみ出た合格者は容赦なく切り捨てられる。できるだけ強くて速くて体力があって、明晰な兵士を必要としているのだから当然だろう。

ちなみに“最適条件”としてあげられているスコアはこちら。

■500ヤード(457.20メートル)水泳:8分50秒

■腕立て伏せ100回:2分

■腹筋100回:2分

■懸垂20回:2分

■1.5マイル(2.414キロメートル)走:8分50秒

「SEALsになるためにはこれくらいの数字を出してほしい」ということなのだろうが、筋力系は倍の数字で、走りと水泳のタイムも分単位で縮まっている。

しかも、これが一番重要なのだが、これらを全部“連続で行う”という条件付きなのである。どの種目も全力のノンストップで休む暇一切なし! 数字ではピンとこなかった人も、これでいかに過酷で常軌を逸した試験なのか実感できるだろう。

これをクリアしてみせて、初めてSEALsになるための訓練を受けられる。そして鬼教官の怒号が飛び交う中、重装備を抱え、砂漠や寒冷地、山やら海やらの過酷な現場を駆け巡り、それでも脱落しなかった者だけがSEALSになれるのだ。もう考えただけで血反吐を吐きそうだが。

photo:映画「ネイビーシールズ」(C)2012 IATM, LLC