メルセデスAMGが誇る技術を惜しみなく投入した「メルセデスAMG GT R」を2300万円で発売開始
「メルセデスAMG GT」をベースに、ニュルブルクリンク24時間耐久レース、SUPER GTなどで戦うカスタマースポーツレーシングカー「メルセデスAMG GT3」で培った技術を投入したという「メルセデスAMG GT R」が6月27日、2300万円のプライスタグを掲げて発表されました。
見所が満載なので、ここでは技術的なトピックスを拾い上げてご紹介します。エンジンは専用開発されたAMG製4.0L V8直噴ツインターボで、徹底した軽量化やドライサンプ潤滑システムによる55mmという低重心化が図られています。
また、2基のターボチャージャーをV8エンジンのVバンク内側に配置する「ホットインサイドV」レイアウトによるコンパクト化と吸排気経路の最適化など、メルセデスAMGが誇る技術を惜しみなく投入。過給圧は「AMG GT」の1.2バールから1.35バールへと 引き上げられています。
これらにより、585ps/700Nmという圧倒的なアウトプットを得ています。「メルセデスAMG GT S」と比べると、最高出力は75ps、最大トルクは50Nmの増強になり、パワーウエイトレシオは2.80kg/ps、0-100km/h加速は3.6秒で到達します。
組み合わせされるトランスミッションは、7速の「AMGスピードシフト DCT」。1速をワイド化し、7 速とファイナルギヤをクロスさせることにより、素早いシフトチェンジを実現するとのこと。
パワートレーン以外にも注目点は多く、メルセデスAMGモデルとして初めて「AMGリヤ・アクスルステアリング」が標準装備されています。
同システムは、通常相反するアジリティ(俊敏性)と安定性を理想的な形で両立させるもの。リヤアクスルには通常のコントロールアームに代えて、「バイワイヤ化」されたステアリングアクチュエーターを2つ用意。
車速 100km/h 以下では、後輪は前輪とは逆方向に操舵され、ホイールベースを短縮するのと同じ効果をもたらすそう。そのほか、転回時や駐車時などにおいて機動性の向上や回転半径が小さくなることなどの利点もあります。
一方で、車速が100km/hを超えると、リヤホイールを前輪と同じ方向に操舵することで、実質的にホイールベースを拡大されることになり、操縦安定性を高めます。
サスペンションは、サーキット走行を見据え、ダブルウィッシュボーンとステアリングナックル、前後のハブキャリアは100%鍛造アルミニウム製とすることで、バネ下重量が軽減されています。
リヤアクスルのロアウィッシュボーンに採用されたピロボールジョイントもモータースポーツから流用された技術で、ウィッシュボーンブッシュより耐摩耗性が高いうえに、設計上まったく遊びがないことから、大きな荷重を受けてもトーインとキャンバーが変化しないそうです。
電子制御式アダプティブダンピングコントロールの「AMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション」や9段階調整式の「AMGトラクションコントロール」を搭載。とくに後者は、駆動輪であるリヤアクスルのスリップ量を9段階からあらかじめ設定することができます。
(塚田勝弘)
メルセデスAMGが誇る技術を惜しみなく投入した「メルセデスAMG GT R」を2300万円で発売開始(http://clicccar.com/2017/07/01/486671/)