年代別の貯蓄額を考える - 「みんなどのくらい貯めてる?」
●年代別の平均貯蓄額は?
お金の話題は、友人など親しい間柄でもしにくいものです。しかし、「みんなどのくらい貯蓄しているのだろう」と気になることはないでしょうか。特に、自分と同世代の人がいくら貯めているのか、知りたいですよね。そこで今回は、年代別の貯蓄額や貯蓄の目的、そして、計画的にお金を貯める方法などをまとめてみました。
○年代別の貯蓄額はどのくらい?
まず、20〜60代の年代別貯蓄額を見ていきましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(平成28年)」によると、金融資産を保有する各年代の金融資産保有額の平均は、以下の通りです。
■二人以上世帯
20歳代 385万円
30歳代 612万円
40歳代 939万円
50歳代 1,650万円
60歳代 2,202万円
■単身世帯
20歳代 287万円
30歳代 957万円
40歳代 1,594万円
50歳代 2,431万円
60歳代 2,642万円
ちなみに、年代を問わない金融資産保有世帯の平均は、二人以上世帯で1,615万円、単身世帯では1,590万円。年代ごとに見ても、かなり貯蓄をしていると感じる数値ではないでしょうか。「うちはこんなに貯めていない」と焦ってしまうかもしれません。
●実際の平均貯蓄額はどのくらい?
ただし、これはあくまで「平均」です。つまり、高額な貯蓄をしている一部の世帯により、平均値が引き上げられていると考えられます。より実情に近い数値としては、「中央値」が参考になるでしょう。中央値とは、数字を小さい順に並べたときに真ん中にくる数字のこと。それでは、金融資産を保有する各年代の中央値を確認してみましょう。
■二人以上世帯
20歳代 215万円
30歳代 410万円
40歳代 602万円
50歳代 1,074万円
60歳代 1,500万円
■単身世帯
20歳代 158万円
30歳代 500万円
40歳代 789万円
50歳代 1,064万円
60歳代 1,323万円
なお、全年代における貯蓄額の中央値は、二人以上世帯で950万円、単身世帯で600万円となっています。各年代の数値も含め、平均値と比べてだいぶ金額が変わっていますね。また、年代が上がるごとに貯蓄額は増え、一定の世帯ではしっかりお金を貯めていることがわかります。
一方で、金融資産を保有しない世帯は二人以上世帯で30.9%、単身世帯で48.1%という結果に。何らかの理由で貯蓄ができていない世帯も、かなり高い割合となっています。このような貯蓄ゼロ世帯も含めれば、貯蓄の平均値、中央値はともにもっと下がります。その場合、二人以上世帯の平均値は1,078万円、中央値は400万円、単身世帯の平均値は822万円、中央値は20万円という結果になりました。
○貯蓄の目的とは
それでは、貯蓄をしている世帯は、主にどのような目的でお金を貯めているのでしょうか。同調査によると、二人以上世帯における金融資産の保有目的は、「老後の生活資金」が最も多く、70.5%。次いで、「病気や不時の災害への備え」が65.7%、「こどもの教育資金」が28.8%と続いています。今や、老後資金の不安はどの年代にも共通するお金の悩みとなっていますが、そうした事情を反映する結果となっています。
一方で、「とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心」という回答が22.2%。目的はなくても、とりあえず貯蓄をしておくことで、いざという時の安心感につながると考えている人も多いようです。
●計画的に貯蓄するには
○各年代は何にお金がかかっている?
さて、各年代ではどのようなことにお金がかかっているのでしょうか。20代では、まだ所得がさほど多くないため、一人暮らしだと生活費だけで精いっぱいということも。一方、独身で実家暮らしの場合、自分のために使えるお金が多く貯蓄も充分にできます。20代で結婚をした場合は、その費用に最もお金がかかることが多いようです。
30代は、結婚して子どもが産まれるなど、生活に変化が生じる年代です。家を購入すれば、住宅ローンの負担もかかりますし、子どもの教育費を準備する必要もあります。また、共働き家庭の場合、子どもが生まれて妻が時短勤務になるなど、収入が減るのに保育料など子育て関連の費用がかかるといった事態も考えられます。
40代になると、住宅ローンに加えて教育費もかさむようになり、最も出費の多い時期に突入します。あわせて自分たちの老後の費用もそろそろ準備を……となると、なかなか厳しい家計状況になることも多いでしょう。
50代では、子育てがひと段落し、比較的余裕ができる年代ですが、子どもが卒業するまでは教育費の負担がかかりますし、60代になる前に住宅ローンを返済するとなると、50代が正念場です。また、老後の設計も真剣に考える時期。老後資金の準備に本格的に取り組むようになります。
ライフステージによってお金の使い道は変わっていきますが、どのような年代でも、コツコツと貯蓄をして備えておくことの意義は大きいと言えるでしょう。
○計画的にお金を貯めるには
老後資金、教育資金など目的のある貯蓄だけでなく、現時点では明確な使い道が決まっていないとしても、いざという時に備えるお金は必要です。貯金を全くしていないなら、すぐにでも行動に移したいところです。一人暮らしは手取りの2割、夫婦共働き家庭なら毎月2〜3割、独身で実家暮らしの場合は4割を貯蓄の目標にしてみましょう。ただし、出費が多い時期は無理しない程度に調整してください。金額は少なくても継続してお金を貯めていくことが大切です。
そして、毎月計画的にお金を貯めていくためには、給料が振り込まれたら天引きで貯蓄分を別口座に振り分ける「先取り貯蓄」が基本となります。勤め先の「財形貯蓄制度」や金融機関の「自動積立定期預金」を利用し、勝手にお金が貯まっていく仕組みを取り入れてみましょう。残りのお金でやりくりする習慣をつければ、これまで貯蓄できなかった人でも、さほど苦労せずに貯められるはずです。
同年代の貯蓄額を知ると、自分の家庭と比べて「もっと貯金を頑張らないと」と思ってしまうことがあるかもしれません。しかし、お金はたくさん貯めていればいいわけではなく、使い方が大切です。まずは、自分や家族のライフプランを確認し、貯蓄に関して目標を立ててみましょう。
筆者プロフィール:武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。
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お金の話題は、友人など親しい間柄でもしにくいものです。しかし、「みんなどのくらい貯蓄しているのだろう」と気になることはないでしょうか。特に、自分と同世代の人がいくら貯めているのか、知りたいですよね。そこで今回は、年代別の貯蓄額や貯蓄の目的、そして、計画的にお金を貯める方法などをまとめてみました。
○年代別の貯蓄額はどのくらい?
まず、20〜60代の年代別貯蓄額を見ていきましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(平成28年)」によると、金融資産を保有する各年代の金融資産保有額の平均は、以下の通りです。
20歳代 385万円
30歳代 612万円
40歳代 939万円
50歳代 1,650万円
60歳代 2,202万円
■単身世帯
20歳代 287万円
30歳代 957万円
40歳代 1,594万円
50歳代 2,431万円
60歳代 2,642万円
ちなみに、年代を問わない金融資産保有世帯の平均は、二人以上世帯で1,615万円、単身世帯では1,590万円。年代ごとに見ても、かなり貯蓄をしていると感じる数値ではないでしょうか。「うちはこんなに貯めていない」と焦ってしまうかもしれません。
●実際の平均貯蓄額はどのくらい?
ただし、これはあくまで「平均」です。つまり、高額な貯蓄をしている一部の世帯により、平均値が引き上げられていると考えられます。より実情に近い数値としては、「中央値」が参考になるでしょう。中央値とは、数字を小さい順に並べたときに真ん中にくる数字のこと。それでは、金融資産を保有する各年代の中央値を確認してみましょう。
■二人以上世帯
20歳代 215万円
30歳代 410万円
40歳代 602万円
50歳代 1,074万円
60歳代 1,500万円
■単身世帯
20歳代 158万円
30歳代 500万円
40歳代 789万円
50歳代 1,064万円
60歳代 1,323万円
なお、全年代における貯蓄額の中央値は、二人以上世帯で950万円、単身世帯で600万円となっています。各年代の数値も含め、平均値と比べてだいぶ金額が変わっていますね。また、年代が上がるごとに貯蓄額は増え、一定の世帯ではしっかりお金を貯めていることがわかります。
一方で、金融資産を保有しない世帯は二人以上世帯で30.9%、単身世帯で48.1%という結果に。何らかの理由で貯蓄ができていない世帯も、かなり高い割合となっています。このような貯蓄ゼロ世帯も含めれば、貯蓄の平均値、中央値はともにもっと下がります。その場合、二人以上世帯の平均値は1,078万円、中央値は400万円、単身世帯の平均値は822万円、中央値は20万円という結果になりました。
○貯蓄の目的とは
それでは、貯蓄をしている世帯は、主にどのような目的でお金を貯めているのでしょうか。同調査によると、二人以上世帯における金融資産の保有目的は、「老後の生活資金」が最も多く、70.5%。次いで、「病気や不時の災害への備え」が65.7%、「こどもの教育資金」が28.8%と続いています。今や、老後資金の不安はどの年代にも共通するお金の悩みとなっていますが、そうした事情を反映する結果となっています。
一方で、「とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心」という回答が22.2%。目的はなくても、とりあえず貯蓄をしておくことで、いざという時の安心感につながると考えている人も多いようです。
●計画的に貯蓄するには
○各年代は何にお金がかかっている?
さて、各年代ではどのようなことにお金がかかっているのでしょうか。20代では、まだ所得がさほど多くないため、一人暮らしだと生活費だけで精いっぱいということも。一方、独身で実家暮らしの場合、自分のために使えるお金が多く貯蓄も充分にできます。20代で結婚をした場合は、その費用に最もお金がかかることが多いようです。
30代は、結婚して子どもが産まれるなど、生活に変化が生じる年代です。家を購入すれば、住宅ローンの負担もかかりますし、子どもの教育費を準備する必要もあります。また、共働き家庭の場合、子どもが生まれて妻が時短勤務になるなど、収入が減るのに保育料など子育て関連の費用がかかるといった事態も考えられます。
40代になると、住宅ローンに加えて教育費もかさむようになり、最も出費の多い時期に突入します。あわせて自分たちの老後の費用もそろそろ準備を……となると、なかなか厳しい家計状況になることも多いでしょう。
50代では、子育てがひと段落し、比較的余裕ができる年代ですが、子どもが卒業するまでは教育費の負担がかかりますし、60代になる前に住宅ローンを返済するとなると、50代が正念場です。また、老後の設計も真剣に考える時期。老後資金の準備に本格的に取り組むようになります。
ライフステージによってお金の使い道は変わっていきますが、どのような年代でも、コツコツと貯蓄をして備えておくことの意義は大きいと言えるでしょう。
○計画的にお金を貯めるには
老後資金、教育資金など目的のある貯蓄だけでなく、現時点では明確な使い道が決まっていないとしても、いざという時に備えるお金は必要です。貯金を全くしていないなら、すぐにでも行動に移したいところです。一人暮らしは手取りの2割、夫婦共働き家庭なら毎月2〜3割、独身で実家暮らしの場合は4割を貯蓄の目標にしてみましょう。ただし、出費が多い時期は無理しない程度に調整してください。金額は少なくても継続してお金を貯めていくことが大切です。
そして、毎月計画的にお金を貯めていくためには、給料が振り込まれたら天引きで貯蓄分を別口座に振り分ける「先取り貯蓄」が基本となります。勤め先の「財形貯蓄制度」や金融機関の「自動積立定期預金」を利用し、勝手にお金が貯まっていく仕組みを取り入れてみましょう。残りのお金でやりくりする習慣をつければ、これまで貯蓄できなかった人でも、さほど苦労せずに貯められるはずです。
同年代の貯蓄額を知ると、自分の家庭と比べて「もっと貯金を頑張らないと」と思ってしまうことがあるかもしれません。しかし、お金はたくさん貯めていればいいわけではなく、使い方が大切です。まずは、自分や家族のライフプランを確認し、貯蓄に関して目標を立ててみましょう。
筆者プロフィール:武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。
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