パトカーに駐禁ステッカー 山口県警「駐車違反でない」
山口県下関市内で県警パトカーに駐車違反のステッカーが貼られていたと、隣県の地元経済紙がツイッター上で写真付きで紹介し、波紋が広がっている。県警では、J-CASTニュースの取材に対し、「駐車違反ではない」と言っている。
「下関の駐車違反取締は容赦がないです」。2017年5月25日にこうツイートしたのは、福岡県北九州市内にある小倉経済新聞だ。
小倉経済新聞が写真をツイートし反響
アップされた写真を見ると、下関ナンバーのパトカーのフロントガラスに駐車違反のステッカーらしきものが貼られている。後方に小さく見える一般車のバンにも貼られていることから、この辺りで山口県警が民間に委嘱した駐車監視員が巡回していたらしい。
写真が反響を呼び、4万件もリツイートされており、様々な意見がツイートされている。
ステッカーが本物かどうか疑う声が出たほか、「たとえ身内でも違反は違反ということか」「赤色灯を消しているから、一般車両と見なされて、駐禁切符を切られた?」「これでこそ平等だよなー」などと監視員を讃える声も多かった。一方、「不自然」「容赦なさすぎ」などとパトカーを駐車違反にしたことに疑問を呈する向きもあった。
そこで、小倉経済新聞の編集部に26日取材すると、編集長がこう説明した。
「写真は、私の友人からもらったものです。監視員のおじさんが現場を回っていたところをカメラで写したと聞いています。監視員は、厳重にやっていると住民の間で評判になっており、フェアさが際立っていると思います。こんな話を取り扱うのは初めてで、リツイートが伸びているのにびっくりしています」
友人が撮影したのは、25日午前11時前ぐらいだといい、駐車禁止になっている下関市内の公園前の道路だそうだ。
山口県警のパトカーが駐車違反をしていたというのは、本当なのだろうか。
「監視員が道路交通規則を理解していなかった」
下関署の副署長は5月26日、J-CASTニュースの取材に対し、同署のパトカーに駐車違反のステッカーが貼ってあったのは事実と認めた。しかし、「駐車違反ではない」と説明し、監視員がステッカーを貼ったものの、警察官は切符を切っていないことを明らかにした。
その理由としては、山口県道路交通規則の第3条の3項で、駐車禁止の道路標識等による交通の規制の対象から除く車両として、「交通の取締り、犯罪の捜査、警備活動その他の警察活動に伴い停止を求められている車両」であることを挙げた。パトカーはこの日、「犯罪の捜査をしていた」と副署長は説明する。
一方、たとえパトカーであっても、駐停車が禁止されている交差点内や横断歩道から5メートル以内、歩道といった「法定駐車禁止場所」については、駐車できない。こうした場所は、人の生命に関わる出動に限り、赤色回転灯を点灯させれば駐車できる。ここ10年ほどでは、神奈川県警や京都府警、大分県警のパトカーが法定駐車禁止場所で切符を切られ、運転者の警察官が反則金を支払う事態になっている。
今回の写真では、パトカーの後方に交差点らしきものが見えるが、下関署では、交差点内などの法定駐車禁止場所ではないと取材に説明した。それにもかかわらず、なぜ監視員が駐車違反のステッカーを貼ったかについては、「道路交通規則の除外規定を理解していなかったのだと思います。監視員の方には、規則などについて勉強してほしいと伝えました」と言っている。