CBS MarketWatchによると、27日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、米国標準油種WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の8月物は、極めて旺盛な需要とイラクでの治安の悪化やイラン新政権による供給懸念を背景に、日中一時60.95ドルとザラ場の最高値を更新した後、結局、前週末比0.70ドルの1バレル60.54ドルと初めて60ドル台に乗せて引けた。

  IFRマーケッツのティム・エバンス上級アナリストは、「OPEC(石油輸出国機構)の余剰生産能力への懸念と、イランの次期大統領の政策が同国の投資環境に与える影響などへの不安を織り込み、原油市場はまだ上昇局面にある」と、投資家向け調査報告書の中で分析した。

  イランは先週末に、保守派のマフムード・アフマディネジャド・テヘラン市長を次期大統領に選出しており、すでに緊張関係にある対米関係の、さらなる悪化が懸念されている。シカゴのアラロン・トレーディングのフィル・フリン上級アナリストは、「イランの選挙は市場が60ドル台に乗せるのに十分な材料だった」と指摘。また、ファイマットUSAのアナリスト、マイク・フィッツパトリック氏は、「(イランの次期大統領が、)国際メジャーよりも、イランの国内石油会社に便宜を与えることで、原油生産能力が制限される可能性がある」との見方を示した。

  また、フリン上級アナリストは、イランの政治情勢が価格維持の要因となる一方、「石油先物は現在、需要主導の市場が続いており、来月4日の米独立記念日の祝日から先の需要は、非常に高いものになる」と予測した。

  原油価格の続伸で、溜出油も上昇、ガソリン7月限は前週末比1.93セント高の1ガロン=1.675ドル、暖房油7月限は同2.57セント高の1ガロン=1.6761ドルと、ともに反発した。【了】