【特別インタビューも敢行】ルノー・スポール「トップガン」の助手席を体験!

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ニュルのレコードを出した男「ロラン・ウルゴン」に富士で対面

11月9日に、富士スピードウェイ・ショートコースで行われた、ルノー・スポール・スペシャルディーラー研修の取材が許され、この研修の目玉である、ウルゴン氏がドライブするメガーヌR.S. 273に同乗させてもらう機会を得た。

ウルゴン氏は、ルノー・スポールで、F1を除く競技車両と市販車両のテストドライブを担当しているテスターで、メガーヌ R.S.273トロフィーRでは、ドイツのニュルブルクリンクで市販FF車の最速ラップタイム(7分54秒36当時)をマークしたレコードホルダーとしても知られている。

そんなウルゴン氏によるドライビングは、はじめに電子制御をすべてONした状態からスタート。

273馬力のターボエンジンを搭載しているとはいえ、メガーヌはやはりコーナーでタイムを稼ぐマシン。電子制御が入っていても、やたらとヨーを押さえる方向ではなく、ウルゴン氏のステアリング操作に対し、忠実にノーズがインを向いていく。舵角は少なめで、スタビリティが高いので、アクセルオンのタイミングも速い。たしかに、これなら好タイムが出るだろう。

後半は、電子制御をオフにして、豪快なドライビングを披露。ストレートエンドでは、わずかにフェイントモーションを入れ、ブレーキを残しながら、オーバーステア気味にターンイン。サスペンションはしなやかでよく動くので接地性はしっかりしているが、ドライビング次第で大きなヨーも出せるのは、シャーシ性能が高い証拠。ドライビング中のウルゴン氏は、電子制御オンオフに関わらず、リラックスした様子のままだが、やはり、電子制御オフのほうが、ドライビングプレジャーは高い印象。

同乗後に確認してみると、「オーバーステア気味のセッティングが好み」ということで、メガーヌR.S. 273のハンドリングにも、そうしたウルゴン氏の好みが反映されているのは間違いない。

ベース車の特性を活かしつつサーキットでも楽しめるよう仕上げる

せっかくなので、ウルゴン氏にショートインタビューを試みてみた。

Q1:ルノー・スポールのテストドライバーは、何人いるのでしょう?

A1:F1を除けば、ワタシ(ウルゴン)を入れて2名です。

Q2:ルノー・スポールのテストドライバーになる条件は?

A2:第一にクルマが大好きなこと。さまざまなサーキット、トラック、さまざまな条件下で、安定してクルマのパフォーマンスを引き出せることも大事ですし、クルマのメカニズムに精通していることも重要です。また、他社のスポーツカーについての知識もひと通り必要です。

Q3:ルノー・スポールの開発テストでとくに重視している点は?

A3:ベース車両の特性を生かしつつ、サーキットでも楽しめるようにすることです。パーセントでいえば、一般道を想定したルノーのテストトラックが60%、残りがニュルブルクリンクをはじめとするヨーロッパ各地のサーキットで、冬場はスウェーデンの凍結路なども走ります。

Q4:メガーヌはニュルブルクリンクでレコードを出しましたが、ルノー・スポールにとってのニュルはどのような位置づけなのでしょう?

A4:ニュルはやはり特別な場所です。世界的に有名なサーキットですし、なによりクルマとドライバーにとって、とても厳しく難しいサーキットですから。我々もニュルでは1000kmテストを定期的に行っています。

Q5:ニュルで速いクルマに仕上げるポイントは

A5:メガーヌ R.S. 273トロフィーRでいえば、いろいろな制御の設定が選べたところです。メガーヌに限らず、速くて楽しいクルマに仕上げるには、サスペンション、ハンドリングのチューニングが重要です。ワタシたちが一番力を入れているのも、ハンドリングのセッティングです。

Q6:現代のハイパフォーマンス・スポーツカーは、電子制御の味付けも重要な要素だと思うのですが。

A6:フランスでは、プレイステーション世代(ゲームで育った若いクルマ好き)だと、電子制御は簡単に速く走れるとして、好意的に受け入れられています。しかし、もっと前からのクルマ好きは、電子制御の介入によって、ドライビングプレジャーがスポイルされる印象もあるでしょう。だからルノー・スポールでは、電子制御に細かいモードを用意して、どちらのユーザーにも安全に、ドライビングを楽しんでもらえるよう心がけています。

Q7:最後に日本のルノー&ルノー・スポールファンにメッセージを

A7:言葉だけではなかなか伝わらないものがあるので、ぜひルノーのディーラーに出かけて、実際に私たちが作ったクルマに乗ってみてください。(文・インタビュー:藤田竜太)