伊豆クレイル

2016年7月16日より小田原〜伊豆急下田駅間で、リゾート列車「IZU CRAIL（伊豆クレイル）」が運行を開始する。

この列車はJR東日本が首都圏で運行する初のリゾート列車であり、"伊豆の景色をゆっくり眺めながら「食とお酒とおしゃべり」を楽しむ"というコンセプトで早くも注目を集めている。

小田原駅改札内のコンコースには利用客専用のラウンジもオープンするなど、ＪＲ東日本の力の入れようが感じられるこのリゾート列車の発表会で、その全貌に迫る。

のんびり景色と食事を楽しむためのデザイン


ＪＲ東日本（左・平野横浜支社長）と伊豆急行（右・小林取締役社長）ががっちりタッグ

白を基調にしたボディにピンクゴールドで桜、海風、さざなみなど伊豆にまつわる模様があしらわれた「伊豆クレイル」は4両編成で、小田原〜伊豆急下田駅間を2時間26分で走行する。

2人用のカウンター席などから成る1号車、6つのコンパートメント席で構成される3号車がびゅうプラザで旅行商品として販売される座席。回転式リクライニングシートと固定式ボックスシートの4号車は、乗車券と指定席券で利用できる。残りの2号車は、バーカウンターとラウンジのみとなる。

詳しいスペックは、公式サイトに譲るが、1.8×0.8メートルの大きな一枚窓、新幹線グランクラスより2センチメートル広い座席など、最大のセールスポイントであるオーシャンビューを最大限楽しむための造りにＪＲ東日本の本気さがうかがえた。

見た目とボリュームを兼ね備えた地元食材満載グルメ


秋元さくらシェフ（写真左端）が監修した、伊豆らしさ満載の料理を楽しめる

リゾート列車の最大の目玉となる料理に関しても、「伊豆クレイル」はこだわりを見せた。女性に人気のフレンチレストラン「モルソー」（東京・目黒）の秋元さくらシェフが監修。四季折々の伊豆の食材を使い、車窓からの景色にも負けない美しい見た目の料理がラインナップ。


往路メニュー「クレイルスタイル・サマーランチセット」

小田原発の下り線の車内では、「クレイルスタイル・サマーランチセット」がスタンバイ。平塚のフレンチ「アッシュ×エム」が手掛けたワンボックスランチには、ローストビーフ、伊豆温泉メロンと生ハムのオードブル、ワサビ香る冷製フランなど料理8品に、杏仁のババロアとマンゴーソースなどデザートメニューが2品。伊豆クラフトビールやコーヒーなども付き、しっかりランチコースを味わったかのようなボリュームと味を満喫できる。

伊豆急下田発の上り線は、「クレイルスタイル・アフタヌーンカフェセット」が楽しめる。スパークリングワインのウェルカムドリンクで迎えられた後に登場するのは、ライトミール＆スイーツのアソート。伊豆下田港水揚げ・金目鯛のコンフィ、駿河湾の桜えびとベーコンのキッシュ、伊豆稲取ニューサマーオレンジプリンなど、全6品は、伊豆今井浜東急ホテルが地元の名産をたっぷり使い、伊豆旅行のフィナーレを飾るのに最適な料理となっている。


ドリンクも充実

実際に試食してみたが、どちらも見た目の華やかさや味の美味しさは言うまでもなく、ボリュームもたっぷりで、女性だけでなく男性でも満足すること間違いなし。下田までの時間も、この料理を楽しんでいたらあっという間に感じるかもしれない。

この料金は、高いか、安いか、評価が分かれるところか...


ＪＲ東日本横浜支社20周年記念キャラクター「Ｙキャラ」の田辺桃子さんが伊豆クレイルの魅力をＰＲ

そこで気になるのは、料金だ。

前述のとおり、4号車利用以外、1号車と3号車の乗車はびゅうプラザで旅行商品として販売される。

東京駅発着の料金で見てみると（すべて料理代金込。東京〜小田原間は東海道線普通車グリーン車利用、下田でのクーポン500円券付き）、�‘�帰りで、往路を伊豆クレイル、復路はスーパービュー踊り子号などを利用すると1万6600円。　��日帰りで、往路をスーパービュー踊り子号、復路は伊豆クレイルの利用で1万5600円。　ほかに下田に宿泊し、往復伊豆クレイル利用パターン（4万100円〜）や熱海発の片道パターン（1万円）などもある。

ちなみに、東京〜伊豆急下田を�，離僖拭璽鵑念貌Ε�レイルではなくスーパービュー踊り子号利用で普通に乗車してみると、東京〜伊豆急下田駅乗車券3883円、東京〜小田原グリーン車（休日事前購入）750円、小田原〜伊豆急下田特急指定席1780円、復路の伊豆急下田〜東京特急利用代6433円なので、合計1万2846円也。

となると、料理代は3754円程度という計算になる。ビールやコーヒーも付いていて、下田に着いてからの昼食代が浮くと考えると、まあまあ妥当な金額か。

1万6600円という金額だけを見た時には、高っ！と思ったのが正直なところだが、下田までの交通費、なかなか馬鹿にならないのであった。高い安いは個人の判断によるところだが、この料金設定は"アリ"な範疇ではなかろうか。個人的には、小田原発着ということで、新宿からロマンスカーを利用し、豪華ビュー車のハシゴも楽しいかもと思った。

車体のピンクゴールドから始まり、女性シェフ監修のグルメの導入など20代〜40代の女性をターゲットとして想定しているこの伊豆クレイル。大人の列車旅ブームの波に乗れるか、注目だ。

伊豆クレイルは2016年7月16日デビュー。運行は７〜9月の土日と、7月18日、8月11日、9月19日、22日。下りは小田原駅発11時40分伊豆急下田着14時6分。上りは伊豆急下田発15時9分小田原着17時12分。

びゅうプラザでの発売は2016年6月3日14時から開始となる。