営業ツール Facebookだけで充分なワケ

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 晴れて個人事業主としての活動をスタートさせ、「何かの取っ掛かりになれば」と思いFacebookに自分の仕事についての投稿をいくつかしてみたものの、反応はほとんどなく、それどころか、久々に再会した友人から「なんか最近、宣伝っぽい投稿ばかりだね……」と言われてしまう始末。
 
 FacebookなどのSNSを使って、「いかにも営業」という印象を与えずに、自分の情報を「未来の顧客」に届けることは簡単ではない。だが、いくつかのポイントを踏まえれば、そのような使い方は充分可能だ。そのポイントを『Facebookを「最強の営業ツール」に変える本』(技術評論社刊) の著者、坂本翔さんにお話をうかがった。

――本書では「まずFacebook営業をマスターしてほしい」と書かれています。SNSのなかには、TwitterやInstagramなど様々なものがあるなかで、坂本さんはFacebookをどのように位置づけていますか。なぜ営業ツールとして重要視されているのでしょうか。

坂本:Twitterは短文・時系列、Instagramは、画像必須・見た目重視、LINEは個人間のクローズドなやりとりなど、それぞれ特徴があります。それらのものと比べると、Facebookはよい意味で「無色透明」という印象を持っています。
短文でないといけないわけではない、画像を付けないといけないわけではない、個人間のやりとりだけではない。よい意味で色がない、逆に言うと、他のSNSができることは全てできてしまう万能なSNSがFacebookです。
だからこそ、本書でお伝えしている「Facebook営業」のノウハウやマインドを身に付けることで、他のSNSに応用して成果を出すことも難しくありません。このような理由で、「まずはFacebook」とお伝えしています。

――唐突な質問で恐縮ですが、坂本さんはFacebookを使い始めて何年ほど経ちますか? 本の内容からは少し逸れてしまいますが、坂本さんが使い始めた頃と現在とを比べ、投稿する側・投稿を読む側として、「使われ方がこう変わり始めた」等の感想があれば教えてください。

坂本:本格的に使い始めたのは2011年頃だったと思います。その頃と比べると、他のSNSが急速に発達したので、各SNSの性質を理解し、使い分ける時代が来たと言えます。
Facebookの変遷にフォーカスしてお伝えすると、Facebook広告の精度が高まってきたことで、それなりの知識がないと、適切なセグメントに対して、効果的に広告配信を行うことが難しくなってきました。これまでのFacebook広告は、「誰でも簡単にできる」というところを推していた感があるので、その意味では大きな変化と言えます。
また最近は、各ユーザーにとって有益な情報をニュースフィードに表示しようとする傾向に加えて、ユーザー自身が自分のニュースフィードをカスタマイズできるようになったので、投稿の内容が年々重要になってきています。ここで言う「投稿の内容」とは、単なる情報提供型の記事だけではなく、それぞれのページの「ターゲットが求めているもの」かつ「集客にもよい影響を及ぼすもの」である必要があります。
例えば、飲食店のFacebookページの場合、「ファンが求めているもの」かつ「集客にもよい影響を及ぼすもの」は、「料理」の写真です。
いいね!の種類が6種類に拡充されたこともあり、なるべく否定的な反応が付かないように、前述のようなことを意識して投稿の内容を考える必要があります。

――営業目的で使う場合、坂本さんは基本的に「Facebookページ」の運用を推奨し、個人アカウントはあくまでプラスαとして使うだけで充分という立場をとられていますが、これはなぜですか?

坂本:一番の理由は「Facebook広告」です。個人アカウントでは、原則Facebook広告を使えないため、リーチできる層や数に限界があります。ただ、本書でも解説しているように、個人アカウントには、Facebookページでは実現が難しい距離感でのコミュニティ形成ができるため、個人アカウントも活用すべき業種はたくさんあります。現に私は、個人アカウントも積極的に活用し、仕事の獲得などにつなげています。

――本のなかでも触れられていましたが、Facebookを営業ツールとして使うときにプロフィール文が重要であると気づかれたきっかけは何でしょうか。

坂本:初対面の方とお会いする前など、「話のネタに」と相手方のFacebookやウェブサイトのプロフィールを事前に確認したりすることはあると思います。
私の場合は、Facebook経由で人とお会いすることが多く、初対面の方とは事前にFacebookでつながっていることがほとんどです。
そんな状況で初対面の方とお話を進めていくと、「プロフィールに書いていましたね」と言われることが多く、「意外とプロフィールって見られているんだ」と感じたのが、プロフィール文が重要だと気付いたきっかけです。
また、プロフィール文は、手っ取り早く自分の実績などを伝えるのに便利です。今回の出版の担当者さんも、私の企画を進める前に、プロフィール文を読んでくださったようで、スムーズに話が進みました。

――今のお話に関連して、もう一点うかがわせてください。本書で「プロフィール文は200字〜400字が適量」と書かれていますが、坂本さんがこれまで見てきたなかで、この字数を下回ったり上回ったりすることで、実際にどれくらい顧客からの反応が悪くなった、という具体例があれば教えてください。

坂本:この文字数を下回ると、読みやすいというメリットがある反面、自分の実績や自分自身の過去を伝える場であるにもかかわらず、「これだけ?」という印象を与えてしまい、クライアントや取引先に不安を感じさせてしまう原因にもなります。
反対に文字数が多くなってしまうと、どうしてもまとまりがなく、話が散らばった印象になってしまいがちなので、結局なにが伝えたいのかを読み手側が感じ取れず、何の印象も残らないという結果になってしまいます。そもそも400字を超える長文だと、読む気すら失せてしまい、読んでもらえない場合も多いです。

(後編へ続く)