「マイナス金利」で住宅ローン利用者が窮地に?
年金が心もとない今、若いうちから将来のための資金を準備しておくことは必須!
そのために身につけておきたいのが資産運用や投資といった、自分のお金を守り、育てるための知識ですが、経験のない人からしたら、そもそも何をどうすればいいかわからないはずです。
そんな人に向けて『日本人だけが知らない「がんばらない」投資法ほったらかしでも1億円貯まる!』(二見書房刊)の著者で投資家の中井俊憲さんはこんな目標を与えてくれます。
「1億円の資産を年利5%〜7%で運用する」
これは誰にでも可能なのでしょうか?今回は中井さんご本人にお話をうかがいました。
――本書で提唱している「7%で運用」というのは、かなりの高利回りですよね。
中井:「7%」というのは一例で、投資商品によっては利回り3%のものもありますし、大きいものだと20%のものもあります。平均すると大体5〜7%くらいですから、そのくらいの利回りで運用、というのが現実的な数字だと思っています。
――この利回りを実現するための手法が「海外投資」です。「海外投資」といってもいろいろあるのですが、まず預金の利率が10%以上ある国があることに驚きました。
中井:モンゴルやブラジルといった国ですよね。ただ、確かに高金利は魅力的なのですが、通貨の価値も考えにいれないといけません。モンゴルでいえば、日本円とモンゴルの通貨トゥグルクのレートですね。
預金金利に限らず、海外には日本ではまずないような高利回りの投資商品が多くあるので、ぜひ目を向けてみていただきたいです。
――海外投資に興味がある人は多いと思いますが、やはり「語学」が必要になるのではないですか?
中井:語学は意外に問題にならないですよ。海外の金融機関には日本語サポートがあるところも多いですし。英語ができないからといって海外投資を諦めることはないと思います。
――NISAや保険など、既存の日本の金融商品のリスクについて書かれていた箇所が非常にインパクトがありました。こうしたものを無自覚に利用してしまっている人は多いと思いますが、老後のための資産を築くには、日本の金融商品だけでは難しいのでしょうか。
中井:そう思います。たとえば投資信託にしても、日本の投資信託は「見えない手数料」が内側に隠れているんです。
日本の証券会社でも海外のファンド(投資信託)を買うこともできるのですが、どんなに利回りのいい海外ファンドに投資したとしても、この大きな中間マージンによって顧客に入ってくる利回りは低くなってしまいます。
また、保険などの一般的な日本の投資商品の利回りが単純に低いということもいえますね。貯蓄型の保険でいえば今の日本だと年利1%以下でしょう。これがシンガポールだと年利3%〜4%というものも多くあります。
今後、日本の財政が厳しくなると個人の預金や証券会社などの金融機関の資産が課税の対象になることもありえます。「死亡消費税」や「貯蓄税」まで検討されているというニュースもあるくらいですから、資産運用や投資を考えるなら日本にこだわる必要はないのではないでしょうか。少なくとも、国内の投資商品だけしか見ないと選択肢がすごく少なくなってしまいます。
――最近の投資の流行として「ワンルームマンション投資」が挙げられます。都心にワンルームマンションを買って賃貸に出して家賃収入を得たり、売ったりといったことをするわけですが、これにも疑問を投げかけていましたね。
中井:前提としてワンルームマンションはそこまでニーズがなくて値が上がりませんし、ローンを組んでしまうと返済に何年もかかりますからね。
不動産業者がこういう物件を売る時に「税金が安くなりますよ、トータルで考えたら得ですよ」というセールストークを使うのですが、これもよく考えるとおかしいんです。
要は「不動産事業を赤字にすることで、会社員として納めている税金が安くなりますよ」ということなのですが、税金は安くなっても何千万も借金をしてローンを組んだ挙句に不動産事業が赤字なのでは、資産運用としては失敗ですし、リスクが高すぎます。
――日銀が導入を決めた「マイナス金利」は投資をする人にとって気になるところです。個人の投資に「マイナス金利」はどんな影響を与えるかご意見をうかがえますか?
中井:まず、定期預金の金利が普通金利並みに引き下げられました。今のところ、個人の預金に対してマイナス金利は導入されていませんが、口座維持手数料の導入やATM手数料の値上げなどで実質的なマイナス金利になるかもしれません。銀行にお金を預けているとこのような手数料でマイナスになっていく可能性はあります。
逆に借りる場合は金利が安くてよいですね。ただ、注意しなくてはいけないのは今「変動金利」でローンを組んでいる人です。この「マイナス金利」が悪い方に働いて、日本の経済がいよいよ危なくなってきたら、ローンの金利が急に上がってもおかしくありません。今住宅ローンの金利であれば1%くらいだと思いますが、これが8%くらいに上がることも考えられます。金利の動向には常に気をつけておきましょう。
――本書には、投資運用によってお金を増やす方法だけでなく、手持ちの資金を守る方法についても書かれています。この「守り方」についてアドバイスをいただけますか。
中井:これは一例ですが、「ずっと入っているし、まあいいか」という理由で、よく考えると必要ない保険に入り続けている人は結構多くて、その支払いに月1万円とか2万円が消えているという現実があります。
最近実際にあった話で、30歳の方なのですが保険料が月に7万円かかっているという人がいました。特に収入がいいわけではなくて月収30万円くらいなのに、保険に7万円かけている。いくらなんでも多すぎます。
おそらく、以前もう少し収入がよかった時に加入した保険なのでしょうが、今の収入になってもほったらかしにしているというのはよくありません。額は違えどこういう状態になっている人は少なくありません。投資をするにしても、自分の現状をよく見てそれに合わせてやっていただきたいですね。
特に、マイナス金利は保険会社にとっても辛いため、近々掛け金が上る可能性があります。今のうちに適切な保険かどうか見なおしておいたほうがいいでしょう。
――中井さんは本書をどんな方に向けて書かれましたか?
中井:僕は今34歳なのですが、10年前にこんな本があったらな、と思える本を書こうと思っていました。
当時、勤めてはいましたけど年金も期待できないし、退職金も出るかわからないしで、このままじゃまずいと思っていましたし、投資をするにしても情報が多すぎて何をしていいかわかりませんでした。今も当時の僕のような人はいるはずで、そういう人にぜひ読んでいただきたいですね。
――最後になりますが、今おっしゃったような、投資を始めたいけどどうしていいかわからないという方々にメッセージをお願いできればと思います。
中井:お金持ちになりたければお金について学ばなければならない、と何かの本で読んで、実践するようになってから僕の人生は変わっていきました。この本も、お金について学びはじめるきっかけになってくれたらいいなと思っています。
(新刊JP編集部)
そのために身につけておきたいのが資産運用や投資といった、自分のお金を守り、育てるための知識ですが、経験のない人からしたら、そもそも何をどうすればいいかわからないはずです。
そんな人に向けて『日本人だけが知らない「がんばらない」投資法ほったらかしでも1億円貯まる!』(二見書房刊)の著者で投資家の中井俊憲さんはこんな目標を与えてくれます。
これは誰にでも可能なのでしょうか?今回は中井さんご本人にお話をうかがいました。
――本書で提唱している「7%で運用」というのは、かなりの高利回りですよね。
中井:「7%」というのは一例で、投資商品によっては利回り3%のものもありますし、大きいものだと20%のものもあります。平均すると大体5〜7%くらいですから、そのくらいの利回りで運用、というのが現実的な数字だと思っています。
――この利回りを実現するための手法が「海外投資」です。「海外投資」といってもいろいろあるのですが、まず預金の利率が10%以上ある国があることに驚きました。
中井:モンゴルやブラジルといった国ですよね。ただ、確かに高金利は魅力的なのですが、通貨の価値も考えにいれないといけません。モンゴルでいえば、日本円とモンゴルの通貨トゥグルクのレートですね。
預金金利に限らず、海外には日本ではまずないような高利回りの投資商品が多くあるので、ぜひ目を向けてみていただきたいです。
――海外投資に興味がある人は多いと思いますが、やはり「語学」が必要になるのではないですか?
中井:語学は意外に問題にならないですよ。海外の金融機関には日本語サポートがあるところも多いですし。英語ができないからといって海外投資を諦めることはないと思います。
――NISAや保険など、既存の日本の金融商品のリスクについて書かれていた箇所が非常にインパクトがありました。こうしたものを無自覚に利用してしまっている人は多いと思いますが、老後のための資産を築くには、日本の金融商品だけでは難しいのでしょうか。
中井:そう思います。たとえば投資信託にしても、日本の投資信託は「見えない手数料」が内側に隠れているんです。
日本の証券会社でも海外のファンド(投資信託)を買うこともできるのですが、どんなに利回りのいい海外ファンドに投資したとしても、この大きな中間マージンによって顧客に入ってくる利回りは低くなってしまいます。
また、保険などの一般的な日本の投資商品の利回りが単純に低いということもいえますね。貯蓄型の保険でいえば今の日本だと年利1%以下でしょう。これがシンガポールだと年利3%〜4%というものも多くあります。
今後、日本の財政が厳しくなると個人の預金や証券会社などの金融機関の資産が課税の対象になることもありえます。「死亡消費税」や「貯蓄税」まで検討されているというニュースもあるくらいですから、資産運用や投資を考えるなら日本にこだわる必要はないのではないでしょうか。少なくとも、国内の投資商品だけしか見ないと選択肢がすごく少なくなってしまいます。
――最近の投資の流行として「ワンルームマンション投資」が挙げられます。都心にワンルームマンションを買って賃貸に出して家賃収入を得たり、売ったりといったことをするわけですが、これにも疑問を投げかけていましたね。
中井:前提としてワンルームマンションはそこまでニーズがなくて値が上がりませんし、ローンを組んでしまうと返済に何年もかかりますからね。
不動産業者がこういう物件を売る時に「税金が安くなりますよ、トータルで考えたら得ですよ」というセールストークを使うのですが、これもよく考えるとおかしいんです。
要は「不動産事業を赤字にすることで、会社員として納めている税金が安くなりますよ」ということなのですが、税金は安くなっても何千万も借金をしてローンを組んだ挙句に不動産事業が赤字なのでは、資産運用としては失敗ですし、リスクが高すぎます。
――日銀が導入を決めた「マイナス金利」は投資をする人にとって気になるところです。個人の投資に「マイナス金利」はどんな影響を与えるかご意見をうかがえますか?
中井:まず、定期預金の金利が普通金利並みに引き下げられました。今のところ、個人の預金に対してマイナス金利は導入されていませんが、口座維持手数料の導入やATM手数料の値上げなどで実質的なマイナス金利になるかもしれません。銀行にお金を預けているとこのような手数料でマイナスになっていく可能性はあります。
逆に借りる場合は金利が安くてよいですね。ただ、注意しなくてはいけないのは今「変動金利」でローンを組んでいる人です。この「マイナス金利」が悪い方に働いて、日本の経済がいよいよ危なくなってきたら、ローンの金利が急に上がってもおかしくありません。今住宅ローンの金利であれば1%くらいだと思いますが、これが8%くらいに上がることも考えられます。金利の動向には常に気をつけておきましょう。
――本書には、投資運用によってお金を増やす方法だけでなく、手持ちの資金を守る方法についても書かれています。この「守り方」についてアドバイスをいただけますか。
中井:これは一例ですが、「ずっと入っているし、まあいいか」という理由で、よく考えると必要ない保険に入り続けている人は結構多くて、その支払いに月1万円とか2万円が消えているという現実があります。
最近実際にあった話で、30歳の方なのですが保険料が月に7万円かかっているという人がいました。特に収入がいいわけではなくて月収30万円くらいなのに、保険に7万円かけている。いくらなんでも多すぎます。
おそらく、以前もう少し収入がよかった時に加入した保険なのでしょうが、今の収入になってもほったらかしにしているというのはよくありません。額は違えどこういう状態になっている人は少なくありません。投資をするにしても、自分の現状をよく見てそれに合わせてやっていただきたいですね。
特に、マイナス金利は保険会社にとっても辛いため、近々掛け金が上る可能性があります。今のうちに適切な保険かどうか見なおしておいたほうがいいでしょう。
――中井さんは本書をどんな方に向けて書かれましたか?
中井:僕は今34歳なのですが、10年前にこんな本があったらな、と思える本を書こうと思っていました。
当時、勤めてはいましたけど年金も期待できないし、退職金も出るかわからないしで、このままじゃまずいと思っていましたし、投資をするにしても情報が多すぎて何をしていいかわかりませんでした。今も当時の僕のような人はいるはずで、そういう人にぜひ読んでいただきたいですね。
――最後になりますが、今おっしゃったような、投資を始めたいけどどうしていいかわからないという方々にメッセージをお願いできればと思います。
中井:お金持ちになりたければお金について学ばなければならない、と何かの本で読んで、実践するようになってから僕の人生は変わっていきました。この本も、お金について学びはじめるきっかけになってくれたらいいなと思っています。
(新刊JP編集部)