採用失敗を招く 人事担当の勘違い戦略とは
「良い人がいれば、すぐにでも採りたい」。そう思いながらも、なかなか応募が来なかったり、あるいは内定辞退が相次いだりと、採用活動がうまくいかず、頭を抱えている世の人事担当者は少なくないでしょう。
『良い人材を確実に採用し定着させるポイント』(産労総合研究所 出版部 経営書院刊)の著者、谷所健一郎さんは食品会社で延べ1万人以上の面接に携わってきた経験などにもとづき、「良い人を確実に採用する」ためのポイントを解説しています。
■求職者にアピールすべきは業績ではない!?
まず、「そもそも応募が来ない」という課題を抱える企業の場合、どこから手をつけるべきなのでしょうか。
このような課題を抱える企業の採用活動にありがちなケースとして谷所さんが指摘するのは、「業績や商品力ばかりを前面に出す」求人内容にしてしまうこと。しかし求職者にとって最大の関心事は、業績や商品力「そのもの」にではなく、それらのことが自分にどのような影響を与えるのかにあるといいます。
谷所さんは食品会社時代、人事担当者として「内定者全員、入社後すぐに食文化を知る海外研修」というコピーを求人広告に盛り込んだ結果、多くの応募を集めることに成功したそうです。
つまり、企業側は採用活動を通して「求職者が自分自身の将来像をイメージしやすい」状態をつくり出すことを求められているといえるのではないでしょうか。
■求職者が採用活動「以上」に気にしていること
ついで「応募はそれなりに来る。でも、『採りたい』人にことごとく逃げられてしまう」という悩みを持つ人事担当者に参考にしてほしいポイントを紹介しましょう。
求職者や内定者にとって「自分がその企業で働く」ことを想像するとき、どうしても気になるのは労働環境。しかし本書によれば「労働環境の悪さに気づきながら、つい放置してしまい、良い人材を採り逃がしている」企業は少なくないといいます。
谷所さんは、あるサービス業の会社の人事をコンサルティングした際、残業時間の多さが採用活動の障害になっていると気づき、残業時間の短縮に踏み切ったそう。
当初、社内には「サービス業なんだから、残業が多くなってしまうのは仕方ないじゃないか…」という空気が流れていたものの、休憩時間を増やし、1か月単位で労働時間を管理する「変形労働時間」に変更したことで目標を達成できたといいます。
採用活動そのものを見直すだけでなく、「採用活動に影響を与えるもの」は何かを考え、問題があれば改善していくことが重要だと分かる好例でしょう。
■「採りたい人」のイメージは明確になっているか
ここまで、応募人数の「母数」を増やすため、さらには「良い人を採り逃がさない」ための対策法を紹介してきました。しかし、これらの対策を講じても、これから紹介するポイントを踏まえていなければ効果は半減してしまいます。
そのポイントとは「どんな人を採りたいのか」というイメージを絞ること。人事担当者にしてみれば、「ターゲットを絞りなさい」と言われると、「応募者が集まらなかったら…」と不安になるかもしれません。
でも、たとえば30代の管理職候補を採用したいのに、20代のマネジメント経験がない登録者が多い求人に募集を出してしまえば、どんなに応募が集まったとしても、莫大なコストが無駄になってしまいます。
極論を言えば、応募人数が一人でも、その人が「採りたい人」であればいい。採用活動がうまくいっていない場合、このことを念頭に置き、いちど採用活動を全面的に見直してみるということも大切なのかもしれません。
本書では、「求人方法」から「書類や面接のチェックポイント」、さらには「内定者のフォロー」まで、採用活動に関して一通り必要なノウハウが網羅されています。採用業務に就いて日の浅い人事担当者はもちろん、ピンポイントで「ここに悩んでいる」という人にとっても発見のある一冊といえるでしょう。
(新刊JP編集部)
『良い人材を確実に採用し定着させるポイント』(産労総合研究所 出版部 経営書院刊)の著者、谷所健一郎さんは食品会社で延べ1万人以上の面接に携わってきた経験などにもとづき、「良い人を確実に採用する」ためのポイントを解説しています。
まず、「そもそも応募が来ない」という課題を抱える企業の場合、どこから手をつけるべきなのでしょうか。
このような課題を抱える企業の採用活動にありがちなケースとして谷所さんが指摘するのは、「業績や商品力ばかりを前面に出す」求人内容にしてしまうこと。しかし求職者にとって最大の関心事は、業績や商品力「そのもの」にではなく、それらのことが自分にどのような影響を与えるのかにあるといいます。
谷所さんは食品会社時代、人事担当者として「内定者全員、入社後すぐに食文化を知る海外研修」というコピーを求人広告に盛り込んだ結果、多くの応募を集めることに成功したそうです。
つまり、企業側は採用活動を通して「求職者が自分自身の将来像をイメージしやすい」状態をつくり出すことを求められているといえるのではないでしょうか。
■求職者が採用活動「以上」に気にしていること
ついで「応募はそれなりに来る。でも、『採りたい』人にことごとく逃げられてしまう」という悩みを持つ人事担当者に参考にしてほしいポイントを紹介しましょう。
求職者や内定者にとって「自分がその企業で働く」ことを想像するとき、どうしても気になるのは労働環境。しかし本書によれば「労働環境の悪さに気づきながら、つい放置してしまい、良い人材を採り逃がしている」企業は少なくないといいます。
谷所さんは、あるサービス業の会社の人事をコンサルティングした際、残業時間の多さが採用活動の障害になっていると気づき、残業時間の短縮に踏み切ったそう。
当初、社内には「サービス業なんだから、残業が多くなってしまうのは仕方ないじゃないか…」という空気が流れていたものの、休憩時間を増やし、1か月単位で労働時間を管理する「変形労働時間」に変更したことで目標を達成できたといいます。
採用活動そのものを見直すだけでなく、「採用活動に影響を与えるもの」は何かを考え、問題があれば改善していくことが重要だと分かる好例でしょう。
■「採りたい人」のイメージは明確になっているか
ここまで、応募人数の「母数」を増やすため、さらには「良い人を採り逃がさない」ための対策法を紹介してきました。しかし、これらの対策を講じても、これから紹介するポイントを踏まえていなければ効果は半減してしまいます。
そのポイントとは「どんな人を採りたいのか」というイメージを絞ること。人事担当者にしてみれば、「ターゲットを絞りなさい」と言われると、「応募者が集まらなかったら…」と不安になるかもしれません。
でも、たとえば30代の管理職候補を採用したいのに、20代のマネジメント経験がない登録者が多い求人に募集を出してしまえば、どんなに応募が集まったとしても、莫大なコストが無駄になってしまいます。
極論を言えば、応募人数が一人でも、その人が「採りたい人」であればいい。採用活動がうまくいっていない場合、このことを念頭に置き、いちど採用活動を全面的に見直してみるということも大切なのかもしれません。
本書では、「求人方法」から「書類や面接のチェックポイント」、さらには「内定者のフォロー」まで、採用活動に関して一通り必要なノウハウが網羅されています。採用業務に就いて日の浅い人事担当者はもちろん、ピンポイントで「ここに悩んでいる」という人にとっても発見のある一冊といえるでしょう。
(新刊JP編集部)