自民党本部で講演する、後藤田正晴元官房長官(撮影:吉川忠行)

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後藤田正晴元官房長官(91)は20日、自民党本部で講演し、官房長官として国鉄・電電・専売の3公社の民営化や危機管理体制の構築に取り組んだ中曽根内閣時代(1982─87年)を振り返った。

 後藤田氏は「答申を出す前に自民党の意見を聞き、それを受けて土光臨調(臨時行政調査会)が答申を提出した。内閣はそれを最大限尊重するような閣議決定をやった」と行政改革を先導した土光臨調の利害調整手法を引き合いに出し、郵政民営化について「何とか一つうまくやってもらいたい」とエールを送った。

 また、イラン・イラク戦争時(1980─88年)、中曽根康弘首相(当時)が推進したペルシャ湾への掃海艇派遣に閣議で反対した経緯について触れ、後藤田氏は「海外に出ての武力行為だけはやらんほうが国家としては賢明な選択。これだけ大量破壊兵器が発達した時代では、勝者も敗者もなく廃墟のみが残る。防衛に対する私の考え方は今日も変わっていない」と持論を強調した。

 同講演会は、「自民党立党50周年記念事業」の一環で毎月開催されている「歴代総裁・官房長官リレー講演会」で、今回は4回目。これまでに中曽根康弘元首相や塩川正十郎前財務相などが講師となり、7月には小泉純一郎首相、10月は橋本龍太郎元首相、12月は森喜朗前首相が担当する予定。【了】