レストランの最上席″華席″を取れる客になるには？
そこで、8年連続でミシュラン3つ星を獲得している名店中の名店、まさに一流の名にふさわしいフレンチレストラン『カンテサンス』の総支配人である小澤一貴さんに、レストランで愛される客になるための術を聞いた。これを読めばあなたも一流の客になり、もっとレストランでの食事を楽しめるはず！
いい店だと聞いたから行ったのに、期待に反して楽しめなかった……。そんなご経験はないでしょうか。
私の勤める「カンテサンス」はミシュランで三ツ星をいただいていますが、そんないわゆる高級店でも同じように感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。
それはなぜか。ひょっとしたら、お客さまの楽しむための努力がちょっぴり足りなかったのかも……。そんなことを言うと少々偉そうなので、これはあくまで私からのアドバイスとして読んでいただきたいと思います。
レストランを訪れる前に、十分な情報収集が必要
たとえばレストランでの食事を、旅行と同じように考えてみましょうか。航空会社のチケットカウンタで「どこでもいいから切符を2枚」と頼んで、降り立った見知らぬ土地で十分にバカンスを楽しめるでしょうか。観光名所に行けるでしょうか。おいしい食事にありつけるでしょうか。
それより、事前に情報を十分に収集してから出かけたほうが、ずっと得るものが多いのと同じです。たとえば「カンテサンス」の場合なら、まずはフランス料理店であり、コースのみの設定であり、スタートからフィニッシュまでおよそ３時間かかり、男性ならビジネススーツよりノータイにジャケットといった服装のほうが似合うスタイリッシュな空間、といった事柄を来店前に知っていたほうが、余裕を持って楽しめますよね。
もし初めて誘われたなら、ホームページで料理の傾向などをチェックしておけば、心の準備も出来て、いわばカンテサンス・モードで入店していただけることになります。
そうすれば、料理をめぐって「アラカルトはないのか」「当店にはありません」といったギクシャクした会話に発展することもなく、店としても、お客さまの気分を、十分に盛り上げて差し上げられるというものです。
レストランの最上席「華席」に案内されるには？
レストランの最上席「華席」に案内される客になるには？
これはあまりおおっぴらにはお話できないのですが、レストランには業界用語で「華席」というのが存在します。最も目立って欲しいお客さまを案内する席で、たとえばパリのレストランに和服を着ていったら、たいてい、その店でもっともいい「華席」に案内してくれることでしょう。
この華席にお客さまをお通しするということは、店内の雰囲気を引き上げてくれるゲストに対して、レストランからの敬意の表れです。私も、自分がレストランの常連だったら、そこに案内してもらえばうれしいでしょうし、「レストランから愛される客」になるというお話をするにあたっては、まずこの華席を取れるお客さまを目指していただきたいと思います。
音楽のコンサートとか、好きなアーティストの公演に出かけると、一緒に盛り上がろうとしますよね。客席からの反応がよければ、さらにいいパフォーマンスが期待できる。レストランもそれと少し似ていて、料理がパフォーマンスだとしたら、お客さまはそれを相乗効果で高めていく、重要なキャストのおひとりです。
シェフも、サービスをはじめとするフロアのスタッフもみな、お客さまの反応次第で、ノリがよくなります。それこそが上手なレストランの使い方だし、愛される客になるための第一歩ではないでしょうか。
これでレストランに興味が湧いてきたとおっしゃるなら、多少カジュアルな店から始めるといいかもしれません。シェフのおまかせコースしかない店にしても、最近はわりとこなれた価格で楽しめるところが出てきています。そういう店で経験を積んでおけば、たとえば「カンテサンス」のコースだってなんてことない、と思えるはずですよ。
この方は気合い入っているな、と思えるお客さまをレストランでは大事にします。おぼえておいていただいて損はないでしょう。
■プロフィール
小澤一貴 Kazutaka Ozawa レストラン「カンテサンス」ディレクター。74年生まれ。「APICIUS」、「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」などを経て現職。趣味はゴルフとワイン。
明日は、レストランで女性を口説くにはどうしたら成功に近づくかを教えてもらう。大切なデートの際には是非知っておきたい内容、お楽しみに！
