出張のお供に!名古屋の誰もが笑顔になる“お値打ち”な厳選4店

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地方都市のハズさない店を紹介する新連載、その名も「出張カレンダー」。
記念すべき第1回は名古屋。八丁味噌など、独自の食文化を誇るこの街にも、食事に酒に、出張族を満足させる名店があるのだ!

■食いしん坊編〜郷土の味を食べつくしたい人はこちら〜

地場素材を駆使し、出張族を安堵させる、手てだれ練の料理人『和洋創作料理 瀬戸』

「メニューはあるけど誰も見ないから」。そう言って大将の中筋義明氏が丁寧に料理を作り始める。

この日は、つくね、パイ包み焼き、そして味噌カツ。地場素材も多く使うから「地在料理」と洒落るが、スタイルは正に自在。ホテルのフレンチを皮切りに、総菜屋や居酒屋での経験もあって、一時は瀬戸で14代続く窯元に「通いながら器を焼いていた」ことも。

そうした豊富なキャリアが生む旨さだ。同じ料理でも、客が飲む酒に合わせて味付けを変えることもしばしば。「ここに来れば安心して美味しいものが食べられる店でありたいと思っている」。その姿勢は出張族にとっても頼もしく映る。

美味しいものをあれこれ食べたい一夜の心が満たされる『炭焼割烹 わらじん』

水産物から青果までを扱い、名古屋の食生活を支える柳橋中央市場。活気に満ちる朝と比べて、夜は驚くほど静まり返る界隈にあって、この店の存在は貴重だ。

地の利を活かした仕入れにより揃う鮮魚の刺身や炭焼はもちろん、名古屋割烹ならではの旬の料理を用意。せっかくだからいろいろ食べたいと思う出張族の心を満たしてくれる。

艶やかな着物姿で出迎える女将は肴だけでなく旨い酒の発掘にも積極的。自ら蔵元へ赴き、仕入れた日本酒や焼酎も少なからずあって、高級感漂う店内の設えは接待にも。暗がりの中、漏れる温かな光に今夜も自然と足が向く。

呑み助編〜名古屋の夜に酔いしれたい人はこちら〜

■呑み助編〜名古屋の夜に酔いしれたい人はこちら〜

創業100年を越えてなお愛される、酒呑みの聖地『大甚本店』

夕方4時を過ぎれば、あれよという間に席が埋まっていく。誰もが皆、笑顔で、「久しぶり!」なんて声も聞かれる。酒の注文を終えたら向かうはセルフ方式の小皿が並ぶ一角。「いつも大体30品はあるかねぇ」と言う。創業明治40年の老舗だ。

小皿料理はほとんどが季節によって、どんどん入れ替わるが、この日は、かしわのうま煮など。「何があるかで季節を感じるんよ」。常連のひとりが教えてくれた。もちろん小皿以外に刺身や焼物もあるが、どれをとっても心憎い旨さ。酒呑みのツボを押さえているのだ。

いい居酒屋がちゃんとある街はいい街。そんな実感を誰もが抱く貴重な店だ。

座れば誰もが平等。実直な仕事も沁みる、街の良心的存在『やきとり 角屋』

大須通と門前町通の交わる、まさに角で半世紀以上の焼鳥屋だ。炭火の焼台から辺りに立ち上る煙のいい匂いは、すでに街の風物詩。

ねじり鉢巻で営業中、ずっと熱い炭の前で黙々と焼き続ける。「手間を惜しまずに身体を使って、ただ美味しいものを提供したい」と真顔でさらり。実直な人柄に思わず嬉しくなるのだ。

レバーや砂肝、ネギマなど、ほとんどの串は1本¥110で、往時の風情がそのまま活きた店内には拡声器や裸電球といった古道具も健在。コの字型のカウンターを囲んで、串と交互に特級酒を飲めば、「人類皆兄弟」なんて、ちょっと古い言葉も頭をよぎる。