動画メールってどうすればできるの?そんな疑問を解決する3つの実践テクニック

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これまでに何度か「動画メールマーケティング」の効果についてご紹介してきましたが、ここで改めてその効果をおさらいしてみます。

  • メールに動画を活用しているマーケティング担当者のうち、88%がメールへの動画活用にポジティブな効果を感じていると回答。(過去記事)
  • 動画なしのDMと比べ、動画ありのDMからのサイト流入率(CTR)は概ね2倍以上に上昇する。(過去記事)
  • NPO団体が寄付を募る内容を動画つきのメールで配信。静止画のみのメールと比較したところ、動画メールの方は寄付金が2倍以上集まった。(過去記事)

メールに動画やアニメーションを利用すると、閲覧者の目を引いたり、内容理解を深めることが期待できます。その結果、多くの場合において誘導したいページ(=コンバージョンポイント)へのクリック率(CTR)の上昇につながるようです。さらに、CTR上昇や内容理解の促進により、コンバージョン率(CVR)の向上も報告されています。

動画メールマーケティングの効果はさまざまな事例から明らかになってきましたが、具体的な実装方法はあまり知られていないようです。そこで本記事では、実際に動画メールマーケティングを行うためのハウツーをご紹介します。

動画メールを簡単に実施できる3つの方法

少し前まではFlashを用い、メール内で動画を再生させる方法がありました。しかし現在ではセキュリティなどの面から、Flashの表示にはユーザー側の許可が必要となり、自動で再生させることは難しい環境になってきています。それに加え、最近ではFlash非対応のスマートデバイス(特にiPhoneやiPad)が普及してきたことから、Flashを用いたメール動画は現実的ではないと言わざるを得ません。

続いて問題になるのは、人々がメールを読む環境が多種多様であることです。自社で使用しているメールクライアントでは「動画埋め込み」が可能だとしても、受信側のメールクライアントやWebメールが動画に対応していない場合など、正常に動画が再生されないケースも多いに想定されます。

Liveclicker社によると、埋め込み動画をサポートしているのはiPad/iPhoneの純正メールクライアントなどを含めた61.4%。Gifアニメーションに対応しているのはGmailやYahoo!MailなどのWebメールを含めた25%。残りの13.6%はいずれも対応していないとのことです(2013年時点)。

ただし、静止画サポートのみと記載されている「Outlook」も、最新版の「Outlook2013」では埋め込み動画をサポートしているため、現在は上図よりも埋め込み動画可能なメールクライアントが増えていると予想されます。

以上のような条件を踏まえ、実現可能な3つの方法をご紹介します。

方法1.アニメーションGIFを用いた疑似動画を用いる

メールに動画を埋め込んでも視聴できない人の割合の多さを考えると、メールクライアント上で動画を再生させるなら、GIFアニメーションがもっとも手軽で現実的だと言えるでしょう。

動画ではなくGIFアニメーションでも充分な効果が出たケースも多数報告されています。例えば、DELL社では以下のような簡易的なアニメーションを取り入れただけで、静止画のみのメールと比べ、42%クリック率が向上、さらに3%コンバージョン率が改善しました。

GIFアニメーションを利用する場合は、メールの容量制限やローディングのことも考慮し、あまり容量の大きな画像は使用しないようにしましょう。

方法2.動画をサイトで視聴してもらう

メール内にいかにも動画が再生されるかのようなサムネイル画像を表示させる方法も有効です。クリック(タップ)によって動画(ページ)に遷移してもらい、WebブラウザやYouTubeなどの動画再生アプリケーションなどで視聴してもらう仕組みです。この方法であればメールクライアントによる制限がなく簡単に実装でき、長尺動画でも見てもらうことが可能となります。

下の事例では、サムネイル画像を制作し、再生は別サイトでという方法をとりました。さらにサムネイル部分をGIFアニメーションにしたものを配信したところ、静止画のみのメールと比べ、CTRが26%アップしたそうです。サムネイル画像をGIFアニメーションにすることで、アイキャッチ効果と「この動画はメール内では再生できません」ということが読者に暗に伝わるため、混乱を避けることにもつながります。

▽サムネイル画像部分を以下のGIFアニメーションに変えた。

方法3.サービスツールを使う

メール読者の閲覧環境に合わせ、動画を「埋め込み動画」「アニメーションGIF(もしくはアニメーションPNG)」「クリックでの別ページ再生」「静止画」のいずれかに自動で変換するサービスも近年増えてきています。

例えばLiveclicker社が提供している「VideoEmail」の場合、HTML5での動画埋め込み、アニメーションGIF/PNG、静止画、とメール受信者の環境によって動画を最適化してくれます。

▽管理画面イメージ。オートプレイなどの設定、サムネイルの設定、gifアニメへの変換などが行える

また、国内サービスでもエクスペリアンジャパン社のサービスなどを利用すれば、動画を最適化して配信することができます。

顧客とのコミュニケーションに欠かせないメールマーケティング

今年4月、大和ハウスが日本で初めて顧客の名前を組み込んだ「パーソナライズ動画メール」を配信したことが話題になりました。
動画メール配信の結果、開封率は通常の2倍、PV数30%増、視聴完了率は80%と非常に高い効果が見られたようです。(データ元
さらにその後行ったアンケートでも好意的な反応が多く、定量的にも定性的にも効果があったことが判明しました。この事例ではパーソナライズド要素による相乗効果も考えられますが、動画メールは国内でもポジティブな結果が出ることが証明されました。

昨今、ソーシャルメディアを通したコミュニケーションに注目が集まりがちですが、今なお顧客との接点の中心はメールだというデータも存在します。すでに自社に対して関心を持つ受信者に向けて、動画を通して商品やブランドを訴求することで、高いコンバージョンが期待できる動画メールマーケティングも、ご紹介した「GIFアニメーション」や「サムネイル画像」の手法を使えば、簡単にトライできることがお分かりいただけたと思います。

動画資産を保有しているなら、その有効活用の一つとして、動画メールマーケティング施策を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

[参考]

Email Marketing: Dell lifts revenue 109% via GIF-centric campaign
https://www.marketingsherpa.com/article/case-study/gif-centric-email-campaign

Style Campaign lifts their click-through rate by 26% with A/B testing
https://www.campaignmonitor.com/blog/post/2920/lifting-your-click-through-rate-with-a-b-testing/

日本初!顧客の名前を組み込んだパーソナライズ動画で“自分ごと化”促進 :MarkeZine(マーケジン)
http://markezine.jp/article/detail/22546