攻撃のリズムを修正した1週間…なでしこがオランダ戦で発揮した成果とは

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文=江橋よしのり

 なでしこジャパンは23日、FIFA女子ワールドカップ カナダ2015の決勝トーナメント1回戦でオランダに2−1で勝利し、ベスト8進出を決めた。

 攻守に連動性が戻った。エクアドル戦からこのオランダ戦までの1週間、攻撃のリズムを修正するため「ワンタッチ、ツータッチでボールを動かすこと」、「シュートで攻撃を終えること」を念頭にトレーニングして来た。その成果は、得点シーンをはじめ、さまざまな場面で発揮された。

「特に相手の左サイドバック(ファンドンゲン)が中央に寄ったポジショニングをしていた」と、佐々木則夫監督は序盤の流れを分析する。そのため、なでしこの右サイド、川澄奈穂美と有吉佐織のコンビがチャンスに絡んだ。10分には左サイドから早いテンポでパスをつなぎ、大儀見優季のヘディングシュートはクロスバーに阻まれるも、相手クリアボールを拾って逆サイドの有吉佐織が先制ゴールを決めた。

 78分の2点目のシーンも、多くの選手が連動して奪ったゴールだ。宮間あやからの折り返しに、中央で岩渕真奈が反応しかけたが、さらに後ろから走り込んだ阪口夢穂は「私のほうが体勢がよかったので、岩渕に『スルー』と声をかけました」と言い、自らのシュートについては「思い切り打つんじゃなくて、置きに行きました」と、丁寧に打ったことを明かした。

 また、佐々木監督は試合後の記者会見で、「今日の勝因は守備です。皆さんにもそこを見ていただきたい。流れの中の守備、そして前線からの守備。守備から流れが生まれた攻撃だったと思います。今日の守備陣のバランス、決断を評価すべきだと思います」とコメント。

 2トップ大儀見と大野忍のプレッシングが相手のパスの選択肢を限定し、そのため中盤のエリアでパスを読み切って奪うことができた。DFの熊谷紗希も「8番(スピツェ)とセンターバック2人(ファンデルフラフト、ファンデンベルク)に蹴らせないように、前線がうまく守ってくれた」と手応えを口にした。

 オランダのDFプレッシャーがやや緩かったこともあるが、なでしこジャパンが今大会で見る人を最もワクワクさせた試合になった。準々決勝の相手はオーストラリア。オランダ戦ほどには狙いどおりのサッカーができるとは限らない。「今大会のオーストラリアは、いつも我々がアジアでやっている時とは別のチーム。心して戦わなければ」と、佐々木監督は気を引き締めている。