5月29日、広島の黒田博樹がプロ野球セパ交流戦のオリックス戦で4勝目をマークした。右足首痛からの復帰3戦目で1ヶ月ぶりとなる勝ち星をあげた黒田、そして所属する広島カープについて、改めて米メディアで紹介される機会が増えている。

日本のローカル情報を伝える英語メディア<nippon.com>では先日、「黒田投手が日本の野球ファンを再び繋ぎ止める」との見出しで、広島ファンとの絆やチームの歴史、日本球界復帰後の盛り上がり、さらに昨年の安佐北区で起きた集中豪雨災害の際に黒田が行ったアメリカでの募金活動などついて、詳細にレポートしている。

そんな日本のフィーバーとは裏腹に“黒田の不在”をじわじわ感じはじめているのが、昨年在籍したニューヨーク・ヤンキースのファンだ。

ヤンキースは今季、開幕1ヶ月時点までは好調だったが、5月に入り13勝15敗と大失速。ア・リーグ東地区の大混戦の中、勝率5割圏内でかろうじて首位をキープしながらも、先発ピッチャー不足は否めない。

マイケル・ピネダを除いては勝ち頭として期待されていたC.C.サバシアの不振や、早々と故障者リスト入りした田中将大など、開幕当初の先発陣が崩壊してしまった。

このような状況にヤンキース専門メディア<ピンストライプ・アレー>は、退団した黒田の名を挙げ、「去年、怪我なしだった唯一の先発投手の不在の影響」であると指摘している。勝ち星以上に安定した投球内容で1年間ローテーションを守った黒田の役割が、再評価される形となっているのだ。

黒田への関心が高まる中、海外のファンにはセ・リーグが試合のダイジェスト映像を公開していないこともストレスになっているようで、「なぜMLBのようにウェブでハイライトを見せる努力をしないの? 日本の野球は面白いんだから、もっとアピールするべきだろう」との意見も寄せられている。