NHKドラマ・ガイド「まれ」/NHK出版

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14日(火)の放送で、希(土屋太鳳)、お菓子の材料費使い過ぎでは? と思ったら、15日(水)で、いつも「節約おやつ」を作っていると言い、
「やすい材料使うて
工夫して作るがや
姉ちゃんのケーキなんじゃないが」
と言う弟・一徹(葉山奨之)に希がさらに奮起し、貧しいならではのお菓子作りをしようと決意します。
朝ドラ「まれ」(NHK月〜土 朝8時〜)が、その日の話にツッコミを入れると翌日そこにアンサーが入ることが多いのは、1話単位で予測をひっくり返しながら、視聴者と対話していくように考え抜かれているからでしょうか。
それにしても、一子(清水富美加)も言うように、ケーキの名前が「貧乏家族」とは夢がなさ過ぎですよね。どう考えてもその名前じゃ食指が動かない・・・。
ケーキには夢の象徴のようなイメージがあるにもかかわらず、その虚飾をはいで本質的なところに迫っていく、「まれ」は質実剛健なドラマです。
地方都市の伝統工芸についても、「斜陽産業」と、紺谷博之(板尾創路)に言わせ、市役所の人間としては、漆で町おこしが大事であるが、父としては息子・圭太(山崎賢人/崎、大じゃなくて立のほう)を先の見えない仕事につけたくないという本音と建前をしっかり打ち出したところもドキリとしました。
ただ、そんな調子で、ともすると、ゴツゴツ男っぽい土曜ドラマのようになりそうなところを、ときに、海を見ながら土屋太鳳がコンテンポラリーダンスのような手つきで、大地が生んだ素材からオーラをいただくように、手先を魔法使いのように動かして、ケーキの構想を練っていくという詩的な画で中和する。
演出の妙ですね。

母親たちが娘たちの進路を考える流れも職人技。
「東京に目やくらんで
本当の目標を持たれんがになるがや心配やねん」とはる(鈴木砂羽)。
「私は 女こそ 広い世界をちゃ見な
駄目なんじゃないかって思うげよ」とみのり(ふせえり)。
母たちがめっちゃ懐広くて、わかった感じを漂わせたとき、
「見ん方やいいもんも あるけどね」とわけありの女・マキ(中川翔子)が口をはさみ、しーん・・・となる。
まとめは文(田中裕子)。
「ジタバタした分だけ
前や見えるようになる」
「どんだけでも
もがけばいいげんわいね」
だから、希の気持ちが毎回定まらず、変化していくんだなあと納得です。
(木俣冬)

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