11日、日本外国特派員協会で講演する『インサイドライン』編集長の歳川隆雄氏(撮影:佐谷恭)

写真拡大

国際政治経済情報誌『インサイドライン』編集長の歳川隆雄氏が11日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演し、2007年7月に実施される参院選までの、ポスト小泉政権の動向について予想した。

 歳川氏は、安倍晋三官房長官が次期首相だと断定した上で、「就任直後の10月第1週に、北京を日帰り訪問して中国の胡錦濤国家主席と会談する」と予測した。安倍氏が祖父・岸信介元首相の“政治的DNA”を継いでおり、岸元首相がその就任直後に東南アジアを訪問してアジア外交重視を示したのと同様のことをすると考えているという。これにより、民主党や党内のアジア外交重視派の、安倍政権に対する批判の矛先がなくなるとした。

 閣僚人事については、対中観や靖国神社について考え方を共有しているJR東海の葛西敬之会長を、民間から外相に起用すると予想。これも岸元首相が藤山愛一郎氏を民間から外相に就任させたことにならうもので、9月26日の政権発足時には安倍氏が外相を兼務し、岸政権発足から50年となる来年2月に、葛西氏を入閣させるとしている。また、注目される与謝野馨経済財政・金融担当相や竹中平蔵総務相の入閣の可能性を否定。サプライズ人事として、小渕恵三元首相の次女・小渕優子氏を環境相に抜擢することもあるとも話した。

 安倍政権が来年7月の参院選までに退陣する可能性について、歳川氏は「ないわけではない」と話した。ただし、退陣は衆院の補選や地方の首長選などですべて敗れる“最悪の事態”が起こった場合に限られ、「(参院選で)議席維持は無理としても、自民党は多くて10議席程度減らすだけだろう」と話した。また、民主党の小沢一郎代表が重要だと主張する29の「1人区」で民主党の勝利に現実性がないことや、日中首脳会談の実現で中国との関係改善が一定程度進むことから、安倍政権が“退陣の危機”をかわせるとの見方を示した。【了】

■関連リンク
歳川隆雄のインサイドライン