遅くなったPCに効果絶大のデフラグはSSDやeMMCではNG?「答えはノー!Win8以降はデフラグすべし」な理由

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Windowsを使い続けると、動作が徐々に重くなっていく、よくある現象だ。こうした動作が遅くなる原因は、いくつかある。

メモリーの消費が増えたり、アプリのインストールと削除でゴミファイル(余分なリソース)が増えたり、といったことも原因としてある。

そうした原因のひとつに、ストレージに記録されたデータの断片化がある。使い続けるとハードディスク内にファイルがあちこちに散らばって記録されるようになる、これが断片化だ。
ファイルが断片化すると、1つのファイルでも読み取る際に多くの場所に移動しないといけなくなり、時間がかかってしまうのだ。それが結果的にパソコンの動作を遅くさせてしまうというわけだ。

なお、このファイルの断片化は、ストレージがハードディスクのケースであって、メモリードライブであるSSDやeMMCは、基本的に断片化は発生しない。

●断片化を解決する、デフラグと最適化
ハードディスクの場合、断片化が進み、読み書きが遅くなって場合、ファイルを整理整頓し直して速度を回復させる処理「ドライブのデフラグと最適化」で直すことができる。ケースにもよるが、断片化が大きいほど、この処理でアクセス速度は劇的に改善される。

Windows 8/8.1でも、デフラグは自動的に実行されるようになっている。
しかし、自動処理に頼らず、意識して定期的に手動で実行したほうが、アクセス速度を快適に保ち続けることができる。


ハードディスクのデフラグは、必ず定期的に実行するようにしよう


■SSDは書き込み回数が限られているからデフラグは厳禁?
さて、最近では、ハードディスクの代わりにメモリードライブのSSDやeMMCが搭載されているノートPCが多くなってきた。
SSDやeMMCとデフラグについて、これまでは「デフラグはしてはいけない」とされてきた。理由は、SSDが登場してきた直後は、寿命が短かったからだ。

SSDの書き込み回数には限りがある。上限に達してしまうと、それ以上書き込みができなくなってしまうからだ。
つまり、ファイルの再配置を行うデフラグは、大量の書き込みを行うのでSSDの寿命を縮めてしまう。これじゃあ本末転倒なので、厳禁とされてわけだ。

Windows 7では、SSDのデフラグもファイルの読み書きを行ってデータを再配置する。そのためWindows 7では、ドライブがSSDの場合、自動的にデフラグを無効にするようになっており、勝手にデフラグされないようになっている。

■Windows 8/8.1は、SSDでもデフラグできるトリムコマンドに変更
Windows 8/8.1では、デフラグをしても「トリムコマンド」が実行されるように処理が変更されている。

さて、このトリムコマンドってなんだろう。

SSDは、ハードディスクとは異なりデータの上書きが行えない。記録されたデータをいったん消去してからじゃないと、その領域に書き込めない仕組みだからだ。

つまり、データを書き込むためには、別のデータを読みだして消去し、それからデータを書き込むという処理を行っている(ブロックコピー)。

このやり方は、データを消去するかの確認作業が必要なため、SSDの動作が遅くなる原因にもなっている。

そこで、トリムコマンドの出番となる。
トリムコマンドは、あらかじめ消去してもいい場所を先に確認する。
つまり、どこを消去すればいいのか一目瞭然となるため、ファイルの読み書き処理が高速になるというわけだ。


Windows 8/8.1ではSSDも最適化が可能になった。


実は、Windows 8/8.1からは、最適化でデフラグではなく、トリムコマンドを実行するようになっているのだ。
ちなみに自動実行されるが、週1回程度なので、若干重くなったかなと感じたら手動で「ドライブのデフラグと最適化」で「最適化」(再トリム)を実行してみるといいだろう。


小川夏樹(ITライフハック編集長)