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クレジットカードのショッピング枠を現金化します」。街を歩いていると、こんな宣伝文句の看板が目に入ってくることがある。しかし、いくらお金に困っていたとしても、こうした業者を利用するのは避けたほうがよさそうだ。

10月下旬、「クレジットカード現金化」という手法で違法な高金利をとっていたとして、業者ら5人が出資法違反の疑いで逮捕された。報道によると、業者らは利用者にクレジットカードでアクセサリーを購入させ、アクセサリーを買い取る代わりに現金を渡していた。利用者がクレカ決済を通じて「支払うことになる額」は、渡される現金の20%増しだったという。

複雑な話だが、これはいったいどういう問題なのだろうか。また、「クレジットカード現金化」をすると、利用者もペナルティを受ける場合があるというが、どういうものなのか。借金問題にくわしい増田勝洋弁護士に聞いた。

●実質は、高金利の貸し付け

「そもそも『クレジットカードの現金化』とは、本来、商品やサービスを後払いするために設定されている枠、いわゆる『ショッピング枠』を、現金にかえる目的で利用することです」

現金にかえるとは、どういうことだろうか。

「たとえば、40万円の現金を手に入れたいAさんが、こうした業者を利用するケースを考えてみましょう。

Aさんはまず、クレジットカードの現金化業者から50万円の商品を、クレジットカード決済で買い取ります。

しかしその後すぐ、クレカ現金化業者に、その商品を40万円で買い戻してもらいます。

そうすると、Aさんは『40万円の現金』を手に入れることができます」

問題点はどこだろうか?

「Aさんは、40万円の現金と引き替えに、クレジットカード会社に対して50万円と手数料などを支払う『債務』を負担することになります。

結局、Aさんとしては、40万円の現金を手に入れるために、わずかの期間で10万円を超える利息を支払わなければならなくなる、ということです」

残された結果をみると、Aさんが高金利でお金を借りたのと、ほぼ同じ状態になるわけだ。

「このような場合、商品の売買は単なる仮装にすぎず、実質は高金利の貸付に過ぎません。

つまり、業者は、事実上の金融業者ということになり、貸金業法違反(無許可営業)、出資法違反(違法金利など)として刑事処罰される可能性が出てくるわけです。

売買される商品が、偽の指輪など、ほぼ無価値な商品の場合もあります。その場合は、より悪質だと言えます」

●利用者へのペナルティも

利用者がペナルティを受ける可能性もある?

「クレジット会社は、ショッピング枠を現金化するという形で、カードを使うことを認めていません。そのため、カード利用者は規約違反になり、クレジットカードが使えなくなるおそれがあります。

また、最初からクレジット返済ができない状態にもかかわらず、現金化のためにカードを利用すれば、クレジット会社をだますことになりますので、『詐欺罪』に該当する可能性があるでしょう」

増田弁護士は「たとえ、どうしても現金が必要だという事態になっても、『クレジットカードの現金化』を宣伝する業者を頼るのは避けたいところです。特に最近は、インターネットで簡単に申し込みができるようになっているので気を付けてください」と注意を呼び掛けていた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
増田 勝洋(ますだ・かつひろ)弁護士
大阪弁護士会、司法委員会副委員長、司法修習委員会委員
著書:『事例にみる遺言の効力』(共著、執筆担当)
法律事務所の携帯電話向けサイトURL:http://masuda-law.plimo.jp
事務所名:増田法律事務所
事務所URL:http://www.masuda-law.net/