英BBCの中国語版は23日、中国の鉄道車両メーカーである中国北車が製造した地下鉄車両284両を米マサチューセッツ州のマサチューセッツ湾交通局(MBTA)が購入すると決定したことが、米国で物議を醸していると伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 英BBCの中国語版は23日、中国の鉄道車両メーカーである中国北車が製造した地下鉄車両284両を米マサチューセッツ州のマサチューセッツ湾交通局(MBTA)が購入すると決定したことが、米国で物議を醸していると伝えた。

 記事は、ボストン市が中国北車の車両を購入することは「中国北車が米国市場に初進出を果たしたことを意味する」と伝える一方、1989年の天安門事件の学生指導者で民主化活動家である柴玲さんが現在、マサチューセッツ州在住であることを紹介。

 続けて、「柴玲さんはボストン市の決定は(中国政府による)人権侵害を認めることを意味すると考えているようだ」と伝えたほか、中国北車のほかに入札に参加していた企業らも「入札過程に何らかの不正があったと疑っている」と報じた。

 さらに記事はAP通信の報道を引用し、「柴玲さんは州政府に対して“誤った歴史の片棒を担がないよう”呼びかけた」と伝えたほか、日刊紙ボストン・ヘラルドのインタビューに対し、「国営企業である中国北車の収入は中国政府の収入になるため、中国北車からの車両導入はマサチューセッツ州の歴史に“血塗られた記録”を残すことになる」と述べたと紹介した。

 また記事は、柴玲さんが「ボストン市が中国北車から車両を導入することで自国民を抑圧する政権はさらに強大になる」、「(中国政府が)1989年にしたことと同じことが今、香港で行われようとしている」と述べたことを紹介した。

 一方、ボストン・ヘラルドは「ボストンの地下鉄を運営するマサチューセッツ湾交通局で元広報を担当した人物が現在、中国北車の顧問を務めている」と伝えている。ボストン市の地下鉄車両導入に向けて中国北車と争った韓国の現代ロテムが7億2100万米ドル(約778億円)、川崎重工が9億500万米ドル(約977億円)で入札したとする一方、中国北車の入札額は「非現実的なほど安い」と懐疑の声があがっていると紹介した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)