コンフェデレーションズカップは、3戦全敗で終わった
前半はイタリア戦と同じように入り、ペースを握ることができたと思います。それは、ブラジル戦での教訓をイタリア戦で生かし、メキシコ戦でも続けられたということです。前半は日本のリズムでした。

ですが、後半は前半と同じようには入れませんでした。メキシコがギアを入れ直してきましたね。そこを感じることができていませんでした。

点を取られていた時間帯は日本のリズムが悪くて苦しんでいました。簡単にプレーすればいいところやキープしたい場面で、相手にボールを奪われ、ピンチを招きやすくなっていたのです。危険な時間だということをチーム全体が感じて、プレーを選択しなければなりませんでした。リズムが良くない時間帯は、単純にはね返してもいいのです。

ですが、日本代表は試合全体のリズムを読むことができず、プレーの選択を誤っていました。今回の大会で日本と対戦国の差はそこだったと思います。相手は守るところは守り、自分たちのリズムになったらゴールまで結びつけます。ワールドカップの本大会までに日本はその部分を学ばなければならないでしょう。

ザッケローニ監督の采配についても疑問が残りました。[3-4-3]はこれまでもうまくいかなかったシステムです。それを強い相手に対して試しても、機能する確率は低いはずです。長友が負傷するというアクシデントで[4-2-3-1]に戻しましたが、リズムはそちらのほうがよかった。システムのオプションは必要だと思いますが、現状ではまだ[3-4-3]を使うのは難しい。

コンフェデレーションズカップでは、勝ち残るための戦略を立て、それをチームで理解することも必要だというのも明らかになりました。今回は初戦のブラジル戦を簡単に落としたことで、苦しくなりました。イタリア戦では勝点を必ず取らなければなりませんでしたし、イタリア戦に勝てば波に乗ってメキシコ戦の結果も変わったかもしれません。勝点を計算しながら勝つという戦い方を身につけなければならないでしょう。

それから、やはり対戦国との個人の力の差を埋めていかなければなりません。すごく大きな差があったとは思いません。でも点を奪うという場面での差はありました。

結果的にコンフェデレーションズカップは3連敗となりました。ですが、対戦国はこうなっても不思議ではないくらいの強豪ばかりだったのです。その相手に勝つチャンスもありました。本大会ではそんな相手に次こそ勝利を収め、勝ち残ってほしいと思います。

撮影:岸本勉/PICSPORT (6月22日、ベロオリゾンテのミネイロンスタジアムにて)

前園真聖

■プロフィール
前園真聖(まえぞの まさきよ)
1973年生まれ、鹿児島県出身。サッカー解説者。横浜フリューゲルスで1992年、プロデビュー。その後、東京ヴェルディ(ヴェルディ川崎時代も含む)や湘南ベルマーレでプレー。ブラジルのサントスやゴイアス、韓国の安養LGチータースや仁川ユナイテッドに在籍するなど、国外にも活躍の場を広げた。

現在は、自身のZONOサッカースクールを総合プロデュースしているほか、2009年にビーチサッカー日本代表として現役復帰。同年11月、UAEドバイW杯・ベスト8に貢献した。

前園真聖・公式Twitterアカウント
@zono23