写真は後半41分。敗北を喫する4点目のゴールを奪われた、川島永嗣
非常に悔しいですね。この試合では、自分たちがどんなサッカーをするかというのが、キックオフ直後からできました。もっとも、ブラジル戦が酷すぎたので、やっと自分たち本来の姿に戻っただけです。

そして、その日本のスタイルが出せたから2点先制できました。イタリアも最初、日本のハイプレッシャーに戸惑っていましたし、その隙に日本が2点取れたというのは、ラッキーな展開だったと思います。

ですが、イタリアの選手たちはそこからどうやって試合を引っ繰り返すか、よく理解していました。落ち着いて試合を進め、1点を返せば追い上げられるという思いがあったことでしょう。日本は試合の立ち上がりにプレッシャーをかけていましたが、その日本の動きが90分間はきっと持たないだろうという読みもあったはずです。

この試合展開の読みが「経験」だと思います。日本とイタリアでは、まだこの「経験」に大きな差がありました。日本の選手たちは、ほとんどがヨーロッパでプレーし、様々な経験を積んでいると思います。ですが、それは個人の経験であって、チームとしての経験ではなかった。チームとしての経験があれば、2-0のまま前半を終えようという試合運びになったことでしょう。

日本はずっと積極的に点を取りに行っていたので、逆にゴールを奪われるシーンも出てしまいました。イタリアチームには、守るときは徹底して守る、攻撃するときはどんどん飛び出すというメリハリがありました。そのリズムの変化が勝つために必要な「試合巧者ぶり」ということになると思います。

それでも3点を奪えたというのは初戦を考えるとよかった。そしてそれでも勝てなかった原因というのは、自分たちの力を出したからこそ見えてきた課題です。そこは前向きに捉えていい。

次に対戦するメキシコも、初戦のイタリア戦に比べてすごくよくなっています。日本は敗退に気を落とすことなく、また全力でメキシコにぶつかってほしいと願います。

そしてもう1つ。初戦のブラジル戦が悪すぎたのが、大会から敗退することになった大きな要因です。3試合のうち、1試合を無駄にしてしまった。大会全体への入り方も学んだと思いますし、本大会ではこの教訓も生かしてほしいですね。

撮影:岸本勉/PICSPORT (6月19日、レシフェのペルナンブコアリーナにて)

前園真聖

■プロフィール
前園真聖(まえぞの まさきよ)
1973年生まれ、鹿児島県出身。サッカー解説者。横浜フリューゲルスで1992年、プロデビュー。その後、東京ヴェルディ(ヴェルディ川崎時代も含む)や湘南ベルマーレでプレー。ブラジルのサントスやゴイアス、韓国の安養LGチータースや仁川ユナイテッドに在籍するなど、国外にも活躍の場を広げた。

現在は、自身のZONOサッカースクールを総合プロデュースしているほか、2009年にビーチサッカー日本代表として現役復帰。同年11月、UAEドバイW杯・ベスト8に貢献した。

前園真聖・公式Twitterアカウント
@zono23