昨日のフェリックス・ヘルナンデスの完全試合。見事な投球内容を“鑑賞”したい。

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この投手はすでに実績十分。球威のある速球系の球と、キレのある変化球、そして抜群のコントロールを持ち、欠点の少ない投手だった。

かつての僚友イチローが「ジャイアン」と呼ぶような風貌だが、非常に冷静で、味方の援護点がなくとも淡々と投げる投手だった。

タンパベイ・レイズ=TBの打線にはロンゴリアが帰ってきたが、強い打線とは言えない。

立ち上がりは、球威のある速球系の球で打者を圧倒。2回、ロンゴリアをカーブで空振りさせたあとは、ペーニャ、ロバトンには打ち頃に見えて鋭く食い込む速球系で仕留めた。

この日、凄かったのはここからだ。チェンジアップが冴えわたっていたのだ。

速球とほぼ同じ軌道で、微妙に遅れてやってくる球。タイミングが合わない。しかもこの球はほとんどストライクゾーンに決まっているから、手を出さざるを得ない。

何でもない球に見えながら、本当に恐ろしい。

3回の1死にはじめて投げてから、フェルナンデスは、この球を軸に投球を組み立てた。
TBの打線が無策だったわけではない。できるだけ球を投げさせようとファウルで粘り、球を見極めた。



しかし、野球というゲームは、打てない球がストライクゾーンに決まる限り、打者に勝ち目はないのだ。

7回1死からアップトンが打った内野ゴロの判定をめぐってマツドン監督が退場。自軍のふがいない打撃を見たくなかったのかもしれない。

終盤、フェルナンデスはチェンジアップと変化球の組み合わせで三振の山を築く。
全く危なげないパーフェクト。

イチローがいなくなってからのシアトル・マリナーズは11勝7敗。元気だ。イチローも今日は3安打。NYYでは.312。千両役者イチローの移籍は両者にとって、良い結果を生んでいるようだ。