昨日、ミネソタ・ツインズ=MINの西岡剛がマイナー落ちを告げられた。最終宣告だと断じてよいのではないか。

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この時期のMLB球団は、2つのグループに分かれる。1つはすでに2012年のペナントレースをあきらめて、再建モードに入っているグループ。MINもその一つだ。そしてもう一つはポストシーズン進出が視野に入ってきているグループ。ニューヨーク・ヤンキース=NYYがその代表だ。

再建モードのチームでは、一握りの長期契約選手を除いて、メンバーの入れ替えが行われる。この時期は、「来季使える選手」の品定めが行われる。MINの二遊間はカシーヤ、ドジール、キャロルなど数人の選手が使われたが、いずれも打撃面で迫力に乏しく、来季レギュラーを任せるのは厳しい(キャロルは複数年契約だが)。その代案として、「西岡剛」というプランが再浮上したのだ。

8/6からの3試合は、来季へ向けての「実戦テスト」だったが、西岡剛はここで最悪の結果を残した。12打数0安打1四球1犠飛1三振、3失策。良いところを見出すことさえできない。ガーデンハイア監督は「彼はいいところがなかった」と繰り返した。

率直に言えば、MINの首脳陣は、昨季の成績、そしてAAAの成績を見れば、西岡がどの程度の選手なのかはほぼ把握していたと思う。守備でも攻撃でも、やや力不足、この程度の選手ならマイナーにもMLBの控えにもたくさんいる。

しかし、西岡はNPBのスター選手だった。数字にではわからない「何か」を持っている可能性がある。その部分に賭けて、再試用したのだと思う。

ここ2シーズンのMINの極端な低迷は、マウアー、モルノーら主力打者の故障や投手陣の不振に拠るところが大きいが、新リードオフマン、守りの要として獲得した西岡剛の“当て外れ”もその一因となっている。彼の獲得に動いたフロントにしても、西岡の再生に期する部分があったと思う。

本人は「ここには挑戦しに来ているのだし、これで終わりではない。落ち込んでいる場合じゃない。少しでも早く上がれるように頑張るしかない。これからもしっかり前を向いてやっていく」とコメントを残したが、かなり空しい。
その気持ちがあれば、もっとバットを振るべきだった。14打席で1三振6内野ゴロは西岡が積極的に振りぬくのではなく、当てにいこうとしたことを表している。

以前から、西岡剛は根暗だと思っていた。2009年WBCの日本代表の選にもれたときの彼の表情は非常に暗かった。「見返してやる」といったが、その年は成績不振。200安打を打ったのはその翌年のことだ。気持ちの切り替えに時間がかかるタイプだとも思った。

NPBでは一度名前を上げた選手には、不振が続いても何度もチャンスが与えられる傾向がある。「このままで終わる選手とは思えない」監督やコーチはこんな言葉を吐いて、有名選手を、無名の若手を押しのけてでも使う。年俸も優遇されることが多い。
少々不振でも、かなり長期間、出場機会が与えられることが多いのだ。

しかし、MLBでは、どんな選手でも成績が下落すれば、年俸も激減し境遇も大きく変わる。
たった3試合のテストで評価されるのは酷かもしれないが、それがMLBの現実なのだ。

9月になれば、ロースターは25人から40人に広がる。
テリー・ライアンGMは「マイナーで頑張れば、9月に上がるチャンスはある」とは言っているが、そのときは若手により多くのチャンスが与えられるだろう。たとえ西岡が昇格したとしても、先発出場の機会は少ないのではないか。

そう考えれば、あの3試合は、西岡に与えられた「個人テスト」であり、千載一遇のチャンスだった。運をつかむことが出来なかったという点で、西岡はMLBと縁がなかったということではないか。



来季の契約は残っているが、井川慶の二の舞を踏むよりも、契約を破棄してでも、日本に帰ってくるべきではないかと思う。