結果‥‥現状を見てみると、ア・リーグはDH枠が埋まり、膝のケガを抱える松井にも守備が必要になるナ・リーグ各球団も、補強をほぼ終了。FA市場は収束に向かい、移籍は完全に暗礁に乗り上げた。しかもジョニー・デーモン(38)、ウラジミール・ゲレロ(37)という大物DHが2人売れ残っており、彼らとの競争も強いられる。

「テレム氏にとって、松井はもう終わった選手」

 と、前出・米紙関係者が話すとおり、松井はメジャーから見放された感すらあるのだ。名うてのスラッガーは、このままプレーの場を失ってしまうのか─。

 いや、そこへ意外な光が差し込んできたのである。

「ゴジ(松井)もここまできたら、日本へ戻ってくる選択肢はないのかな。ウチにだけはあってほしい」

 2月20日、こんな発言をしたのは、横浜DeNA・中畑清監督(58)だった。中畑監督は1月17日の監督就任パーティの席で、祝福に駆けつけた松井にラブコール。1月28日、知人の結婚式に出席した際も、入団を要請している。さらに、2月21日には高田繁GM(66)が「ウチに来ればいいのに。本気だからね」と公言したのに続いて、イエーツ駐米渉外担当も「日本球界OKとなったらすぐにオファーを出す。球団の意向だから」と断言したのだ。

 球団をあげての本気モード。事実、横浜サイドは具体的な契約案まで用意しているという驚愕情報を、本誌はキャッチした。球団関係者が声を潜めて言う。

「基本は1年契約。シーズンが始まってからの入団でもかまわない。そしてここからが特例事項ですが、もしシーズン途中にメジャー球団からオファーがあったら、ウチとの契約を解除してもかまわない、というものですよ」

 なんと、いわば期間限定の「腰かけ」入団でもいいという、信じられないような譲歩である。この球団関係者は、松井の日本球界復帰のメリットについても、次のように力説した。

「松井の希望はあくまで、メジャーでやること。しかし、契約先がないのであれば、翌年に備えて、プレーできる姿をメジャー関係者に見せておく必要がある。横浜で打って守れるパフォーマンスをアピールすることで、次のメジャー契約につながると思います」

 当たり前だが、横浜にとってもメリットは絶大だ。

「横浜の球団幹部は、中畑監督に驚いています。これだけ注目され、報道され、宣伝効果があるとは、と。もう完全に元は取れた。とにかくDeNAという名前を売りたい球団としては、『そのうえ、松井が来たら凄いことになる』と計算しているんです」(スポーツ紙デスク)

 オーナーレベルでのゴーサインは出ており、さる幹部も、「松井が来るのなら、バックアップ(補強資金)は惜しまない」と言っているのだ。