なでしこJAPAN、ロンドン五輪出場権獲得おめでとう!

いやー、苦しい試合でした。ロンドン五輪アジア最終予選にのぞんだなでしこJAPANは、第4戦でアジア最大の難敵・北朝鮮と対戦。試合終盤の相手のオウンゴールで1点を先制しながら、アディショナルタイムで追いつかれるという展開で1-1のドロー。勝てばロンドン五輪出場という試合を悪い形で失い、他会場の結果次第では「次戦中国に負ければ敗退濃厚」という危機に追い込まれるところでした。幸いにもなでしこのあとに行なわれたオーストラリアVS中国戦でオーストラリアが勝利したことで、なでしこの勝ち抜けが決定。無事、ロンドンへの切符を手にしたのです。

6ヶ国から2チームが勝ち抜けという狭き門。それを11日間5試合で決めるという短期決戦。試合を重ねるごとに落ちていくなでしこのコンディションを見ると、今回の予選は決して余裕のあるものではなく、薄氷を踏むような戦いでした。それでも首位をキープし、ロンドンへの切符を手にできたのは「世界一」のなでしこの強さ。ロンドンでの世界連覇へ向けて、さらなるレベルアップに励んでもらいたいところです。

前年の世界選手権を制して五輪にのぞむ「優勝候補」は、日本には多くありません。陸上・ハンマー投げの室伏広治さんと柔道から数名がいるくらいで、あとは体操の内村航平クン、女子レスリングから吉田沙保里さんらが加わるかどうか。そういう意味では、なでしこJAPANは超VIP。五輪の日程では開会式前にサッカーが始まることが通例だけに、なでしこJAPANに全国民が注目しての幕開けとなるはず。

ある意味でノーマークだったワールドカップから、国民注視のロンドン五輪へ。期待に応えることがいかに難しいかは、今回のアジア予選でも十二分に感じられたはず。メディア的に扱いやすい選手たちでもあり、取材や番組出演の依頼は殺到することでしょう。今予選で相手国以上になでしこを苦しめたのは、蓄積した疲労でした。取材対応などのサッカー以外の活動の多さ。「選ばれしイレブン」以外のメンバーが入るとガタッと戦力が落ちる層の薄さ。コンディションが落ちたときの引き出しの少なさ。このあたりの課題を解決して、もう一度歓喜の金メダルを目指してもらいたいものですね。

ということで、苦しみながらも無事に出場権を獲得した「ロンドン五輪アジア最終予選 日本VS北朝鮮戦」をチェックしていきましょう。



◆キレてないですよ!キレてないですよ!永里キレさしたら大したもんですよ!


今日も笑顔で試合を迎えたなでしこJAPAN。入場を待つ間はいつものように悪戯の時間です。今日はエスコートキッズの子どもに、妙なモヒカン頭がいることを発見したなでしこたち。その髪型に爆笑しつつ?自分のパートナーとニッコリ笑顔で記念撮影を開始。「阪口か…」「岩清水か…」「川澄ちゃんがいいな…」と思う子どもはさすがにいないのか、みな喜色満面。大野宴会部長あたりは、子どもの首を絞めつつ頬ずりしてあげるサービスも。やはり子どもを見ると母性が刺激されるのかな、と思わず僕もニッコリ。

↓宿舎では他人のモノを隠し、写真撮影では人の首を絞め、子どもには頬ずりをする大野宴会部長!


全然「忍」感じがない大人wwwwwwwww

もういっそ、大野遊でいいんじゃないのかwwwwwwwwww

↓試合前には恒例のノリオギャグで爆笑していたとのこと!
今日の北朝鮮戦を迎える前に、NHKさんに寄せられたという視聴者からのメッセージを、選手たちに読ませました。その最後に、僕は自分で書いたメッセージを紛れ込ませたんですよ。「失敗を怖れず、自分を信じ、仲間を信じる。これが今日のなでしこの戦術だ(埼玉県50代男性)」と。でもそれを見た瞬間、大野が「これ、ノリオじゃねえ!?」とツッコミを入れてきました。バレバレでしたね。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/text/kaiken/201109080006-spnavi.html

東京都30代男性:「エェーッ!?今日北朝鮮に勝てば五輪出場決定なのかい?」
東京都30代男性:「エェーッ!?相手の北朝鮮はドーピングしまくりだって?」
東京都30代男性:「エェーッ!?しかもその言い訳が雷に打たれた際の漢方薬治療に禁止成分が含まれていたからだって?」
大野:「それ、マスオじゃねぇ!?」


そして始まった試合ですが、予想以上に日本は苦しめられます。序盤こそ澤の攻め上がりなどでペースをつかむも、アッという間にペースダウン。前半途中からは攻勢に出る時間も少なくなり、シュートどころかゴール前にも行きません。世界一のなでしこが、ドーピングにより守備陣が丸ごと出場できなくなった北朝鮮に圧倒される展開。しかし、そこには仕方ない面もありました。

●阪口を潰せば展開できなくなるなでしこ
北朝鮮はFWのチェ・ミギョンがハイペースで飛ばし、なでしこの急所を押えにかかります。なでしこの攻撃の組み立ては基本的に中盤の底で澤・阪口が担います。イメージ的には澤がポイントとなりそうですが、本当にチャンスとなるのは澤が前に上がって宮間・川澄らと絡んだタイミング。逆に言えば、そのとき後ろで攻撃を展開しているのは阪口です。

チェ・ミギョンを中心に北朝鮮は阪口を徹底マーク。澤を離す時間はあっても阪口を離すことはなく、阪口にボールが入ればすぐさま身体を当ててきます。このことにより前にボールが運べなくなったなでしこは、自慢の攻撃が鳴りを潜めることに。


●DFラインからの組み立てが苦手
阪口がゆったりと前を向いてボールを持てないとなると、一旦バックパスで下げて…という形になりがち。しかし、ここからの組み立てが苦手ななでしこ。岩清水・熊谷からのボールは精度が低く、直接FWに当てようとすればトンデモないところへ、宮間・大野の両サイドに展開しようとすればライン外へ飛んで行きます。

両サイドバックがジワジワ上がりながら組み立てられればよいのですが、右の近賀は使われて活きるタイプ。サイドでコンビを組む大野も孤立して待ち受け、持ったらドリブルを仕掛けるのがウリ。基本的に右サイドはチャンスを作るのではなく、作ったチャンスをもらうサイド。この日は二人を使うほどにゲームを作れる場面が少なく、ほとんど出番がありません。左の鮫島・宮間のコンビで崩せればよいのですが、こちらのラインにもプレッシャーがキツく、簡単に縦に入れさせてはくれません。

結局は苦し紛れに縦に長いボールを蹴って、相手に拾われるというパターンでもどかしい時間がつづくことに。


●疲労でなでしこらしさ消える

やはり隠せない疲労感。どれだけプレッシャーをかけられようが、ワールドカップの試合ではひとりかわしてゲームメイク開始、はたいて動いてもらい直す、前からの猛烈な追いまわしで高い位置でのボール奪取、という場面が作れたもの。しかしこの日は、全体的に足取りが重く、味方へのサポートもプレッシャーを受けた場面で振り切るような動きも出てきません。

こういうときに代わって入れるメンバーがいればよいのですが、タイ戦の前半を見ると誰を入れたらよいものか悩みどころ。結局これだけ押し込まれた試合にもかかわらず、なでしこの交代は大野→安藤への1枚のみ。「選ばれしイレブン」のコンディションが落ちたとき、交代で入れるメンバーの育成はロンドン五輪への大きな課題となりそうです。



という感じで苦しめられたなでしこは、右サイドで多少組み立てができるよう、前半35分すぎから大野と川澄がポジションチェンジ。ゲームメイクの役割を担うべく、宮間が中央に入ってくる形を多く出すようになります。それでも北朝鮮は興奮剤でも打っているかのような運動量で、なでしこのゲームメイクを阻止。後半25分までにすべての交代を使い切るという大胆な采配で、ひたすら日本を追いまわしつづけます。後半にはFWにボールが渡ることすら少なくなったなでしこは、このまま守り切るか、ロングボールからポロッと北朝鮮が得点するか、どちらが先かという嫌な空気に。

そんなとき、ウッカリということがあるのがサッカーの怖さ。ほとんど攻め手がなく、グッタリとしていたなでしこにまさかの得点が生まれます。後半36分、DFラインでのボール回しから、岩清水が縦に入れたボールが相手陣内の川澄にピタリ。いい位置でボールを持った日本はこのチャンスに押し上げを見せると、相手陣内まで上がった岩清水がもう一度縦に長いボールを入れ、これが永里優の足元にピタリ。

「こっからはいいボール出ねぇだろ」と北朝鮮がタカをくくっていた日本のCBから、ここにきて2本いいパスが出たことで、日本は起死回生の決定機。永里優のシュートはGKに防がれるものの、慌てて戻った相手DFが自ら押し込んでしまい、まさかのオウンゴールで日本が先制!

↓永里先制点に大爆笑!つられてこちらも大爆笑!


永里の顔wwwwwwwwww

お母さんが隠してたオヤツを発見したときみたいなシメシメ感だなw

意気消沈した北朝鮮に対して、一瞬活性化した日本ですが追加点を取れるかは微妙なところ。選手と意見はわかれていたと報じられてもいますが、後半40分頃から「もうこのままでいい」と時間稼ぎの指示を出した監督の意図は理解できます。選手も「エェーッ!?ロスタイム入れたらあと8分くらいあるのに、もう時間稼ぎするのかい?」と苦笑いしながらボールキープを開始。

そして、相手の攻撃をしのぎながら迎えた後半47分。足も止まり、クリアも小さくなる日本は、大きく蹴り出したいボールがセンターサークルにも届かず、相手に渡してしまう格好に。この流れから、最後は近賀のクリアミスのような形で失点してしまいますが、ひとりの問題というよりは全員ヘロヘロによる失点と見るべきか。

↓あと1分守り切れば即ロンドン決定という場面で痛恨の失点!


さしもの澤さんもこれにはガックリ!

精気が抜けた顔でトボトボ歩きする姿も!


世界でも指折りの強豪に1-1引き分けですから、別に悪い結果ではありません。4試合を終えて以前トップをキープし、その甲斐あって他会場の試合結果により、無事ロンドン五輪出場権も獲得しました。しかし、試合後もシメシメがつづく永里優のもとへは、何笑っとるんじゃ的な不満の声も寄せられたもよう。ダルビッシュ有さんのように、ファンとの熱い交流にのぞむなでしこ…それだけなでしこの人気・知名度も上がったということでしょうか。まぁ永里親分をキレさせると怖いので、「勝負パンツ公開」などのエサで世間の文句を一身に引き受ける、なでしこ不満処理班の登場が待たれます。

↓澤さん:「どの選手を見ても全然キレてないです」


キレてないですよ!キレるような結果じゃないですよ!

別に次の試合で決めてもよかったんだから!

お疲れ様、なでしこJAPAN!首位突破を目指して次戦も頑張ってください!