ルディ・フェラーが語るドイツとイタリアの違い「満員とスタジアムとプレッシャー」
かつてローマでプレーしていたルディ・フェラーは今、ドイツのバイヤー・レヴァークーゼンのスポーツ・ディレクターを務めている。「ここ数年の結果を考えれば、UEFAランキングでドイツがイタリアを超えたのは当然でしょう」。
―どうしてドイツはイタリアをランキングで上回ることができたのでしょうか？
ドイツのクラブの方がヨーロッパ・リーグを重要視しているからでしょう。ある程度勝ち進むまでは私たちもリザーブの選手を起用していますが、決勝トーナメントに入ればフルメンバーで戦います。それにドイツには優秀な若手が多く揃っています。これはジュニア世代の育成に力を入れてきたここ10年間の成果です。
それに民族の垣根を超えて、さまざまなタイプの選手を発掘しています。セリエAに比べれば私たちはリスクをそれほど犯すことなく、より多くの若い選手をゲームに使うことができるのです。
―イタリアの問題はスタジアムだけではない、ということでしょうか？
もちろんサービスの行き届いた居心地のよいスタジアムをクラブが所有することは大事です。クラブとファミリーを結びつける大きな要素になりますからね。しかしブンデスリーガにはそれ以上に有利な点があります。それはプレッシャーの少なさです。クラブも監督もそれほど早急に結果を出すことを求められていません。
イタリアではティフォージやメディア、それらを取り巻く環境に強く影響されるあまり、クラブは常に計算できるベテラン選手を起用する傾向にあります。彼らは極端にリスクを避けようとしていますが、ドイツでは逆に若い選手を積極的に起用して成長を促しています。ここが大きな違いですね。
それにビジネスの観点から見ても違いは明らかです。レヴァークーゼンがビダルを獲得したときに支払った移籍金は500万ユーロ。私たちは彼を2倍の値段で売却しています。もちろん若い選手ひとりにそれだけの金額を払うことは私たちにとっても大きなリスクでしたが、そのプレッシャーを感じさせることなく彼を育てていったのです。大きな負荷を掛けることなく実力を付けて、今や彼はイタリアでプレーするほどの選手になりましたね。
―あなたがビダルをバイエルンではなくユーベに売却したことで、バイエルンのルンメニゲはひどく怒っていたようですが？
私たちは契約切れ間近の彼を、これ以上保有し続けることはできないとわかっていました。しかしドイツ国内にあるライバルチームの補強を手助けするような真似はできません。私たちは何も間違ったことはしていないと思います。
最初に話が来たのはナポリからでしたが、彼自身が移籍に前向きではありませんでした。次にユーベからオファーが来て、めでたく移籍成立となったわけです。誰にとっても幸せな結果になりました。
―今シーズンのブンデスリーガの優勝候補はどこでしょう？
当然バイエルンは外せません。それから私たちレヴァークーゼンとドルトムントですね。昨シーズン、私たちはリーグ2位でチャンピオンズの出場権も獲得しました。目標はこのポジションを確固たるものにすることです。レヴァークーゼンはビダルだけでなく、エメルソン、ルシオ、ベルバトフそれに多くのカンピオーネを輩出してきました。
―イタリアではセリエAの日程を発表しただけで一悶着ありましたが、ご存知ですか？
デ・ラウレンティス会長の話ですね(笑) チャンピオンズの後にインテルとミランのゲームが組まれていたという話ですが、考えようによってはこれは大きなチャンスかも知れません。インテルとミランの選手だってコンディションが万全ではありませんからね。もっともここで私がこんな事を言っても誰も同意してくれないでしょうけど。
イタリアではこの手の話もひとつのネタです。私たちドイツ人はちょっと真面目過ぎるのかもしれません。
【関連記事】
