ドイツの日刊紙「アウクスブルガー・アルゲマイネ」はこのほど、ドイツ憲法保護当局者の話として、「コンピューターを使った諜報活動では中国が世界一であり、中国のスパイ活動の最大のターゲットはドイツ」と報じた。

 同紙の記事は、「中国はネットでのスパイ活動を通じてドイツの政府部門と企業から“信じられないほど”多くの情報を得ている。これによるドイツの年間損失額は500億ユーロにのぼり、把握できていない数字は更に多い」と報じている。

 また、「専門家らは、中国はネットスパイ活動によって政治・経済情報を収集しなければ、経済成長の目標を達成できないと考えている」としている。

 2007年には、メルケル首相の中国訪問直前に、ドイツ連邦政府部門の複数のコンピューターから、中国のハッカー攻撃によると見られるスパイウェアが見つかった。しかし、中国はそれまでと同様、一切の関与を否定した。

 記事は米中央情報局(CIA)の情報として、「中国には特殊兵、エリート大学生、高校卒業生からなるハッカー集団があり、外国のコンピューターへのスパイ活動を行うプログラムを設計している」としている。

 CIAの専門家によれば、中国のハッカーらは作成したスパイウェアを電子メールの添付ファイルを装って対象に送信し、コンピューターに侵入し、本当の発信元は識別できないという。2年前には、米国防総省のコンピューターが中国人ハッカーによってハッキングされ、新型戦闘機F-35の設計図を含む膨大なデータがコピーされた。

 昨年、カナダ・トロント大学の研究者らは、「中国を拠点とするスパイ情報網“ゴースト・ネット”により、世界の100以上の政府機関や民間組織がハッキング攻撃を受けた」とする報告書を発表している。

 中国が外国に対する集中ハッキングを開始したのは1999年5月以降。米軍を主力とするNATO軍による在ユーゴスラビア中国大使館“誤爆”事件の後、米国政府及びNATOのウェブサイトは中国のハッカー攻撃を受けた。(編集担当:中岡秀雄) 



■最新記事
中国工業情報化部長の氏名がグーグルのフィルタで排除
「網上の長城」に穴、「ジャスミン革命」情報が侵入―中国
グーグルが中国の封鎖を一部突破か、「微妙な写真」も出現
最大部数のドイツ紙が中国攻撃「欧州への侵略だ」、現地華人が猛反発
ハッカー集団が声明、ソニーやCIAへの「攻撃」停止