[写真]=足立雅史


 3月29日に開催される日本代表とJリーグ選抜によるチャリティーマッチ。所属クラブと調整中だった内田篤人らの参戦が決まり、海外組12名が日本代表のメンバーとして「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」に参加ことが確定した。

 イタリアに一時帰国中のアルベルト・ザッケローニ監督は来週中に再来日予定。29日のチャリティーマッチに向けて、現地紙『イル・レスト・デル・カルリーノ』のインタビューに意気込みを語っている。

「私は日本に戻ることを強く望んでいる。実は、16日に日本に戻る予定でいたが、日本サッカー協会から「もう少し待つように」と言われた。23日のフライトで日本に向かう予定だ。遅くとも、24日には日本に向かうことになるだろう。29日に大阪で大切なチャリティーマッチが控えているからだ」

「サッカーで日本の手助けをする。それが私の仕事だ。サッカーを通じて復興に貢献できる、私はそう確信している。とにかく、私は日本の人々を手助けしたい」

「優しさと、相手を思いやる心。私はその2つを日本人から学んだ。日本の監督に就任してからこの7カ月間、私は日本人を知った。日本人の義務感、犠牲心、そして品格に私は心を打たれた」

「イタリアに戻ってからも、ずっとテレビを見ている。協会や代表のスタッフとも連絡を蜜に取り合っている。特に深刻なのは原発の問題だ。放射線の危険性や行方不明者の捜索が問題になっている。世界中のすべての人を巻き込み、全世界を震撼させた悲しい事件だ」

「地震が起きた時、私は東京のマンションにいた。タンスや棚が倒れ、道路はアスファルトが動いていた。私はそれまで大きな地震を体験したことは一度もなかったんだ」

「日本人の秩序、組織力、相手を敬う心は本当に素晴らしい。象徴的な2つの出来事を話そう。地震の後、スーパーでは会計を後回しにしてレジ係が客に商品を渡していた。あまりにも混雑していたから、その対応のためだろう。レジの担当者には分かっていたんだ。緊急事が過ぎれば、客が支払をしに戻ってくることをね」

「そしてもう一つは、代表での話だ。アジアカップを終えて日本に戻る際に、私は空港で信じられない光景を目撃した。選手たちが、自ら進んで荷物を運んでいるんだ。本来であれば用具係りが担当する仕事を、戦いを終えたばかりの選手たちが率先して手伝っていたのさ」

「もちろん、私は英雄などではない。地震が怖くないと言えば、うそになるし、不安もある。しかし、私はそれ以上に日本の人々を助けたいと強く思っているんだ。日本は今、助けを求めている。繰り返すが、サッカーも復興に貢献できると思う。私の仕事はサッカーで日本を元気づけることなんだ」

 昨年8月、日本代表を強化するために招かれたイタリア人指揮官が、日本そのものを“強化”するために全力を尽くそうとしている。

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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。ストリートファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING(twitterアカウントはSoccerKingJP)』の編集長に就任。