2011シーズン・J2戦力分析【佐藤拓也】

2011年2月2日 9時56分

■「上と下が分かれるのでは」と話す横浜FC岸野監督
J1に昇格した柏、甲府、福岡が抜け、新たにJ1から降格してきたFC東京、京都、湘南、そしてJFLから昇格してきた鳥取を加え、20チームで行われる2011年のJ2。どのチームもすでに始動しており、開幕に向けて着々と準備を進めている。他チームがうらやむほどの戦力を擁するFC東京が圧倒的に優位という見方が強いが、果たして今季のJ2はどんな展開となるのか。今回、まずは各チームの戦力分析を行ってみたい。

「今季は上と下とがくっきり分かれるんじゃないか」。そう話すのは、横浜FCの岸野靖之監督だ。理由として、現在J2といえども、選手の多くが代理人と契約するようになっており、そうした代理人といい関係を築けているチームが積極的な補強をできているからという。各クラブの強化部の力の差がチーム編成として表れているというのだ。その中で成功したと見られるのが栃木と熊本である。

■攻撃の厚みが増した栃木の補強
栃木は昨季大活躍を見せたリカルド・ロボの残留に成功。そして、アルゼンチンで実績を残しているストライカー・トリポジを獲得。昨年途中に移籍加入したパウリーニョも加え、力のある外国籍選手3人を擁することに成功した。すべて同じ代理人と契約している選手であり、クラブと代理人とが良好な関係を築けていることが容易に想像つく。これはチーム強化の重要なポイントである。

また、河原和寿を期限付き移籍で復帰させ、そして水沼宏太の期限付き移籍期間を延長させるなど限られた資金の中でうまくやりくりをして、J1を目指せるだけの戦力をそろえることができた。これは強化部の努力の賜物と言えよう。あとは松田浩監督の腕の見せ所。間違いなく上位争いを繰り広げることだろう。

■熊本はエジミウソンの加入で安定感を増すか
昨季7位という好成績をおさめた熊本も鼻息が荒い。高木琢也監督のもと、鉄壁な組織的ディフェンスをベースに堅守速攻の戦いを繰り広げ、J2加入3年目で初の上位争いを演じた。今季は栃木同様J1昇格を視野にとらえた戦いとなる。その中で目玉の補強となったのが、MFエジミウソンだ。これまで大分、神戸の一員としてJ1でプレー。ボランチとして献身的かつ力強いプレーを見せ、チームを支えてきた。彼が入ることで、さらに安定感に磨きがかかることだろう。

熊本を支えているのは、かつて柏で監督経験もある池谷友良GM。広いパイプを生かして、選手獲得を行っている。昨季途中に加入して前線の核となったカレン・ロバートこそオランダへ旅立っていったが、昨季のレギュラーメンバーの大半をチームに残すことができたことは大きい。地元でも期待が高まっている。

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■著者プロフィール
佐藤拓也

1977年生まれ。北海道生まれ、横浜育ち。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、フリーランスのライターとして活動を開始。その後、「EL GOLAZO」や「J’sGOAL」、「週刊サッカーダイジェスト」「週刊サッカーマガジン」「スポーツナビ」などサッカー専門媒体に執筆。現在はJ2を中心に様々なカテゴリーを取材して回っている。

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