【セルジオ越後コラム】密室政治のJリーグ

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観客数を水増しして報告していた大宮アルディージャに対する処分が決まった。制裁金2000万円とけん責(始末書提出)だ。悪質な行為だっただけに、勝ち点剥奪などの措置も考えられたが、現在残留争いまっただ中にあることを考慮したのか、とにかく勝ち点は剥奪されなかった。
 
昨シーズン、サンフレッチェ広島がナビスコカップでベストメンバーで戦わなかったとして、1000万円の制裁金を科せられた。2008年には浦和レッズのサポーターがガンバ大阪のサポーターを取り囲むという事態があり、主幹である浦和に当時過去最高である制裁金2000万円の処分が下っている。
これらの処分を鑑みた上で、大宮に対する処分を軽いとするか、重いとするか。新聞報道などでは軽すぎるのではないかといった見解も目立つね。
 
一番問題なのは、基準がないことだ。こういった事件があった場合、Jリーグは裁定委員会を開き、処分を検討するわけだけど、Jリーグ本部の中に、第三者的な目線を持った監査機関がしっかり機能しているかどうか、非常に疑わしい。密室の中でなんとなくの処分が決められ、それが妥当なのか否か、誰にもわからないのだ。“みんなのJリーグ”という感覚を持ちづらい、開かれた組織でないことが、ファンの目にどう映っているか、非常に心配だね。
 
同時に、自浄できない組織だとも言える。今回の件ではJリーグ本体に対する処分があってもおかしくはないが、そんな処分を下す機関はないし、各クラブも、Jリーグから言われたまんまを受け止めざるをえない。反旗を翻しても、権力によって押しつぶされてしまうのだ。
2008年、Jリーグは当時川崎フロンターレに所属していた我那覇和樹に対して、ドーピング違反があったとして1000万円の制裁金を科した。ところが後に我那覇は潔白だということが証明され、川崎が制裁金の返還を求めたが、Jリーグは謝罪はしても返還の要求には応じず、曖昧な対応でお茶を濁している。Jリーグの権力を示す一件だった。
 
明確な基準がなく、その時々で対応が変わってしまうというのは、組織のあり方として健全ではないし、危険である。広島には1000万円払えと要求しておいて、アジア大会には選手を貸さない。言っていることとやっていることが矛盾していると言われてもしょうがないよね。
 
第三者的な監査機関を持って、もっと開かれた組織にならないと、ファンがついていかなくなる。僕はそういう危機感を持っているのだけど、みんなはどう思うかな。(了)