国際定額化が止まらない ドコモ、ソフトバンクの定額を凌ぎWiMAXが無料で利用可能に【世界のモバイル】
UQコミュニケーションズは9月1日からアメリカでの国際ローミングサービス「WORLD WiMAX」を開始した。しかも料金は2011年3月末まで無料だ。ソフトバンクモバイル、NTTドコモが相次いで国際ローミング時のパケット定額サービスを開始したが、UQコミュニケーションズの「アメリカでの利用無料」は出張の多いビジネス層には魅力の大きなサービスとなるだろう。
アメリカでは2008年から各通信事業者が携帯電話料金の定額化に踏み切っており、音声通話に関しては「使い放題」が一般的なサービスになっている。これに対してデータ通信料金は定額サービスは無く、100MBや1GBといった利用量に応じたパッケージ料金が提供されてきた。
2009年6月、WiMAX方式で新規参入したClearwireは当初からデータ定額でサービスを開始。モバイル向けサービスは30ドル/月の定額で、速度の速さと相まって大きな話題となった。当初はUSBモデムのみの提供だったが、現在はWi-Fiルーターも用意されネットブックやスマートフォン、ポータブルゲーム機などWi-Fi内蔵端末からも手軽に利用することができる。
同社のWiMAXはサービス都市が少なく、携帯電話各事業者も当初はモバイルWiMAXの定額サービスは大きな脅威とは見ていなかったようだ。
しかし2010年、大手のSprint-Nextelが4G(WiMAX)+3Gサービスに参入。Sprintの同サービスは「WiMAX定額+3Gサービスは5GB」で59.99ドル/月、高速なWiMAXエリアは完全定額、非WiMAXエリアでもCDMA2000 EV-DOネットワーク内で5GBを利用できるといった「全米準定額サービス」を開始したのだ。またClearwireのWiMAXサービスエリアも全米50都市以上に拡大、さらにSprintと提携してWiMAX+3Gサービスを提供するなど利用エリアにおいても大きく拡大展開を開始している。
この2社の動きを受け、携帯電話事業者もデータ定額サービスの導入を相次いで開始。
MVNO事業者のVirgin Mobileは、2010年8月25日から40ドル/月のプリペイドデータ定額サービスを開始した。同社はこれまで300MB/20ドルから5GB/60ドルまでの月額料金を提供していたが、今後は定額サービスに一本化される。同社はUSBモデムだけではなくWi-Fiルーターも提供しており、海外からの旅行者や出張者にとっても有用なサービスになる。またVerizon Wirelessもスマートフォン向けに30ドル/月のデータ定額プランを提供する予定で、この動きは今後全通信事業者に広がっていくだろう。
さてClearwireのWiMAXサービスは、現在月額と日額の両プランが提供されている。日本のUQコミュニケーションズの利用者がアメリカで同社のWiMAXを利用する場合は、日額サービスの「CLEAR Free Day Pass」を申し込む形となる。2011年3月末までは無料だが、4月以降は有料化される予定だ。では料金はいくらになると推測されるだろうか。CLEAR Free Day Passの現地料金は10ドル/日。ということはおそらくこの料金と同等か高くても数倍程度になるのではないだろうか。
UQコミュニケーションズはアメリカでのローミング開始のアナウンスと同時に、Clearwireの利用者が日本でもUQコミュニケーションズ回線をローミング利用できるサービスも発表している。こちらの料金は600円/日だ。
日米で互いのローミング料金が数百円/日となれば、これは携帯電話サービスに対してのWiMAXの一つのアドバンテージにもなるだろう。ソフトバンクモバイルやNTTドコモのローミング時のパケット定額は1480円/日だが、WiMAXならばこれらよりも半額以下だ。しかも両社の料金は現在割り引きキャンペーン中のものであり、来年度以降は値上げされる予定である。UQコミュニケーションズの国際ローミングサービスが好評になれば、今後は両社も簡単に値段の引き上げができなくなるかもしれない。
とはいえWiMAXのウィークポイントは利用できる国や都市がまだまだ少ないこと。UQコミュニケーションズはロシアのWiMAX事業者、Yotaとも国際ローミング提携を結んでおり、近いうちにロシアでの定額サービスも提供されるだろう。
UQコミュニケーションズが新規加入者を増やしていくためには、通信速度や端末の数だけでの勝負ではいつか限界が見えてくる。携帯電話よりも安価な国際ローミングサービスは、同社の大きなアピールポイントになるはずだ。今後は台湾など、日本人渡航者の多い国でのWiMAX国際ローミングサービスを早急に展開することが望まれる。
山根康宏
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アメリカでは2008年から各通信事業者が携帯電話料金の定額化に踏み切っており、音声通話に関しては「使い放題」が一般的なサービスになっている。これに対してデータ通信料金は定額サービスは無く、100MBや1GBといった利用量に応じたパッケージ料金が提供されてきた。
アメリカでWiMAXサービスを展開中のClearwire |
同社のWiMAXはサービス都市が少なく、携帯電話各事業者も当初はモバイルWiMAXの定額サービスは大きな脅威とは見ていなかったようだ。
しかし2010年、大手のSprint-Nextelが4G(WiMAX)+3Gサービスに参入。Sprintの同サービスは「WiMAX定額+3Gサービスは5GB」で59.99ドル/月、高速なWiMAXエリアは完全定額、非WiMAXエリアでもCDMA2000 EV-DOネットワーク内で5GBを利用できるといった「全米準定額サービス」を開始したのだ。またClearwireのWiMAXサービスエリアも全米50都市以上に拡大、さらにSprintと提携してWiMAX+3Gサービスを提供するなど利用エリアにおいても大きく拡大展開を開始している。
この2社の動きを受け、携帯電話事業者もデータ定額サービスの導入を相次いで開始。
MVNO事業者のVirgin Mobileは、2010年8月25日から40ドル/月のプリペイドデータ定額サービスを開始した。同社はこれまで300MB/20ドルから5GB/60ドルまでの月額料金を提供していたが、今後は定額サービスに一本化される。同社はUSBモデムだけではなくWi-Fiルーターも提供しており、海外からの旅行者や出張者にとっても有用なサービスになる。またVerizon Wirelessもスマートフォン向けに30ドル/月のデータ定額プランを提供する予定で、この動きは今後全通信事業者に広がっていくだろう。
Virgin MobileはBroadband2Goという名称でデータ定額サービスを提供 |
さてClearwireのWiMAXサービスは、現在月額と日額の両プランが提供されている。日本のUQコミュニケーションズの利用者がアメリカで同社のWiMAXを利用する場合は、日額サービスの「CLEAR Free Day Pass」を申し込む形となる。2011年3月末までは無料だが、4月以降は有料化される予定だ。では料金はいくらになると推測されるだろうか。CLEAR Free Day Passの現地料金は10ドル/日。ということはおそらくこの料金と同等か高くても数倍程度になるのではないだろうか。
UQコミュニケーションズはアメリカでのローミング開始のアナウンスと同時に、Clearwireの利用者が日本でもUQコミュニケーションズ回線をローミング利用できるサービスも発表している。こちらの料金は600円/日だ。
日米で互いのローミング料金が数百円/日となれば、これは携帯電話サービスに対してのWiMAXの一つのアドバンテージにもなるだろう。ソフトバンクモバイルやNTTドコモのローミング時のパケット定額は1480円/日だが、WiMAXならばこれらよりも半額以下だ。しかも両社の料金は現在割り引きキャンペーン中のものであり、来年度以降は値上げされる予定である。UQコミュニケーションズの国際ローミングサービスが好評になれば、今後は両社も簡単に値段の引き上げができなくなるかもしれない。
とはいえWiMAXのウィークポイントは利用できる国や都市がまだまだ少ないこと。UQコミュニケーションズはロシアのWiMAX事業者、Yotaとも国際ローミング提携を結んでおり、近いうちにロシアでの定額サービスも提供されるだろう。
UQコミュニケーションズが新規加入者を増やしていくためには、通信速度や端末の数だけでの勝負ではいつか限界が見えてくる。携帯電話よりも安価な国際ローミングサービスは、同社の大きなアピールポイントになるはずだ。今後は台湾など、日本人渡航者の多い国でのWiMAX国際ローミングサービスを早急に展開することが望まれる。
山根康宏
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